【精神病理】ADHDと実行機能の損傷

ADHDって聞いたことあるかな?

発達障害の一つなんだけど、最近は増えてきた気がするよね。

ADHDの患者が増えたというよりは、ADHDの認知度が高まったおかげで、これまで言えずに悩んでいた人が『自分もADHDだ』と言いやすくなったんだろうね。

僕の周りにも結構いるよ。

一応発達障害の一種だから、障害というか病気ではあるんだけど、ある程度先天的なものだし、『根治する』ってのも難しいからそれを個性としてどう生きていくかを考えようってのがここ最近の風潮な気がするな。

あまり詳しくない人のために簡単に説明しておくと、ADHDってのはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略で、日本語にすると『注意欠陥多動性障害』っていう長ったらしい名前なんだよね。

症状としては大きく三つあって、『多動性』『衝動性』『注意欠陥性』の3つなんだ。

多動性ってのはじっとしていられないってことね。

んで、衝動性ってのは突飛な考えをしたり、突然の考えで衝動的な行動をしちゃうことを言うんだ。

そして、注意欠陥性ってのは、一つのことに注意を向け続けることができなかったり、何かをしていて別のことに少し注意を向けると、その前にしていたことを忘れてしまうみたいなことを言うんだ。

まぁ、みんなもある程度どれも心当たりあると思うんだけど、それが自分の年代の平均と比べて著しく劣っている場合、そしてそれによって私生活に支障が出ている場合にADHDって診断をもらうんだよね。

もちろんもらってはないんだけど、行動からしてADHDだろうなって人はたくさんいるよね。

まぁ、その人がそれでいいんならいいんだけどさ。

でね、ADHDって少し前までは子供の行動的な問題の話でしょ?って思われてたの。

だから思春期から大人になるに連れてその行動も軽減していくだろうって。

でも、どうやらそうでもないぞってことがここ最近でわかってきたんだ。

今まで考えられていたのとは逆で、子供の頃にはあまりADHDの症状って目立たなくて、気づかれづらいんだ。

だって、さっきの症状を見ればわかるように、ああ言うのって子供だと当然っちゃ当然だよね。

特に男の子はじっとできないし、衝動的な行動はするし、注意力はないしって感じで、それでも健康な男の子って感じに見えちゃうんだよね。

けど、どんどん大人になるにつれて、環境に合わせて自分をコントロールしないといけない時が増えてくるんだけど、その時にそれができないってことに初めて気づくんだよね。

そして、それからやっと『あれ、俺周りとなんか違うぞ』って思い始めるんだよね。

つまり、従来の認識とは真逆だったんだよね。

それから、科学的にはADHDを行動的な問題ではなく認知的な問題として取り扱ってるんだけど、その中でも『実行機能(Executive Function)』との関わりについても研究が多いんだよ。

『実行機能』ってのは、思考だったり記憶だったり、推論だったり、人間にしかできない『高次的な認知活動』っていうんだけど、その認知プロセスを司っている部位の総称のことね。

厳密には、前頭前野と大脳基底核と視床っていう部位が主に関わってるんだけど、この辺は興味がある人だけ調べてみてね。

人間の脳って他の動物と比べても大きいんだけど、それは大脳皮質の発達によるものが大きいんだよね。

大脳皮質って何するところかっていうと考えるところなんだよ。

思考したり計算したり、今目の前にないものを想像したりって他の動物にはできないだろ?

人間にしかできないことなんだよ。それは大脳皮質が発達したからなんだよね。

実行機能もそれらが司っているんだ。

そして、ADHDの人の中にはこの実行機能が損傷している人が多いんだ。

実行機能が損傷するとさまざまな行動的問題が出現するんだけど、そのうちのいくつかを紹介するね。

まずは活動の制御だよね。自分の行動をコントロールしたり、計画を立ててその通りに行動するってことができないんだ。

だから、どれだけ大事なことでもギリギリになって焦るまで始めないんだよね。

次に『集中』ね。まぁとにかく集中力が持たないんだって。

YouTubeに上がってると思うんだけど、ADHDの人を部屋に入れて作業をしているところを観察するっていう実験の動画があるんだけど、それをタイムラプスで見るとすごく面白いよ。

永遠と動いてるんだ。作業に集中している時間なんてほんの少しに見えるよ。

何かをしていても他の考えとかが意識に登ってきて気が散っちゃうんだろうね。

退屈な作業だけじゃなくて映画を見たりラジオを聞いたりする時も集中を保つことができないんだって。

次が努力だ。ADHDの人は努力を継続することに困難を抱えている人が多い。

だから、何かを始めても長続きしないんだ。だから飽き性とか継続力がないとかって言われちゃうんだよね。

そして、感情の制御も苦手なんだ。

彼らは感情的になると制御することができない。

ADHDの人曰く、感情が脳内を支配すると理性の声なんて一切届かなくなっって、パソコンにウイルスが入ったかのように制御が効かなくなっちゃうんだって。

そして、実行機能の重要な役割の一つとしてワーキングメモリーがあるんだけど、それも正常に機能しないことが多い。

だから、ADHDの人ってさっき言ったことを忘れていたり、少し前に覚えたばかりのことをすぐに忘れちゃったりするんだ。

それはワーキングメモリーが情報をしっかりと保持できていないからだよね。

イギリスにいた時にお世話になった先輩もかなりADHDの気があって、僕が電話した時に『今話せないから後で掛け直す』って言われて掛け直してきたことなんて一回もないんだよね。

それでこっちから掛け直すと毎回『マジでごめん、ほんとに忘れてた』って謝られるの。

人によってはイライラしちゃうよね。

あとは、自分の行動なんだけど、さっきも言った通り、じっとしておくことができないんだよね。

さらに、急に頭の中の考えが突飛な方に行っちゃって、そのせいで周りが全く理解できない突拍子もない行動をとっちゃうことがあるんだよ。

周りは全くついていけなくて、みんな『どういうこと?』ってなっちゃうんだよね。

だから、ADHDの人ってのは環境をきちんと選ばないと生きづらいだろうし、適切な人間関係を構築しないとそれも崩壊しかねない。

けど、さっき例に出した先輩もそうだけど、すごくみんなから愛されてた。

当然僕も大好きな先輩の一人だった。

しかも、その人はコンピュータサイエンスを専攻してたんだけど、この前久しぶりに会った時に聞いたら、今はスタバのホームページの制作をしてるんだって。

すごいよね。ADHDでも優秀な人は当然たくさんいるんだ。

けど、やはり劣勢なところは劣勢だから、それすらも開き直る人が増えていることには疑問を感じているんだけどね。

AHDAと実行機能の損傷。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


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