「鯉魚」(岡本かの子)

 応仁の乱があった頃の京都で、臨川寺の修行僧昭公は家来に裏切られて館と金目の物を失ってしまった早百合姫を匿います。途中までは昭公が寺から出ていくのかと思いましたが、そういった展開にはなりません。
 二人が出会ってから一月ほど後に昭公と早百合姫が会っていることが他の僧にバレて法戦になります。法戦の問答が成立していないのにだんだん正しいような空気になっていくのが面白いです。昭公は落髪を許されます。早百合姫は踊りの才能があったようで、白拍子となりました。環境に適応してたくましさを感じます。恋が成就していなくともすっきりとした結末です。

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