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ウクライナ料理屋に行った話

 

 2022年2月24日からロシアに侵略されるという非常に残念な形で一躍有名になった国、ウクライナ。そのウクライナの料理をいただけるお店が都内に存在するということで、実際に訪れてみた。

 訪れたのは吉祥寺駅北口から徒歩3分のところにあるウクライナ料理屋、Babusya REY。

 

入口はこんな感じ、ウクライナ家庭料理が食べられるという看板がある

 休日の昼時に訪れたためか店内は混んでおり、外で若干待つ。

 筆者が訪れたときは日本人男性の店員さんのほかにウクライナ人と思われる女性店員さんが複数おり、避難民の方もいらっしゃるそう。ビルの2階にあるこのお店は料理屋というよりバーみたいな感じ。テーブル席は無く、厨房を囲むカウンター席が10席ほど。黒色を基調とした内装で照明はちょっと暗めだが、高級料理店感のある雰囲気で良い。

 席が空いて入店。早速ウクライナ料理を頼もうと思ったが…一緒に来た友人がメニューにビールあるのを発見。店員さんに聞いてみると、ウクライナ西部のリビウという街で作られたビールを6種類扱っているようだ。それぞれに特徴があってどれを頼むか悩んだが、初めて飲むということと、昼飲みだから口当たり軽いのがいいということで、「プーチン・フイロ」というビールを注文。

プーチン・フイロ(Путін Хуйло) プーチンくそくらえみたいな意味らしい

 プーチン・フイロはその名前に反してすっきりとした味わいで美味しい。柑橘系の香りがしてほんのり甘く、ビールの苦みは全然感じない。ビールが苦手な人にもおススメできる良いお酒だと感じた。

 さて、ビール飲んで体もあったまったしメインを頼もう。単品でウクライナの有名な料理を頼めるほか、ランチセットもある。いろいろ悩んだが、最終的に友人がペリメニ、筆者がヴァレニキのランチセットを注文。


ランチセットに含まれているボルシチ 左のパンはサービス

 まず運ばれてきたのは筆者が注文したランチセットのボルシチ。ボルシチがウクライナ料理かは難しい所だが、少なくとも現在のウクライナの領域で古くから食べられてきたスープらしい。ウクライナは2020年にボルシチをユネスコの無形文化遺産候補にしていたが、侵攻を受けてユネスコの審議を待たず登録されることになったとのこと(日経新聞 2022/7/1)。ただしこの登録についてユネスコは、ボルシチをウクライナ固有の料理と認めたわけではないと言っているようです(NHK 2022/7/2)。ロシアもウクライナも民族的に近いし陸続きだし同じ国だったこともあるしで、そこらへん分けるのは難しいよね。

 まあそんな小難しい話は置いといて、さっさと味わおう。ビーツを煮込んだ赤いスープはほんのり酸味があって美味しい。上にかかっている白いものはサワークリームだろうか。混ぜていただくと少し酸味がパワーアップした感じがする。具はキャベツ、にんじん、じゃがいも、牛肉などが入っている(と思う)。かなり煮込まれているのか具は噛まずともとろけるが、キャベツは食感が残っていていいアクセント。
 一緒についてきたパンは単体で食べるとちょっとパサパサしていたが、ボルシチと一緒にいただくとちょうどいい具合。


ペリメニ 茹でと揚げを選べる。今回は茹でたもの

 次に来たのは友人が頼んだペリメニ。見た目は丸っこい水餃子。タレ(?)のサワークリーム付き。自分が注文したヴァレニキと交換する約束で一個いただく。
 皮は水餃子みたいにプルプルはしていないが、肉厚で食べ応えがある。具は(おそらく)ミンチにした牛肉と玉ねぎだろうが、かなり塩コショウが効いていてそのままで食べられる。これはビールが欲しくなる味。「プーチン・フイロ」を注文しといてよかった。


左上がヴァレニキ、下の皿のうち左がオリヴィエ、右がキャベツのピクルス 
右上のパンはボルシチについてきたやつ

 そうこうしているうちに筆者の注文した品も提供された。まず来たのがランチセットで選べるおかず。4種類から2種類選ぶことができて、筆者はキャベツのピクルスとオリヴィエというものを注文。
 キャベツのピクルスは赤キャベツを酢漬けにしたもので、キャベツのシャキシャキ感を残しつつ水分を含んでいる。スライスされたニンニクらしきものも入っていて、箸休めにはちょうどいい。
 オリヴィエはちょっと酸味のあるマヨネーズサラダといった感じ。名前は見慣れないが万人受けする味で、具沢山でもあり結構おいしい。追加で注文したいくらい気に入った。

 さて、いよいよメインディッシュのヴァレニキ。○○ニキというとなんだかネット用語みたいだが、これはマッシュポテトときのこを生地で包んだ、れっきとしたウクライナの郷土料理。こちらもタレ(?)のサワークリーム付き。では、いただきます。
 まずサワークリームを付けずに食べてみる。味付けはペリメニと同じで塩コショウだが、ペリメニと違ってこっちは薄味。たぶんマッシュポテトを詰めたものだからかな。ペリメニと同様に皮は肉厚で食べ応えあるし、具がマッシュポテトだからといって口の中がパサつくことはない。次はサワークリームを付けていただく。うん、美味い。サワークリームの酸味が食欲をそそる。これはフォークが止まらない。

 ヴァレニキは皮が厚く、マッシュポテトをベースとした具がぎっしり詰まっていた。ランチセットについてくるヴァレニキは6個であったが、ボルシチなどと一緒に食べると結構おなかいっぱいになる。最後に残っていたボルシチを飲み干し、会計をして店を出る。
 全体的にシンプルな味付けではあったが、味が単調ということでは全くなく、どれも美味しくいただけた。ウクライナ料理というマイナー料理を扱う店であるが、値段は良心的だと思う。今回注文した品以外にもデザート含めいろいろなウクライナ料理があるので、気になった方はぜひ訪れてみてはどうでしょうか。

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