サネユキ

停滞と自虐となんかそのいい感じの言葉たち

サネユキ

停滞と自虐となんかそのいい感じの言葉たち

最近の記事

短歌─虹彩現象

. 長い夜を、眠れずにひとりで明かした。 ───── まばたきの隙間に滑り込む夜明け 脆いこころを拒絶するかに ぬるいだけの空気に甘やかされながら 自分の影をなぞる指先 ねえもしも君が死んだらこの歌は 二度と聴けない、そういう呪い 単語帳捲るみたいに いきかたを再確認する 忘れてないよ 追憶はフイルムカメラに綴じたまま 薄膜層を越えてこないで ───── 解けない呪いを探すみたいな日々。 さようなら。

    • よふかし短歌

      あ、あ、マイクテス。 ───── 報われた気がした、夜明けが遠のいて 貴方はきっと36.8℃で 責め立てるように差し込む朝日から 逃げようきつく抱きしめあって 落ち葉ではなくコンビニで商品を選び取るよに拐って欲しい 貴方との記憶はどれも甘すぎて 寝酒などにもなりやしないわ イヤホンを忘れてきたから 街中でわたしの名前を呼べば気付くよ ───── へたくそな言葉で、鼓膜を震わせた。 さようなら。

      • でぷれす短歌

        日常が「しあわせ」であればあるほど、その残滓は色の濃さを増していく、という。 ──────── ターコイズブルーの瞳が融け出して世界がおわる前にさよなら 掴めないならと見ぬふりした甘美なる痛み、まだ忘れられずに 死人みたいなビルの街きみが居たような気がした4番出口 どうかどうか迷える我等を救い給へ高潔なる君、出来ぬなら死ね ねえ聞いてこの苦しいのがおわったらぼくら気球で海までゆくの ──────── ぜったい行こうね。 さようなら。

        • とけのこり短歌

          ほぼ再録。 ──────── 夜の雪しずかに融かすマッチ棒 ねむる街路樹にきみを想う 身動きのひとつに油が足りなくて雁字搦めの身体に寒さ 怖いのだ静けき森の陽光が如くたおやぐ瞳のいろが ひかる月映す流れは滔々と あなたに会って、すこし泣きたい ──────── さかむけを剥いちゃう日もある。 さようなら。

        短歌─虹彩現象

          くれどき短歌

          苟且の愛なぞ要らない、なんて、強がりだよ。 ──────── イラストの天使は笑い僕はまた死に損なってきみに電話する でもきっと逃げきれないとわかってて月の光を手でさえぎった 便箋を折ってハート型のシール、すぐに火を付け愛を葬る 呼吸すら忘れたいほど寒い朝だけきみの名をつぶやいてみた ──────── ビーカーから珈琲の滴が落ちるのだけ、ずっと見てた。 さようなら。

          くれどき短歌

          すっから短歌

          氷食症が治らない。 ──────── ぼくたちの鼓動の数は決まってて どきどきしよう、はやく死ぬため 仄白く夜に伸ばした指先で わたしを思い出してね、スピカ 破ってもいいよ菓子袋みたいに ふくらんじゃったきもちも全部 ──────── 爪が伸びる瞬間、が見たい。 さようなら。

          すっから短歌

          まちまち短歌

          今になって寒さが本気を出してきた。やめて。 ──────── ビル風のぴいんと鳴いて振り返る もしか会えたりしないかなって しあわせになっちゃう前にさっさかと死ねばよかった、嘘だよごめん 思ったより嫌いなものの多いわたし 空集合の「好き」がふわふわ 視てるのか視られてるのか 槍のよう視線飛び交うパンオプティコン 低体温症で死にたい そのままでほっておかれてイカロスになる 「ひさしぶりだね」ブロンドをかきあげる金環日食みたいな指輪 雨頭痛満員電車小テストでも君が

          まちまち短歌

          ゆきの日の短歌

          叩きつけるみたいに降ってきた。痛かった。幸せ ──────── 我儘も卑屈も愛もとろかしたスープ、あなたもひとくちどうぞ 不確定をタラレバ使わず信じ合うだけのぼくらは幼子のよに ご立派な屍衣を着たままに立ち尽くしては救いを待って 冬が好き。冬が嫌い。でも冬が好き。歌うみたいに握るきみの手 ──────── 青にひとさしの赤、でも紫じゃない、あの色はなに? さようなら。

          ゆきの日の短歌

          ひやひや短歌

          炬燵に入ればいいものを、素足を膝に挟んで暖を取らんとする、愚かな人間。 ──────── あしたにはもう忘れてていいからさ ぼくらの墓を建てにいこうよ 叫んでも無視して、もっと痛くして そうされなくちゃ生きられないから 皮膚越しに摘んだ鎖骨 いとしさを抱き締めるのに足る骨密度 夜を更かす明日から逃げて夜を更かす 覚醒したまま夢をみていて ゆびさきをわざと冷たく保つのは こころにチャンネル合わせるために ──────── 生まれてこのかた自傷なんてしたことないけ

          ひやひや短歌

          ぱらぱら短歌

          言葉 雪と同じくらい軽くて脆かったらいいのになあ ──────── セオリーを知るたびことばを取りこぼし いつか呼吸もできなくなるの くるおしいほどの夕暮れ 花を孕む蔦のロープで首を吊りたい 道端に落ちた軍手をみつけては ネバーランド、を、夢見てみたり 「わたし今日猫を見たのよ わたしもう貴方と会わない だから忘れて」 四人席通されぽつねん 三人分服のショッパーひろげて孤独 振り返って「ああ、そこにいる」目を合わせ それ以上でもない臆病さ ────────

          ぱらぱら短歌

          おひさしぶりです

          ずっとサボっててごめんなさ~~~~~い ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 乗合のあなたとわたし 名も知らなければ微笑みあって逸らす目 クロノスタシス 茶化した様な一瞬に 真冬の海のような目をして 夜の雲どうしてむらさきいろなのか 手をつなぐあてもないくせしてさ 理由はなくいつも着けてるイヤカフを あなたがいつか思い出せばいい 手の甲にためすチークで 血色感足していきてる振りをしている 隙のない貴方が羨ましくなって 誰のものでもないままの空 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 人生そん

          おひさしぶりです

          短歌かもしれない

          鬱々しやがってよ!わたし! ­­--­­--­­-- あのひとが笑うときだけアイボリー 原色よりもあざやかな毒 夜は更けるぬるい空気を吸い込んで 滔滔駄駄とよるは更けゆく コンビニで買った炭酸飲料の 結露が落ちる前にいこうか 砂浜に置けば飲み込まれる小指 このまま世界がわたしを食べて 忘却をもってあなたを殺しきろう やさしい劇薬のみこむみたいに あと一歩歩いたら死ぬ、から、はやく むかえにきてよ、端っこまでさ、 敗北のあまやかさに口角あげて 負けたし征服されて

          短歌かもしれない

          さらさら短歌

          暑くなってきましたね。半袖はそわそわする。 --- 薄紙を一枚一枚めくるよな わたしはそれを愛と呼ぶだけ ガムの味いまのぼくらの幸せのようで 噛むのをためらっちゃうね ぼくが[Error]いなくなっ[Error]てもたぶん あなた[Error]はだいじょ[Error] 踏切をすぎる電車のスカイブルー きれいと死とはとなりどうしで 「暫くの間休みとさせていただきます」 水仙、夏が来るんだ --- 蝉、まだかな。 さようなら。

          さらさら短歌

          うとうと短歌

          そんなに眠気を誘わなくてもいいじゃん、春。 --- 鼻を抜け脳まで揺らす炭酸が あなたの声にすこし似ていた 芸術のためにわざわざふしあわせに なるひとたちを笑えないのは 痛くてもいいよ棘ごと抱きしめた こころと同じ大きさの薔薇 電源を落としたみたいなベランダで 夜風がホットコーヒー撫でる --- さようなら。

          うとうと短歌

          ひさびさ短歌

          おひさしぶりです。 --- 刷毛の先撫でて隠した爪半月 おおかみおとこに成れないコバルト 代名詞ではなく名前で呼ばれては お湯の浸透圧が増してく 電話越し泣きじゃくるきみ ねえ世界、わたしが魔王じゃなくてよかったね 午前二時届けアイワナビーフリー 霧と消えてく20デシベル --- 今日は16℃までしか上がらなかったらしい。 さようなら。

          ひさびさ短歌

          短歌を詠んでも一人

          あたたかくなってきたらまた家の中を蟻が出始めました。こんにちは、やめて。 ­­-- 瞬いてさやかなきみの声だけを 届けてくれと停滞の夜 ゆうぐれの乗合電車ここち好く 地下のトンネル胎のごとくに いけない、と首を振っては冷水を 浴びてちいさなヨルダンの流れ ­­-- ヘレディタリーを観た後なので蟻が怖いよお。 さようなら。

          短歌を詠んでも一人