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東京で異国のコメ料理を味わう

 日本人がイメージするコメ料理というと、炒飯・炊き込みご飯・お粥・ビビンバといったように身近なものが中心となるだろうが、我々が住む東アジア地域以外にもコメを食う地域はそれなりにある。ということで、筆者の知らないコメ料理を食べるために訪れた東京の店をいくつか紹介したい。

1. インドの炊き込みご飯、ビリヤニ

 そもそもビリヤニとは何ぞやということだが、インドなどで食べられているスパイスと肉の炊き込みご飯で、国民食だが結婚式などのお祝いの場でも食されるものらしい(日本ビリヤニ協会オフィシャルサイトより)。とりあえずインド料理としては現地で馴染まれているようだが、インドカレーと違ってあまり日本では聞いたことがない料理だ。
 というわけで訪れたのは上野にあるインド料理店「ハリマ・ケバブ・ビリヤニ」。インドカレーも食べられるが店名にもある通りビリヤニが美味しい店らしい。場所はここ→https://goo.gl/maps/S6yNj6hspsYgDayq8  上野駅から徒歩5分くらいなのでアクセスも良い。
 インド人の方が経営するいたって普通のインド料理屋なので、一人でもためらうことなく入ることができた。昼の時間だからか結構人は入っていて、大体の人がビリヤニを注文していた感じである。
 ビリヤニは野菜ビリヤニ・チキンビリヤニ・ラムビリヤニの3種類がある。今回は初めてビリヤニを食べるので、一番無難そうなチキンビリヤニのランチセットを注文。
 

チキンビリヤニのランチセット
中央がチキンビリヤニ、右上がスープ、左上がサラダ、ビリヤニの左がライタ

 良いスパイスの香りとともにビリヤニが運ばれてきた。未知の料理に対する興奮を刺激する匂いだ。空腹だったので早速食べよう。いただきます。
 スパイスが強いカレーピラフという感じで、結構おいしい。バスマティ米というインドの細長いコメにスパイスと鶏肉のダシが吸い込まれてて手が止まらない。味を変えたいなと思った時はビリヤニに入っているスパイスの塊(上の写真だと一番下にある赤いものやその右にある茶色の棒)をかじったり、左にある、ライタというヨーグルトソースをかけて食べてみよう。ヨーグルトを掛けるの?と思うかもしれないが、ビリヤニのスパイシーさとライタの甘酸っぱさが絶妙なのだ。
 ビリヤニは結構量が多くて、おなかを空かせて行ったのに食べ終わった後はかなり腹いっぱい。これだけの量があって1000円程度なのでかなりコスパもいい。気になった方はぜひ訪れてみてはいかが。

2. アレクサンドロス大王も食べたかも?中央アジアのプロフ

 プロフというのはプロフィールのことではなくて、食べ物である。日本でよく聞く言い方にするとピラフ。ピラフというとフランス料理のイメージだが、もともとトルコから伝わったものであり、更にその発祥は中央アジアということらしい。アレクサンドロス大王が中央アジアに遠征した時に現地で食したともいわれているようだから、その歴史は少なくとも2500年はあることになりそう。先ほどのビリヤニと同じように、中央アジアの国民食であると同時に結婚式などのお祝い事でも出されるようだ(というかビリヤニも元をたどればプロフに行きつく)。
 そんな発祥の地のプロフを食べるために訪れたのは高田馬場にある中央アジア料理店「SAMARKAND TERRACE」。


中華食材店が入っているこの建物の3階

場所はここ→https://goo.gl/maps/QNaCY9ygkTaKsJNq9  高田馬場駅から徒歩5分くらいなのでアクセスも良い。

 最初は建物の目の前についても案内が無くて困惑したが、階段を上っていくと3階に小さな看板があり、そこがお目当ての店舗だ。
 店内はテーブル席が8つほど。建物があまり古くないうえにガラス張りなので開放感がある。店員さんは中央アジアの方で客も自分たちが行ったときは日本人が他にいなかったので、軽く異国に来た気分だ。プロフが目的なのでプロフセットを注文。

セットメニューはジュースを選べる。左がアプリコットジュース、右がラズベリージュース

 セットメニューのジュースは筆者はアプリコットを、一緒に行った友人(エチオピア料理やミャンマー料理に付き合ってくれたヤツである)はラズベリーを注文。アプリコットジュースはのど越しのいい甘さでクセになる。美味しい。
 

プロフセット 左がプロフである

 プロフが運ばれてきたので早速食べてみよう。いただきます。
 味は素朴ですね。あまりスパイスで味付けしているような感じではないし、たぶんバターで炒めているからか結構マイルドな味わい。上に載っている牛肉はかなり柔らかい。コメの味付けがシンプルだからこそ、牛肉のうまみやニンジンの甘みも感じられて上品に仕上がってるなあと思った。
 美味しくてあっという間に食べ終わってしまった。料金は1200円くらいだったかな。外を眺めていると店主の方が庭でイスラム教の礼拝をしていた。食事以外にも異文化を体験できてとても楽しい。ここのお店はプロフ以外にも、ケーキ屋みたいなショーウィンドウ形式で中央アジアのパンや一品料理が置かれており、何回来ても飽きないと思う。気になった方はぜひ訪れてみてはいかが。

 以下はおまけ。
 一緒に来た友人がクラフトコーラの店を知っているようなので食後に連れて行ってもらうことにした。
 神田川沿いを歩いたり路地に入ったりして着いたのは「伊良コーラ」という店。場所はここ→https://goo.gl/maps/uF7DxA2DSPkZi66aA  店は土日しかやってないようで着く直前に引き返そうとしたが、自販機を発見したので安心。これなら曜日問わず飲めるね。
 

伊良コーラ 結構歴史あるみたい

 二人で乾杯して飲む。うん。結構香辛料が効いてる。ショウガとシナモンかな、カルダモンかな?ちょっと分からないけどコーラというよりはジンジャーエールに近いかも。香辛料のおかげでクラフトコーラの甘さが引き立っている感じで不思議だ。味を確かめながら飲んでいたらあっという間になくなってしまった。また飲みに行きたいね。

3. エジプトに行った人は虜になって帰ってくる!?エジプトの庶民料理、コシャリ

 コシャリって聞いてもどういう料理か全く想像できないが、コメ・細かくしたパスタ・ひよこ豆・フライドオニオンなどにトマトソースを混ぜて食べるエジプトの料理である。向こうでは結構食べられていて、国民食と評されているようだ。
 前にエジプトに行ったことのある人から「コシャリが美味かった」と聞いたことがありそれ以来ずっと気になってはいたが、カイロではなく東京でコシャリが食べられる店があるのを知ったので行かないわけにはいかない!
 というわけで訪れたのは錦糸町にある日本初のコシャリ専門店「コシャリ屋 コーピー」。場所はここ→https://goo.gl/maps/Wap7kEpb1E5GWd959  錦糸町駅から徒歩5分くらいの場所にありアクセスも良い。

この建物の2階 「エジプトを代表するB級グルメ」

 店内はバーカウンターのような雰囲気だが昼はいたってふつうのコシャリ屋であり、家族連れの客もいた。

温玉炙りチーズコシャリ 右上はモロヘイヤスープ
ラムのコフタコシャリ 右上は同じくモロヘイヤスープ


 本場エジプトではシンプルなコシャリが大半のようだが、この店ではトッピングを追加したアレンジメニューも豊富である。筆者は2度この店に訪れており、最初は温玉炙りチーズコシャリ、二回目はラムのコフタコシャリを注文。コフタはハンバーグみたいなもので、こないだ行ったアルメニア料理屋で食べたキョフテと似たようなものである。(アルメニア料理の記事はこちら:炎天下、高田馬場で異国料理を味わう|しぐま|note
 ではまず温玉炙りチーズコシャリを食べてみよう。いただきます。
 トマトソースをかけた後グリグリと混ぜ合わせて一口。美味しい。思っていた以上にトマトソースが噛み合っている。フライドオニオンのサクサク感がアクセントになっており、チーズと温玉によって濃厚な味わいになる。今度はテーブルに備え付けのダッア(酸味ソース)とシャッタ(辛味ソース)をひと回し。ダッアのおかげで結構さっぱりした味付けになった。シャッタはそこまで辛くはない印象。
 次にラムのコフタコシャリを食べる。いただきます。
 トマトソースをかけた後かき混ぜて、まずはコフタ抜きのシンプルなコシャリで食べてみる。うん。トマトの酸味と甘みが良く絡む。具材はシンプルそうだけどなかなかに奥が深い料理かもしれない。ラムのコフタも全然臭みがなく美味しくいただけた。
 モロヘイヤスープはかすかな辛みがあるがさっぱりしていてスルスルと飲める。モロヘイヤの原産が北アフリカということで、向こうではよくスープにして飲まれているようだ。ちなみにモロヘイヤは栄養素が豊富で美容効果があるらしく、かの有名なクレオパトラ女王も飲んでいたとかナントカ。
 美味しい上にかきこむ系のご飯であったためあっという間に食べ終わってしまった。ごちそうさまです。暇なので店内でぼーっとしていると、ここであることに気づく。さっきから店内に流れているアラブ風の音楽、歌詞が店名の「コシャリ屋 コーピー」だったりコシャリの食べ方だったりしているのだ。独特だなあ。
 値段はセットでそれぞれ1200円前後くらい。日本でコシャリを食べられる店はかなり貴重なので、気になった方はぜひ訪れてみてはいかが。


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