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AIのための読書リスト 1

自分が実際に読んだ本の中から、AIとの付き合い方のヒントになりそうな7冊を紹介する。様々な領域に大きな影響を与えていくことになるAIを、多分野の専門家とともに考えてみる。


01. 創るためのAI

創るためのAI — 機械と創造性のはてしない物語
徳井 直生
2021.1/20

慶應SFCで音楽とAIについて研究、制作をしてきた徳井先生による一冊。それらの取り組みを題材に、人間の創造性とAIの関係、その未来像について考察。

急速に広まっていくAIは社会現象となり、楽観的な意見から批判的な意見まで、さまざまな反響を呼んでいる。創造性も大きな話題の一つで、「AI時代を生き抜くためには創造性を養う必要がある」といった議論もよく耳にする。

本書はそういった議論とは趣旨が異なる。「機械は創造性を持ち得ない」という先入観を疑い、その上で「AIも人とは違う創造性を持ち得るのではないか」という仮説に基づいて議論を進める。

誤訳、誤配、誤解釈、違和感、制御不可能性、予測不可能性。そういったAIの異質さから新たな価値を創造できないだろうか。AIを単に道具としてみなすのはもったいないのではないのだろうか。
歴史と最新の取り組みから人工知能との共創を紐解き、AIと創造的に付き合うためのヒントを与えてくれる。


02. Machine Hallucination

Machine Hallucinations —Architecture and Artificial Intelligence
Neil Leach, Matias del Campo
2022.7/5

AI建築の研究と実践におけるトップランナーによる一冊。AIの本質を探り、建築におけるその可能性を考察していく。Neil Leachによる ”Architecture in the Age of Artificial Intelligence: An Introduction to Ai for Architects” と合わせて読むことが出来る。

AIは文字通りあらゆるところに存在している。AIが生成したアート作品は国際的な賞を受賞し、オークションで販売されている。しかし、デザインの世界にとってAIは何を意味するのだろうか?

既に建築家は建築の設計にAIを使い始めている。しかし、これまで建築分野ではAIに関する議論はほとんど行われてこなかった。本書は、AIが建築家の設計を支援し「拡張された知性」の一形態となる可能性、単独で建築物を設計する能力、そしてAIが建築設計に驚くべき新章を開くかどうかなど、AIのあらゆる側面に注目している。思索的な建築家の作品を、豊富な写真とテキストから解説する。


03. 人間・AI・ポストヒューマンの社会学

人間・AI・ポストヒューマンの社会学
片桐 雅隆
2022.1/26

AIが人間社会に参加することによって、さまざまな倫理的問題が生じてくる。本書は、ポストヒューマニズムという人文思想をもとに、それらを社会学的視点から考察する。AIと批判的に付き合っていくために必読の一冊。

ここでのポストヒューマンとは、サイボーグやシンギュラリティによって人間の能力が限界を突破した世界のことではない。西洋近代的な主体像を疑い、動物・機械・テクノロジーの中にある人間という人間像を打ち立てるものである。人間を超越する自然を考慮に入れながら人間自体について再考することで、環境問題まで倫理問題までさまざまな課題の見方が変わってくる。

AIとロボットにおける「誰が社会のメンバーか」をめぐる問いと、相互行為・他者理解をめぐる問いの二つの問いを、解釈的社会学、認知社会学、関係的アプローチという社会学理論から紐解いていく一冊。そして最終的に、人文・社会科学の危機についての議論が投げられる。


04. AI原論

AI原論 —神の支配と人間の自由
西垣 通
2018.4/10

基礎情報学などの著作で知られる、AIの第一人者による一冊。情報学と哲学からAIを考えていく。

現在のAIブームとも呼ぶべき状況は、1950~60年代の第一次ブーム、1980年代の第二次ブームに続く三度目のものになる。本書は、それらの歴史を振り返り、それぞれの時期に何が可能になったのか、何が不可能であることが分かったのか、そしてそれは今日に至って解決されたのか、といった点を整理する。サイバネティクスやオートポイエーシスなどの生物・情報理論からAIを紐解く。

その上で、今、世界中で注目されるフランスの哲学者カンタン・メイヤスーの議論を手がかりにして、AIが目指しているのはどんな世界なのかを探っていく。思弁的実在論によるアプローチは、「絶対知をもつ神に人間が近づいていく壮大なストーリー」を仄めかす。もしもそれが現実のものになったとしたら、自由意志や責任はどのように変わっていくのだろうか。


05. 人工知能が「生命」になるとき

人工知能が「生命」になるとき
三宅 陽一郎
2020.12/16

ゲームAI開発の第一人者、三宅先生による一冊。東西の哲学や国内外のエンターテインメントからの触発をもとに、人工知能開発を導く独自のビジョンを、さまざまな切り口から展開する。

「西洋的な人工知能の構築と東洋的な人工知性の持つ混沌」が第一章で述べられる。東洋と西洋では思考の基盤が異なると言われている。合理主義的で科学主義的な西洋近代思想は、人間が自然や第三世界を支配するという構図を常に取ってきた。それに対し、東洋思想は曖昧で神秘主義的な側面があり、人間と自然がフラットな関係性を築くことが多かった。AIとの付き合い方で重要なのは後者ではなないだろうかと、筆者は指摘する。

それをもとに、「人工知性」という概念を提案する。AIに求められるのは、知能ではなく東洋的な知性なのではないだろうか。自然の延長としての人工知性は、どのように振舞っていくのだろうか。未来の社会は、人工知能と人工知性がどのようなバランスで共存しているのだろうか。


06. 私たちはAIを信頼できるか

私たちはAIを信頼できるか
大澤 真幸, 川添 愛, 三宅 陽一郎, 山本 貴光, 吉川 浩満
2022.9/13

ゲーム、言語、哲学の分野の著名な5名による対談において、「信頼」をテーマに2022年のAIと人類の最新状況に迫った一冊。「AIを作る」三宅氏による「AIは世界を再構築できるか」、「AIを使う」川添氏による「意味がわかるとは何か」、「AIと生きる」大澤氏による「人間の無意識はAIに奪われているのか」。

それぞれの個別のインタビューの章のあと、全員での座談会での対談がまとめられている。ブラックボックスで人間とはまったく異なるAIは説明責任を果たせるのか。AIの説明可能性や社会の把握の仕方、それらがどう人間社会の信用システムと価値形成を刷新していくかが議論される。

また、巻末のブックレビューもとても参考になる。AIについての本から、科学や社会学など間接的にAIと繋がってくる本まで、36冊が紹介されている。


07. ポロック生命体

ポロック生命体
瀬名 秀明
2022.10/18

AIと人間らしさを探る4編の中短編SF小説。

再現なく創造し続けるAIこそ真の芸術家であり、無為な日々を過ごすことを選ぶ人間の方こそロボット的ではないか。絵画や小説、将棋を通じて知性と生命の本質を問い、近未来を幻視する。

4編目『ポロック生命体』は、画像生成AIに近いAIについての話である。ジャクソン・ポロックの生命力はAIに模倣できるのか。躍動感あふれる画像の生成も軽々こなしたAIは、結局、人間が出来ることはAIでも出来るということを証明してしまった。





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