「応仁の乱」(池波正太郎)

 庭師の善阿弥と足利義政の出会いの話から始まり、義政の息子である義尚が征夷大将軍になるまでを書かれています。
 善阿弥や雪舟など芸術に携わる人に美徳を見出して羨ましさを持つ場面には、腐敗した政治を疎んでいる様子が出ています。善阿弥は河原者出身ですし、雪舟は武家とはいえ下級武士の家で三男と、幕府の役目には関わることのない家系です。権力を持つ守護大名同士で闘争を続けて幕府の力が弱くなる応仁の乱ですが、利益が相反しない人物が羨ましく見えるようです。足利義政の政治は文化や貿易に力を入れていて、現状維持を求めている他の権力者とうまくいかなかったようにも見えます。

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