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2021年沖縄旅行記(前編)


1 行きの成田空港 


 久しぶりに来てまず驚いたのは、閑散とした、まるでゴーストタウンのような、寂しい雰囲気の成田空港。

空港が大好きな私は、少し早く行ってお昼ご飯を食べたり、ショップを散策したりするのを楽しみにしていたのだが、閉まっているお店ばかり。唯一オープンしている店の中で時間つぶしに妥当に思えたのはスタバだった。

コロナの打撃を再び目の当たりにしたようで、なんだか怖くなった。仕方ないので、搭乗手続きが始まる時間までスタバ新作の抹茶フラペチーノを飲みながらスマホをいじったり、たわいもない話をしたりした。

 普通、空港ってこんなんじゃない。

いろんなところから様々な言語が聞こえてきて、みんながワクワクした顔、あるいはすっきりした顔をしている、そんな夢のような場所であるはずなのに。

1年ちょっと前、パリ旅行に行く際に使った両替所をみたが、当時と違ってそこには誰も並んでいなかった。しかし当時の記憶は鮮明に思い出された。

あの時のワクワク感といったらこれまでに感じたことがないレベルだったな、勝手に声が出たり震えたりして・・・。

浸ったらきりがないし行き場のない気持ちが高まるだけだ。
とにかくはやく、再び、海外に行きたい。その気持ちを確認して、それ以上は考えることをやめた。

 搭乗券を発行して荷物の重さをはかると、なんと7.2㎏。
ピーチの手荷物の重さ7.0㎏で、上限は余裕で(スーツケースからっからなのに)オーバーしてた。

あわててコンビニで買ったおひるごはんをたべ、スーツケースに入れていたマフラーや重いその他の物を身に付け、再び重量を測定。
努力のかいがあって、5.3㎏に。

頑張った成果がこうやってすぐ、目に見えるって素晴らしい。
第一関門をクリアできたので、搭乗ゲートへと向かった。

ここで第一関門から予想以外の短距離で、第二関門が私の目の前に立ちはだかる。

 あれ?航空券、どこやったっけ・・・

若干不安になりながらバックの中を探すが、悪い予感はいつも的中する。航空券はどこにも見当たらなかった。

友人に落ち着けと言われるので、落ち着いて、過去の記憶を辿る。まもなく、最も濃厚な説が浮かび上がった。

 『多分捨てたな・・・』

友人には心底呆れられただろう。

私はおそらく、無意識の世界を通常の人の2倍、長く生きている。航空券を手にした時も、それを無意識にコンビニの袋に入れて、ゴミと一緒に捨てたのだ。
自分でもびっくりだ。慌てて、
『下のゴミ箱漁ってくる!』
と走り出そうとしたところ、友人が
『大丈夫?私も行こうか?』
と言ってくれたので(自分のことぐらい自分でなんとかできるようになりたい)
甘えて、付いてきてもらうことにした。

猛ダッシュで来た道を戻り、チェックインカウンターに並ぶ。
しかし、なかなか自分の順番が来ない。

ただ待っていることにソワソワして、とりあえず私はゴミ箱をチェックしに行くことにした。

私は急いで家を出た時、バスを待つんじゃなくて走って駅まで行きたいタイプ。非合理的なのは自分でも分かっているのだが、こういう時に動かずにはいられないのだ。

結局ゴミ箱の中は綺麗になっていて、私のゴミ袋はなくなっていた。
急いでカウンターに戻ると、友人が手招きして私を呼んだ。
彼女は優秀なことに全ての事情を受付の人に話し、手続きをしていてくれたのだった。

できる友達を持ったなあと感動すると同時に、自分のアホさ加減に悲しくなった。
「時間ないので、急いでください!!」と受付のお姉さんに急かされて、またまたダッシュ。久しぶりに走って、久しぶりに汗をかいた。

緊張やら、焦りやら、安堵やらが混じった、全くもって気持ちよくない汗だった。
 無駄にすごく疲れたけど、無事に飛行機に乗れたのでオールオッケーということにしておこう。

トラブルがあってこそ、旅ですから(友人には言えない)。

第二関門、クリア。

2 機内


座ったのは大好きな窓際の席だった。

とても嬉しくなって、早速本を取り出して読み始めた。飛行機って、何するにも捗るし、外見れば雲見て癒されるし、終始ワクワクしていられる。自分の部屋にこの空間が欲しい。

読み始めた本も、家ではなかなか読み進められなかったのに、(コーヒーとチョコをおつまみに)あっという間に半分まで読み終わった。
読んでいた本は、キングコング西野亮廣が書いた『革命のファンファーレ~現代のお金と広告~』だ。
私は最近になって、やっぱり最終的には起業したいなあなんて考えていたので、この本の内容はとてもためになった。彼のお金に対する考え方やそれまでの常識を覆すようなマーケティングの手法がとても面白く、読んでいるうちに起業したい欲はいっそう高まっていったのだった。

きりのいいところまで読み終わったので、窓の外を覗いてみた。もうすぐ沖縄だろうが、分厚い雲が地球を覆っていた。

地球から見たらその景色は感動的なものではないだろうが、こちら側からの曇り空は驚くほどに綺麗だ。
オレンジ色の光を反射したふわふわの雲は天使の国の大地みたいな感じで、とても幻想的だった。

那覇空港に着く二十分前。飛行機は徐々に下降し始め、ふわふわの中に突入していった。このふわふわ、見た目は可愛いのに威力がすごい。飛行機はガタガタ揺れて、
「ああ、このまま墜落したらどのタイミングで死ぬのかな・・・」
とか考えてしまった。
 

3  沖縄到着


無事に空港に到着し、電車に向かう。外の風は生ぬるく湿っていて、湿気が嫌いじゃない私としてはとても有難い気候だった。だんだん実感が湧いてきて、心臓の内側から溢れ出るようなエネルギーを感じた。

この時の時間は、夜の七時ごろ。目標は、一〇〇〇ベロを三軒周って、沖縄料理を食べ尽くすことだ。早速ホテル に到着し、荷物を置いて、牧志駅に向かった。この駅はあの有名な国際通りがある場所だ。駅のすぐそばに沖縄料理の店やお土産屋、水着屋などがあって、観光地感が万歳だった。

迷って決めた一軒目は、ちょっと汚そうな焼肉居酒屋。
お肉を何枚かともずくを頼んで、オリオンビールを飲んだ。ビールはやっぱり美味い。他のビールとの違いはなんかよくわからなかったけど、とにかく美味しかった。
美味いなあ、美味いなあと言いながら肉を食べて、また焼いて、おしゃべりして、、これが結構楽しかった。焼肉って、食べるだけじゃなくて焼くのも楽しめるからいい。

友人は美味しい少量のものをいくつか食べたい人 で、自分の胃袋をコントロールするから有難い。私は食べたい欲が先走ってしまうタイプなのだ。台湾に行った時には、たくさん食べたい一心でボックスサイズのカステラを買ってしまい(賞味期限めっちゃ短い)、ひいひい言いながら食べた記憶がある。

それもそれで楽しかったけど、食べ物ってやっぱり一口目が一番美味しい。だから、いろんなものを少しずつ、が一番。

そうしてビール一杯で一軒目を出ると、向かい側にある綺麗目の沖縄料理に入った。

お客さんは一人も見当たらなかった。コロナの影響を直に受けているのだろう。感じのいい店主が気の毒になった。このお店は地元ならでは感の強い沖縄料理が豊富で、ついつい食べすぎてしまった。

頼んだのは、ミミガー、海ぶどう、島豆腐、貝のわさびあえ、もずくの天ぷら。ドリンクは、私は残波(白)、友人はパイナップルサワーを頼んだ。サワーのサイズがとても大きくて不思議だった。アメリカ人の影響なのだろうか。

 初めて飲む泡盛は、意外とおいしかった。それ単体で飲めるような感じじゃ無いけど、沖縄料理ととても合う。例えるなら白ワインのアルコール感を強くして甘みを抜いた感じ?ちょっと苦いから、甘い味付けの料理と相性が抜群だった。

焼酎をうまいと思って飲んだのは初めてで、また大人になったなあって思った。

 二人ともお酒にはどんどん弱くなってきているのか、可愛らしいことに二杯しか飲んでいないのに酔っ払っていた。お腹いっぱい食べて大変満足し、お店を出た。

4 二日目

夜はあまり眠れなかった。ホテルってどこも乾燥していて、旅行中は肌の痒みと喉の渇きで起きるのがあるあるだ。旅行中は特にぐっすり眠れる環境が必要なのになあ。
眠かったけれど仕方なく起きて、だらだらと朝の支度を始めた。
今日の朝ごはんはソーキそばの予定・・・だったが、お店の開店時間が11時だったので断念。
若干の時間を持て余して近くのショッピングモールに吸い込まれた。
朝ごはんを何か買えたらなあと思っていたのだが、思いのほか可愛いファッションブランドが入っていてウィンドウショッピングを楽しむことになった。
結局ニコアンドでピアスを買った。やはり私はショッピングが大好きみたいだ。不幸な趣味だから辞めたいところだが、本能がそう言っているのだから仕方がない。理性で抑えつつ、程よく楽しもう。

 レンタカーを借り、早速うるま市へ向かった。道中は大好きな音楽をかけて歌いながら、楽しく過ごした。車を運転している友人が、なんだかすごく頼もしく見えた(実際頼もしい)。

しばらくするとあっという間に目的地周辺にたどり着いた。両サイドの海が美しい橋を走った時の気分は最高だ。初夏にオープンカーでまた走りたい。

それにしても、沖縄は本当に暖かい場所だ。もうそろそろ一二月になるというのに、半裸でサーフィンしている人がいる。こんなにも透き通った水色の綺麗な海で年中サーフィンができるのは、サーファーにとって夢のようだろう。

一旦車を降りて海の前で写真を撮った。が、風が強すぎて映える写真どころか髪の毛が爆発したどうしようもない写真がたくさん撮れた。これもまた、いい思い出だ。
この旅行で、海で泳いだり潜ったりはしなかった。個人的に、海で水着を着て泳ぐのは苦手だ。なぜって、海水がしょっぱすぎるしまずいし、肌がヒリヒリするから。
本格的なシュノーケリングやダイビングをしない限りは、海は鑑賞するのが一番満足できる楽しみ方だと思っている。


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