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ちょっと寄る

弟が実家にいた。
玄関を入ろうとしたら奴が出てきて「おぅ。」となる。
これから付き合いでこの近くでゴルフなのだ、と。
それでついでに寄ったのだ、と。
実家であれも持っていけ、これも持っていけと言われたのだろう。
段ボールやら紙袋を両手に抱えていた。
足元を見ると白いスニーカーを履いていた。
ん?
スタンスミスか?
と目を凝らしたが空いている穴が多すぎたので、そのスニーカーはなんぞや?と尋ねると「△△△だ」と言った。
続けて「○○でしょ」と言ったが聞こえなかったし、白いスニーカーはタワシの世界ではスタン・スミス1択なので、奴が何を言ったか知らんが「かわいくないよ。白いスニーカーはスタン・スミスだろ。」と言い返した。
すると「スタン・スミスが良かったけど高かったから、こっちにしたよ」と言われた。
家を買ったり子どもがいたり、弟にもいろいろあるんだろう。
くだらない事を言ってしまったと反省した。
しかしDNAのせいなのかなんなのか。
実はタワシも白いスニーカーを新調したばかりで、その時に△△△の白いスニーカーも候補に上がっていたのだった。
白いスニーカーは汚れが目立つし、ちょうど良い汚さと普通に汚い白さの境界線がすこぶる曖昧で、他の色のスニーカーよりも寿命が極端に短い。
その事で選択を3ヶ月ほど悩みに悩んでいたのだ。
スタンス・ミスではないが真っ白の連続を取るか、スタン・スミスというロマンを取るか。
いやいやスタン・スミス、そんなに高くないでしょ、と言わないで欲しい。
ショートターンで買い替えるとしたら、タワシには全くもって安くはない買い物である。
そうこうしているうちに時は経ち、覗いた靴屋さんでスタンスミスがセールになっていたので購入したというわけだ。
メンズライクなものが好きなタワシのファッションの影響を恐らく奴は受けているんだろう。
よく、これ貸して、と言ったまま返ってこないものもあった。
そんな事を思っていたら、じゃあ行くわ、と言って出て行く奴の右手には、去年の夏にファーザーにプレゼントしたイカしたキャップがしっかりと握られていた。
チッ。
アイツ、また返さないつもりだ。
反省などしなくても良かったじゃないか、と反省した。
そのキャップ、盗むつもりだろ、と言うと「いや、今日は返さないだけだ」と言った。
キャップは盗まれた。

それではみなはん、また明日。
この場所で。

※このnoteはオンラインショップのブログ【DIARY - 徒然】と連動してます。
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