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1分ではなせ❷【本要約】

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〜第2章〜 ピラミッドで考えればコミュニケーションはわかりやすくなる

第1章では思考とアウトプットを中心に紹介しました。しかし、コミュニケーションは一方向では成り立ちません。時には議論になって反対されることもあるでしょう。


⑴互いの納得できるところを探して提案する

この時大事なのは、自分の思考プロセスをわかりやすく共有することです。

(例1)大学の運営について議論する会議で、「僕は学生の学びを最優先する軸に従って、こういう結論を出しました」ということを伝えたとします。

すると「いや、伊藤さんの優先軸はわかるけれども、大学全体の予算分配で考えると、こういう結論になるのではありませんか」などといった違う軸からの意見がでてくるかもしれません。

この時相手の軸(予算分配に乗っ取らなければならない)がわかれば、
「なるほど、それはそうだね」と優先する軸をお互いに理解したり、歩み寄りながら議論することができます。

逆に結論を突き合わせるだけでは、なぜ相手がその結論に達したのかがわからず、合意に達しづらいのです。

そして、議論というのは、お互いの頭の中にあるピラミッドを交換して、よりよりピラミッドを作る行為であるといえます。


(例2)あなたが新しいウェブサイトの企画を社内で提案したいとします。

自社サービス集客のために、フリーランスのお金情報についてまとめるウェブサイトを作りたいと思っています。現在日本にフリーランスは1200万人ほどいますし、まだ類似するサイトは少ないです。社内のウェブサイトの仕組みを使えば、すぐできると思うのですが、どうでしょうか?」
という話をしたとします。

(あなたのピラミッド)
【結論】フリーランス向けのお金のウェブサイトを作りたい
【根拠1】多くの人が必要とする内容である
【根拠2】まだないサービスである
【根拠3】社内の仕組みを活用できるのですぐできる

相手はそこで何を聞いてるかというと、結論と同時に、結論に至るプロセスを見ているわけです。そして
『フリーランスといってもいろんな立場の人がいるんじゃない?』
『まだないと言っているけど、こないだこんなサイトを見たよ』と新しい視点をくれるわけです。

いちゃもんをつけられたと思う方もいるかもしれませんが、ここはまず素直に受け取ることが大事です。

結論だけしか伝えないと、相手も何を考えて良い悪いを判断して良いのかわかりませんし、適切なアドバイスもしづらいのです。


相手が反対の時は、ピラミッドがズレている。

自分が提案した企画を反対される時もあります。
「なんか気に食わないから、とりあえずなんでも反対しておこう」という特異な人を除けば、相手が反対するのは、ピラミッドのどこかがお互いにずれているからです。

いったいどこがずれているかわからなければ、永遠に説得できません。

なぜ相手は『YES』と言ってくれないのか?その原因を突き止めるためにも、ピラミッドを明確にすることです。


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相手のピラミッドを見てみると、「類似するサイトもある」のように「ピラミッドの根拠の部分が納得できない」ということもありますし、「社内の仕組みは使えても人件費はどうするのか」といった「根拠は同じだけれど、そこから導き出される結論はこうならないはずだ」と言った主張があることがわかります。

そういうことがわかれば、別の根拠を探して持ってくるなり、わかりづらいところをより丁寧に説明したり、反対されないための施策を持ってくればいいのだと考えられます


⑵7つ議論の作法

①テーマとゴールを確認する
②ピラミッドを伝える
③相手のピラミッドを整理する
④共通点と相違点を探す
⑤互いに歩みよる
⑥改めて結論を出す
⑦決めたら従う

①②③については、これまで説明してきた通りです。

先の「フリーランス向けお金のサイトに関する提案」ですが、マネージャーと議論の上、新たなピラミッドを作ったとします。

【テーマ】弊社サービスのウェブでの集客について
【ゴール】リアルでの営業に代わるウェブの集客方法を探す
【結論】フリーランス向け月額1000円の会員制Webサービスを作りたい
【根拠1】フリーランスが今後増えることが予想される(例)統計データ
【根拠2】他社より月額は安いので多くの加入者が見込める(例)他社データ
【根拠3】毎月の安定した売り上げが見込める(例)類似するサービスで利益を上げているところがある

話す際「訪問しての営業がしにくくなった今、弊社サービスのウェブでの集客方法について提案したいです。内容は、月額1000円の会員制Webサービスを立ち上げ、関連する情報の発信やイベントへの参加ができるものですが、最終的にはそこから弊社サービスに誘導したいと思っています。今後フリーランスが増えることが予想される中、他社より安いので多くの加入者が見込めます。また、月額課金にすることでマイツイの安定的な売り上げに貢献します。」

[マネージャー]
【結論】会員制サービスはいいが、価格は高く設定したい。
【根拠1】フリーランスは増えても副業的な人も多そう(例)別の統計データ
【根拠2】価格を高くして自社サービスを1回使えるようにしたい(例)会員制のWebサービスを運営していくのはコストがかかる
【根拠3】毎月の安定した売り上げが見込める。(例)サービス運営費もきちんと回収できるようにしたい

話す際「提案内容はわかった。価格は高く設定したほうがいいのではないか。フリーランスは増えても、小遣い稼ぎ程度の人も多いのではないだろうか?またWebサービスの中で新たなことを始めるより、今あるサービスを1回使ってもらえるようにしたほうが、手間がかからないのではないか。最後に安定した売り上げが見込めるのはいいが、運営費をきちんと回収できるようにしたい。」

④共通点と相違点を探す

両方のピラミッドが見えたところで、共通点と相違点を探す。

<共通点>
・月額制の会員制Webサービスは進めたい。
・毎月の売り上げが見込めるのは良い。
<相違点>
・値段の設定
・こうしたサービスを使うフリーランスが今後増えるかどうか

大きな相違点としては、値段の設定でしょうか。


⑤互いに歩み寄る

次に、歩み寄れる内容をそれぞれ考えてみましょう。
1000円にしたい根拠としては、多くの会員を集めたい、ということ。
高額にしたい根拠としては、新しいサービスにかかるコストを回収したい、というものです。だったら、

・イベントは全てオンラインとし、コストはできるだけ安くする
・1ヶ月無料などにして、まずは弊社サービスを1回使ってもらうことで、会員数を増やすことはできないか
・会員を2つに分けてはどうか。

など歩み寄れるポイントを探していきます。


⑥改めて結論を出す

この場合ならば
「新たなコスト新たなコストをかけず、まずは1回サービスを使ってもらうキャンペーンを行い、そこから会員を増やしていく方法をとる」といった結論が出るかもしれません。


⑦決めたら従う

決まったらそれに従って進めてみます。会議や議論でなかなか合意できないことについて、面倒だと思っている方もいるかもしれません。でも、いう件は一人ひとり違っていて当然です。だからこそ、みんなでピラミッドを見せ合って、結論を出していく。結論を出したら、まずはそれに従ってやってみる。そこで上手い結果が出なければ、もう一度、みんなで仮説を持ち寄って話し合えば良いのです。この方法で行えば、議論が紛糾することも少なくないですし、お互い納得した結論に辿り着けると思っています。



相手の話を「ピラミッド」で聞く

相手の話を「ピラミッド」で理解することで、「聞く力」のトレーニングにもなります。商談や会議など仕事の場であれば、相手は、意識しているかはさておき「結論+根拠」で話しているはずです。

この人の言っていることの根拠は3つあるんだな。さっきの話が1つ目の根拠で、今の話は2つ目の根拠だな」というようにです。


何が言いたいのかわからない相手なら、一緒にピラミッドを作ってあげる。

相手が何を言っているかわからない。そんな時は
結論がなければ
「なぜそう考えられたのですか?」
事例がなければ
「例えば、どういうことですか?」


話が長い人をどう聞くか

逆に根拠らしいばかりが続いて、何が結論なのか、なかなか話してくれない人。そんな時は
ということは、ひょっとして、あなたはY屋の牛丼が好きなんですね?」

と水を向ければ、「そうなんだよ」という流れになるかもしれません。

そうですよね。それで、さっきおっしゃっていたコストの話ですが、どのくらいならご負担にならないですかね」などと言って話を戻すこともできます。


話が噛み合わない時は、隠れた前提を確認する

ピラミッドは双方できているはずなのですが、何かギクシャクしている場合は、前提を確認してみてください。

「もしかして、今話しているのは、オンラインでの販売の話ではなくて、実店舗のお話でしょうか?」

「もしかして、今話しているのは、あなたのお子さんの話ではなくて、配偶者の話?」

などと聞くことで、お互いの認識を合わせることができます。


相手は「ただ話をしたい」のか「解決したい」のか

中には、結論もなければ根拠もない人もいます。ピラミッドというのは、相手を動かす時に必要なものです。そうした場面とは別に、ただ話を聞いて欲しい場面というものもあるわけです。

「上司がこんなムカつくことを言うのよ。私も一生懸命頑張ってるのに、人いと思わない?」
ただ共感して欲しいから話をしているだけなのに「それは相互理解のためにコミュニケーションが足りないのではないか?それを解決するには、まず・・・」

などと、解決方法を伝えても、意味がありません。
相手が「ただ話をしたいのか」それとも「問題を解決したいのか」と言うことを見極めて、「聞く力を切り替えること」が大事です。

ピラミッドを一緒に作るのは「左脳型の聞く力
共感することにフォーカスする「右脳型の聴く力
の2種類を使い分けましょう。

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