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5S術としてのTo Do管理

このnoteでは「いまさら聞けない当たり前なビジネス・スキル」について書いています。元々は私が講師を務めた【社会人ルーキーの養成講座】というシリーズ研修のコンテンツを、まさにルーキー向けに書いていました。しかし、ある中堅クラスの知り合いから「自分にとっても学びが多い。忘れていたり、学び漏れがあったり…。ルーキー向けに絞るのはもったいなくない?」と教えてもらい、「じゃあそうしよう!」と、マイナーチェンジしました。

前回は社会人に役立つ5S術を紹介しました。というか、「そもそも5Sって何だっけ?」に応える内容にしました。

今回はそれを仕事にどう使うか?について書いていきます。

5Sは元々モノづくりの基本ですから、5Sを仕事に使う=モノづくりなのですが、「5Sはもっと身近なことにも充分に【使える】考え方なんだね」ということがわかってもらえれば嬉しいです。

To Do管理、メール管理、そして身だしなみ

まずは仕事場周りの片付け上手として、断捨離的につかってみると【5Sのすっきり感!】がもたらす効用を実感できますよ、というところで前回は終わりました。

「もっと身近なことにも充分使える」の【身近なこと】を、To Do管理、メール管理、そして身だしなみ、の3つとします。そして今回はTo Do管理を扱います

To Do管理の百花繚乱

To Do管理のノウハウは色々ありますよね。To Do管理な上手な人=仕事上手という認識が一般的ですし、事実そうでしょうね。私も関連書籍はたくさん読みましたが、どれも良さそう。美味しそうなものが目の前に並ぶと、どれから手を付けていいか迷うような感じです。

オススメはGTD

そのなかから私が選んだのはデビッド・アレンのGTDです。GTDは”Getting Things Done"、つまり「コトを済ます」。ThingsをDone(やった)状態にする、という響きのスッキリ感が好きです。To Doリストを消し込むときの爽快さが伝わってきませんか?1980年代に出てきたメソッドだと思いますが、関連書籍はその後もたくさん出続けているようです。

GTDを選んだのは、自分でやって【シンプルで効果的】と思ったからです。本家本元(?)は作法を細かく定めているようですが、私は少し簡素化して使っていますし、その簡素化バージョンを他の人たちにもオススメしています。

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1)まずは【全部出し】する

手順を示します。最初は【全部出し】です。ひらめき、依頼事項、メール、思いつき、などなどを全部一覧化します。ノートに書き出すも良し、ドキュメントソフトやアウトライナーを使うも良し。私はWorkflowyを使っています。無料で、紹介した知り合いがユーザー登録してくれると無料で使える行数が増える仕組みになっています。とにかくサクサク書いておいて、後で階層整理がドラッグ・アンド・ドロップでできたり、操作性がいいです。

以前は、ポケットメモも持ち歩き、思いついたらすぐに書いていました。今はiPhoneのリマインダーに書き込み、PCを使うときにWorkflowyにコピペしています。iPhoneが手元になければ紙の切れ端でも、紙ナプキンでもいいのでとにかく書いちゃいます。

とにかく書き出すこと、【全部出し】するのがいいんです。頭に隙間ができるから。「あれを覚えておかないと」というプチ・ストレスから開放されたいのです。

2)【全部出し】したものを仕分けする

その【全部出し】をする場所を【インボックス】と呼びます。ノート派の人は、全部出ししたページがインボックスです。私はWorkflowyがインボックスです。そのインボックスを見ながら、様々なTo Doを仕分けします。

仕分け方法もシンプルです。

①やるか、やらないかを決めて、やらないものは削除(消し込み)
とにかく全部出していますから、なかには「まぁ、これはやらなくてもいいか」というものもあります。それは消してしまいましょう。ノートなら消し込み線を引いて、おしまい。電子データならDeleteして、おしまい。躊躇わずに消しましょう。そうしないと溜まる一方です。本当に必要ならまたどこかで出てきてくれます。
②いつやるか、誰がやるかを決める
残ったのは【やること】です。しかし今すぐやる必要のないものもありますね。それは取っておいて後で見直しましょう。手書きなら、消し込み線ではなく赤アンダーラインを引くとか。電子データなら「後からリスト」なるファイルでも作ってそこに入れてしまう。
あるいは、他人に頼んでしまうという手もあります。手書きなら、青アンダーライン(後からやることと色で分別するため)を引くとか。電子データなら「頼みごとリスト」なるファイルに入れてしまうとか。
③2分以内にできることはすぐやる
私はGTDのここも気に入っています。すぐできるなら、さっさと片付けてしまおう、ということです。ワンコールの電話、さっと書けるメール、溜まったCCメールの分類…。すぐにできてしまうことって意外と多いものです。全部出しする前にやってしまうときもありますが、そればかりやっていると全部出しに時間が使えないのでご注意を。

3)やるべきことをプロジェクトにする

全部出しインボックスに残っているのは、きちんとやるべきことです。すぐにできることはやってしまっていますから、残っているのはある程度、かたまった仕事ですね。

①かたまった仕事をPP(プチ・プロジェクト)化
かたまった仕事は小さなプロジェクト=プチ・プロジェクトだと思って、To Doバラしをしましょう。手順を考えて書いていく。手順を書き終えたあとで、ざっと見渡し所要時間も計算しておきましょう。
以下に私のPPを添付しておきます。

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②かたまった仕事をプロジェクト化
プチ・プロジェクトではやり切れなさそうなことは、きちんとプロジェクト化する必要があります。アクションプランシートのようなものに落としましょう

アクションプランformat

4)スケジューラーに落とす

PPとアクションプランを自分のスケジューラーに落としましょう。WBSですね。きめ細かく時間単位で落とすか、ザクッと何時間分かを押さえて落とすか。これは個人の好み次第です。やるべきことはPPやアクションプランに書いてありますから、その日のその時間に何をやる、がわかれば、いいのかな?と私は思っています。

私はGoogleカレンダーをつかっています。他にも色々なアプリがありますので、本質的な目的が果たせるなら何でもOKだと思います。

スケジューリングを面倒がらずにやりましょう

スケジューラーに落とすのはちょっと…、という声を聞きます。「その時間がもったいなくない?」とか「飛び込み仕事が多いからさぁ」とか。「仕事のメインアプリとスケジュールアプリが連動していないから、二重入力は嫌」という話も聞きます。確かにその通りです。

でもスケジューリングは急がば回れです。慣れればサクっとできるようになりますし、スケジュール化しておく方が、仕事のQCD(Quality、Cost、Delivery、つまり質と時短と納期遵守)にも、精神衛生にも良いです。会社のシステム・バージョンアップはIT部門に要請しつつ、自分のためにやった方がいいです。

飛び込み仕事が多い人に限らず、スケジュールはギチギチに詰めない方がいいです。見立てた時間通りに終わらないことはザラにあります。To Doの出し漏れもザラにあります。そうなると自分が苦しくなります。余裕時間ができたなら早く仕事を終えてしまえばいい。余裕を持ちましょう。

その際、インボックス仕分けした①他人に頼む時間と、②やるかやらないか検討する時間もスケジュールしましょう。そうそう、GTDの時間も確保して下さいね。

仕事がサクサク進むQuick & Dirtyという考え方

最後にQuick & Dirtyについて触れておきます。英語で「手早くざっくりと」という意味の言葉です。最初は大まかに、ざっくりとでいいから、全体像をつくってしまいましょう、という意味です。図表にすると以下のようになります。

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既に5Sが染み付いている方や関心を持つ方って、おそらくきっちりとした性格の持ち主だと思います。そういう方にありがちなのが、最初から完璧を目指すこと。例えば5章立ての本を書くのに、1章ずつきっちりと書き込んでいく、そんなイメージです。

私は【最初から全部キッチリ】をあまり推奨していません。細部へのこだわりは後回しにして、さっさと全体像をざっくりつくってしまいます。理由は2つあります。

第一に、細部へのこだわりはきりがないからです。我々コンサルタントは様々なアウトプットを出しますが、既に目的を果たしたアウトプットを今、見返しても手直ししたくなるところがみつかります。「細部に神は宿る」は全くそのとおりですが、物事には期限があります。期限を過ぎてしまっては、折角の苦労も台無しです。

第二に、費やす時間とそこから得る仕事の質は低減曲線になることが多いからです。最初のうちは費やした時間1単位分で、3の質を得られたとしても、それは続きません。次の1単位分の仕事時間では、質は2になり、次は1になり、と減っていく。やがて時間を何単位費やしても質が全然伸びてこない領域に入っていきます。その僅かな質の向上を追求して時間を惜しみなく費やす人が様々なジャンルの名人と呼ばれるのと、原理的には同じです。

ということで、「かけている時間の割に仕事が進まない」等の問題でお悩みの方も含め、Quick & Dirtyをお試し下さい。得るものがあるはずです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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