「将軍」(池波正太郎)

 陸軍大将乃木希典のもとに息子である乃木保典少尉戦死の知らせが届いたところから始まります。とても冷静に知らせを受けている様子で冷血な印象があります。将として表に出さないようにしているにしても徹底されています。実際にはとても繊細で、全ての兵の死に心を痛め悲しんでいます。
 乃木希典は西南戦争時に軍旗を奪われてしまうという失態から自決しようとしたことがありました。当時周囲から止められたものの、常に死に場所を探すようになってしまいました。そんな希典にとって二人の子ども達に先立たれたことが日露戦争後に自決する決定打になったのかもしれません。

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