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ル・ポールのドラァグ・レース:多様性の祝福

最近のあわただしい日々の心の支えは、Netflixでル・ポールのドラァグ・レースを観ること!最初は友達に勧められて、それほど大きな期待もせずに観始めましたが、すっごくおもしろい!見事にはまりました。

なぜおもしろいかと言うと…

私のドラァグ・レースの最初のイメージは、男性が女装をし、どれだけ「女性らしく美しく」なるかを競うもの、といった感じでした。いわゆる、ドラァグクイーン版のミスコンのような感じ?と思っていて。そういう、一般的な「女性美」が良し、とされるなら興味ないな、と思っていました。。が、、、そういう側面はないとは全く言えないけど、それ以上の世界観だったのです。

ドラァグクイーンの個性

まず、この世界観に引き込まれたのは、様々なドラァグクイーンがいることでした。もちろん、身体的な女性らしさを強調し、ひときわ美しいクイーンもいます。それだけでなく、ユーモアや話術に優れ、そのトークや個性で人を魅了するクイーンも。ダンスや歌に優れているクイーン、大胆で芸術的、唯一無二の衣装やメイクで周りを圧倒するクイーン、変わった人柄で、周りとは一線を画すクイーン、など個性豊かです。

番組内では、多様な魅了を持った才能豊かなクイーンたちが、自分で衣装をミシンで作ってランウェイを歩いたり、ミュージカルに挑戦したり、コメディーショーをしたり、、、と様々な課題に取り組みます。

そして、審査基準は(私の印象では)、表面的な美しさ、ではなく、どれだけ「自分らしい美しさ」を表現できているか、ということ。自分の長所・短所をしっかり理解して、自分の独自のスタイルを貫いているクイーンが評価される、という点も、とっても興味深いです。

●ル・ポールの存在

この番組で、とっても魅力的なのは、番組のホストの「ル・ポール」。

ル・ポールは、ドラァグクイーンのゴッドマザーのような存在で、凛とした美しさ、存在感、パフォーマンスの才能、そして人間性を兼ねそろえた人物です。このル・ポールが番組に出ているドラァグクイーンたちにかける言葉がとっても印象的です。番組の最後にはいつも、「If you can't love yourself, how in the hell you gonna love somebody else? Can I get an amen up in here? ー自分自身を愛せなければ、どうやって他の人を愛するの?賛成してくれる人?」と言います。

クイーンたちは社会や家族、周囲の人々から様々な批判や否定にあってきた人がほとんどです。そのため、競争の場での審査員からの批判は、過去の傷をえぐるものでもあります。

そんな時、「他の人から何と言われようと、自分自身が素晴らしい人間だ、ということを信じて忘れないで。私はあなたたちがスーパースターだと思っているし、あなたたちを愛している。」ということを、ル・ポールは形を変えて、常にクイーンたちに伝えているように思います。

●作業場でのトークと支え合い

クイーン同士の作業場でのトークもとても興味深いです。ジェンダーのこと、家族にカミングアウトしたときにどうだったか、これまでどんな生活をしてきたか。自分たちの過去の傷や、今抱えている悩みなどが赤裸々に語られます。そして、時にはクイーン同士で共感しあって、支え合う場面も。

ル・ポールが、シーズン5の中で、苦しい過去を告白した、クイーンにかけた言葉が印象的でした。

「私たちはあなたを愛している。両手を広げて歓迎するよ。私たちゲイは家族を選ばなければならない。傍にいてくれる人を自分で選ぶの。私たちは皆、あなたの家族よ。」

彼らが自分たちの苦悩に向き合っていることは、とても勇気のあることだと思います。そして、苦悩の内容は異なったとしても、そのような痛み、苦しみを私自身も感じたことがあるなぁ、と共感する点が多々あります。そして、彼らの勇敢な姿に、私自身も勇気づけられています。

●大好きなクイーン

まだすべてのシーズンを見れたわけではないですが、私にも大好きなクイーンたちができました。私はどちらかというと、ジェンダーの枠に収まらない個性的なスタイルを持っていて、人間的には温かいクイーンが好きなようです。ここからは彼らの魅力を紹介します!

①ニナ・フラワーズ

シーズン1の出場者。底抜けな明るさと、抜群の個性、ユーモアを持っているニナ・フラワーズ。「ロカ」が口癖で、誰に対しても、気さくにフレンドリーに話しかける。奇抜なスタイルと、ひょうきんな人柄のギャップがとっても良い!

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②サーシャ・ベロア

シーズン9の出場者。最初はそれほど目立ちませんでしたが、作業場で人の話を真剣なまなざしで聞く姿が印象的。ロシア語やドイツ語(?)を話せて、高い知性を持ち、独自のスタイルを貫くクイーンです。本人も「ジェンダーフルイド」と自身のことを言っていますが、ジェンダーの枠にはまらない感じも好きです。

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③シア・クーリー

このクイーンもシーズン9の出場者。美しさ、表現力、ダンス、ラップ、ユーモア、何もかも完璧なクイーンです。シーズン中にサーシャとチームを組むことが多く、2人のチームワークが素晴らしいです。今は、オールスターのシーズン5に出場しているので、とっても見たい…公開を心待ちにしています。

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④アクエリア

シーズン10の出場者。この方は、とにかく美しい、の一言につきます。終始自信満々で、ナルシストな感じでしたが(笑)、それは悪意のある感じではなく、「本当に自分はすごいと思ってる」というのが伝わってきたので、なんだかかわいらしく見えてくるから不思議でした。第1話の入場時から、放つオーラが違って、「こういうのを才能、というんだな…」と思いました。

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様々な困難の中でも自分を保ちながら強く柔軟に番組内で戦うクイーンたちに勇気と元気がもらえます。いつかドラァグクイーンのショーを観に行きたいです…!




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