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もう既に充分なのかもしれません

こんにちは。
株式会社プロタゴワークスあかねです。

「“仕事を辞めようと思ってるんです”顧客からそういう相談を受けることがよくあるんだけど、みなさんだったらどうしますか?」

そんな話をしてくれたのはBtoCのビジネスを展開しているとある企業の経営者の方でした。

僕も含めて数人の経営者の方々が集まっている場で色んな話をしている中で、「全然関係ない話してもいいですか?」という前置きからこの問いかけが始まりました。

その問いかけがあったのは「あと5分で集まりの場が解散になる」というような時間帯だったので、その場にいた10人弱の経営者の方々全員の話がきけたわけではなく、年長の2人くらいの方が各々の自説をアドバイスとして語ってくれてその場はお開きになりました。

この問いかけをしてくれた方はどうやら冒頭のような相談を受ける機会がたくさんあるようで、その度にご自身なりに親身になって相談を聞いて何らかの回答をしているようでしたが冒頭の質問をこの場でしてみるというところから、ご自身もこの相談に悩んでいるようでした。

一方で、この相談に対してアドバイスをしてくれていた方はこの質問に対して特に迷ったりということもなく即座にアドバイスを回答していました。

その場はそれで時間が来てお開きになったのでこの話はそこで終わっていきました。

僕はその質問やアドバイスを聞きながら「自分にはあの場で自分から出来るような話は何も無かったなぁ」とあらためて振り返りました。

何しろ、「仕事を辞めようと思っている」という話をしている方はその場にはいませんでした。なので、「なぜ仕事を辞めようと思っているのか?」という理由について本人の口から聞かせてもらうことができません。

そして、BtoCのビジネスをしているサービスを提供する側の経営者の方と「仕事を辞めようと思っている」という話をする方との間にどのような人間関係があるのかもこの時点では何もわかりませんでした。

そして、冒頭の問いかけをしてくれた経営者の方も「みなさんだったらどうしますか?」という問いかけではありましたが、その本人自身が何を考えどういう受け答えをしているのかについての話を聞かせてもらうタイミングもありませんでした。

そうなってくると、“外部の第三者”よりももっとずっと遠い位置づけにいる“外部の第四~五者”みたいな立ち位置になっているわけで、そこから僕に見えてくるモノは「何一つ無い」と言ってもいいような感じでした。

そんな状態だと、例え何らかのアドバイスをしようと思ったとしてもそれらの前提になっているモノの全てが“妄想”になってしまうので、それら全てを“妄想”に頼った時に語る言葉は、「みなさんだったらどうしますか?」という問いかけに対してどれだけの意味があるモノとなるんだろうか?

そんなことを考えると、まずは冒頭の問いかけをしてくれた方に何らかの質問をしてみたいところでしたがそのタイミングは訪れませんでした。

「仕事を辞めようと思ってるんです」

これまでにこの言葉を口にした人の相談は数えきれない程受けてきました。

その経験から考えると、“この話”を他者に相談するタイミングというのは、この言葉を口にする本人にとっては“その瞬間”はとっても一大事になっている時なのは間違いがありません。

なぜなら、仕事が順調だったり楽しかったりやりがいを感じていたらそもそもこんなことが頭に浮かんでくるはずがありません。
もしも、「仕事が順調で楽しくてやりがいを感じている」のに“この話”を他者に相談するのであれば、それは本人を取り巻く何らかの外的環境から「仕事を辞める」という選択肢を考えないとならない状況が発生している場合か、もしくは「“仕事が順調だ、楽しいんだ、やりがいがあるんだ”と思いたい気持ちがあるけど実際にはそうではない」という認知的不協和が起きている状況であるのかもしれません。

そんな「仕事を辞めようと思っている」本人が不在の状態で“この話”について何かを考えるというのは、何一つとして“考える材料”が無い状態なので“本当の話”に辿り着くことは不可能です。

そんな中で、冒頭の問いかけをしてくれた方に“何らかのアドバイス”をするとしたら、できることは“精神的支援”くらいしかないのかもしれません。

何しろ、「仕事を辞めようと思っている」という話をしている本人としては、話を聞いてくれている経営者の方に「この話を聞いてほしい」と思っているからこそ“この話”をしているわけです。

自分自身が顧客の立場としてきている場所で、サービス提供者の経営者の方に「仕事を辞めるかどうか」という“人生の問題”の話をわざわざしてきてくれるというのは、「この人にはこの話をしても大丈夫」だというくらいの信頼を得ているのは間違いありません。

であれば、もしかしたら「仕事を辞めようと思っている」と話してきた本人は、その経営者の方にただ話を聴いてほしかっただけなのかもしれません。

とにかくただただ“聴く”だけでいいのかもしれません。

何かの解決方法を相談に来ているわけでもなんでもなく、ただ今の自分の気持ちを“聴く”ということだけを求めているのかもしれません。

人は、誰かに話を聴いてもらうだけで考えがまとまったり進んで行ったりすることがあるので、何かのアドバイスも実は必要無くて「ただ聴く」というだけのことを求めていたりするんです。

今となっては、“この話”の詳細な部分を知る由もありませんが、あの時にもう少し時間があったとしたらこんなことを伝えていたかもしれないなぁ、なんて思っています。



あかね

株式会社プロタゴワークス

https://www.protagoworks.com/

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