「訓練」と「練習」
僕が学生の頃、ある有名な理学療法士の先生がポロっとおっしゃいました。
「理学療法士協会は〇〇訓練と言わないようにする動きがある」
それから数年経った2021年、今年ですね。日本呼吸ケア・リハビリテーション学会から「訓練,練習という用語の使い分けについて」という活動報告がなされました。非常に様々な議論がされており、面白いのでぜひ興味のある方は検索してみてください!!
1.「訓練」と「練習」
まず、この似たようなこの2つの言葉の違いを考えてみますね。
【訓練】あることを教え、継続的に練習させて、体得させること。 引用:goo辞書
「させる」という言葉が入るように「させる側」の言葉ですね。
【練習】技能・学問がなどが上達するように繰り返して習うこと。 引用:goo辞書
こちらは「習う」とあるように「する側」の言葉になりますね。
似ているようで実は似ていない、立場も違うんです。この意味を理解した上で、リハビリ場面に落とし込んでみましょう!
2.リハビリにおける「訓練」と「練習」
歩行獲得を目標に介入していると仮定して話を進めますね。
リハビリ場面ってPT(理学療法士)が課題内容を提示→患者さんが行う→PTがフィードバックしながら反復→成果。って流れになることが多いと思います。
患者さんを歩けるようにしてあげたい。そのためにもこの課題をしましょう!○○回×〇セットしますね!!とこんな感じですよね。これって「PT→患者」の一方通行で「歩行訓練」になると思います。
でも、リハビリって「歩けるようになりたい!!」という患者さんの希望に少しでも近づけるようになるための一手段でしかないと思うんです。PTはあくまでそのお手伝い役で、主役は患者さんですよね。
患者さんは歩けるように練習する。PTはそのために練習内容を考え伝えてあげる。ですので、「PT↔患者」の相互性があり、「歩行練習」になると思います
3.リハビリの理想
セラピストって(僕を含めですが)、患者さんが歩けるようになったり何か動作を獲得することができたら「俺ができるようにしてあげた」「俺の治療がよかった」と自分の手柄にしたくなっちゃうんです。担当患者さんがたくさんのことをできるようになって退院してくれるのは嬉しいですからね。
でも、実際って本当にそうなんでしょうか。患者さん自身が歩けるようになりたかったり、車椅子への乗り移りができるようになりたかったり、そこにはご家族の方の希望や願いもあったり、それらをひっくるめて患者さん本人が時間を惜しんでリハビリに励んでくれるから目標が達成できると思います。
それに寄り添いながら最適な方向へ導くことのできるセラピストが、患者さんと良い関係性を築き、より高い目標を目指すことができると僕は思っています。
「訓練」と「練習」
カルテに記載するたった2文字の違いですが、そんな小さなことから意識していくことで、もしかしたら患者さんとの関わり方が変わってくるかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?