見出し画像

歳をとっても偉くなれない

人間は年齢とともに知識量が増えて、どんどん成長し、生物としてのクオリティーが上がっていく……。

だとしたら良かったのですが、残念ながら、どうやらそれは生まれてから20数年の間だけらしく、30代を越えてしまうと、加齢とともに脳の働きは弱くなり、だんだんと物事をポロポロと忘れていく……と、世の科学者たちは、みんな唱えていらっしゃいます。

日常でわかりやすい事例でいえば、漢字の書き方なんかが顕著ですね。

たった今、タブレットで「けんちょ」を「顕著」と0.2秒くらいで変換しましたが、これをなんのヒントも無しにペンで紙に書けといわれたら、「著」はともかく、「顕」という文字は、思い出すまでに30秒くらいはかかるでしょう。

間違えて「頭著」と書いてしまうかもしれない。というか「著」も、ヒント無しだと、者のところの日の上の部分に点をつけるかどうかで、45秒くらいは悩むかも……。

いちおう断っておくと、自分はもともと漢字が苦手なわけではありません。むしろ、得意といって良いくらい。

漢字検定2級を取っているし、「薔薇」「憂鬱」「羅刹」「傀儡」などなら今でもそらで書ける。

中2マインドを擽るような漢字を、リアル中2の頃にたくさんノートに書いて練習していた成果が、立派に結実している。

まあ、そのリアル中2が紡いだ、ポエムが大量に載っていたノートは、後に大学生の頃に発掘して、あまりにも恥ずかしくて発狂しそうになったので燃やしましたが……。

人は誰でも黒い歴史と黒いノートを持っているものですし、新世界の神になるとかほざいた時期があるものです。

しかし、そんなことを言っていられるうちは、まだ己の実力を買い被っている。自信を持ったり、自己肯定感を保つのは良いことですが、勘違いはいけない。

人間は、年齢を重ねるほどに成長していくとは限らない。ソースは俺。「薔薇」がスラスラ書けるのに「顕著」はスラスラ書けないということは、確実に漢字力がリアル中2の14歳の頃まで低下している。

あ、いや、あのですね、いつも述べているように、自分は永遠の14歳ではあるのですが、どうやら戸籍上は成人してから10年以上が経っているらしく、30代ということになっているらしいんですよね。おかしなことに。

長い間、どうせドッキリだろうと信じていたのですが、よく考えたら、知り合いにユーチューバーいないしなあ。

にも拘わらず、ある程度の歳をとればできることになっているはずの、最近の若い奴らはけしからん、というマウントが取れない。取らない、というよりは取れない。

もうそろそろ、若者とは呼ばれない側に来ていることは自覚しているが、まだ子供でいたいずっとトイザらスキッズというか、実際に精神がキッズなのである。

まあ、自分がおもちゃを買ってもらうのは、トイザらスではなく主にジャスコの3階でしたので、正確にはジャスコキッズと称するべきですが、そもそも若者というのは、子供の頃にはすでにジャスコがイオンになっていた人々のことを指すんだよなあ。

ジャスコがイオンになろうが、ミドリ電化がエディオンになろうが、トミカとプラレールのコーナーは必ず見に行く。そんなわたくし。

これでは14歳どころか、2歳の頃から全く変わっておらん。とても、現代の中高生や新卒に説教などできる立場ではござらん。

むしろ、幼少時からスマホやタブレットに慣れ親しんでおり、HIKAKIN先生から人としての在り方を教わっているゼロ年代チルドレンの皆様の方が、電子手帳に憧れるも小6の月1000円のお小遣いでは買えず、ある日いきなりPENICILLINのHAKUEIさんに転生する妄想しかしていなかったような自分よりも、よっぽど優秀であるといえる。

ここで、しかし彼らはテレホンカードの使い方を知らないとか、黒電話を見たことがないとかでマウントを取るのは馬鹿げていると思っています。だって、テレホンカードも黒電話ももう、生活に根差したものではなくなっているから。

廃刀令が施行された後に、いくら自分が立派な武士であったかを自慢しても、それはあくまで過去の武勇伝である。今の時代で偉いのかというと、別にそうではない。

人斬りが良しとされない時代になれば、不殺の誓いを立てるべきであり、路上喫煙が禁止される時代になれば、歩きタバコは辞めるべきである。

これからどんどん時代が発展し、車もしばらく空を飛ぶ予定はなさそうさと歌ったポルノグラフィティが結成50周年を迎え、アポロが47号くらいまで開発された頃、わたしは良い大人になっているだろうか。

老いて時代についていけなくなるのはともかく、時代を否定するように老いていきたくはないものです。たとえ、生物としてのクオリティーが下がり、「薔薇」の漢字が書けなくなっても。

ちなみに、HAKUEIさんに転生する妄想は、今でもたまにします。

その世界線では『ロマンス』ではなく、その少し後に出た『イナズマ』という曲がアニメの主題歌に抜擢されて大ヒットしている。

HAKUEIさんは50歳を越えた現在もお麗しい。あんな50代に転生したい。ビリビリするぜスパークするぜ。

サウナはたのしい。