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さつまいも入りの豚汁

こころの幸せレシピー④

シェフ 梯 真由美

【材料】
 ・こころの隙間を吹き抜ける風
 
【調理法】
 ・ほっとできる安心感 カップ1
 ・切ない気持ち ひとつまみ

秋が深まり、朝晩が肌寒くなってくると
無性に具だくさんの豚汁が食べたくなります。

たまねぎ、長ねぎ、にんじん、大根、豚肉
これに、わが家に受け継がれている味には
必ずさつまいもが加わります。

高校1年の時に、東京で寮生活を始めました。

関西育ちの私は、それを「ぶた汁」と呼びます。
「とん汁」と初めて聞いた時には、同じものとは
イメージできないほど驚きました。

「さつまいも?」
「そんなの聞いたことない!」
「普通は、里芋でしょう。」
「変!」

と言われた時に感じたのに似た
ハッとするような
ヒヤッとするような妙な心地が
ふとした時に蘇ることがあります。

ささいな出来事にやるせなさを感じるのは
どこか疲れていたり
自分でも気づいていない、根源的なさみしさが
隠れているのかも知れません。

自分の感傷的な気持ちが、何気ない言葉に反応して
膨らんでいるのかも知れません。

今年もさつまいもの季節がやってきて
お鍋いっぱいの「ぶた汁」を作りながら
「あの時」を思い返しています。

こころが冷えた時には
たくさんの想いがスープに溶け込んだ豚汁は
温かく、ほっとする、最高のごちそうですね。

おまけに翌日の味も、また格別。

       ・・・・・・・

その人にしか分かり得ない
大切にしたい覚えがあります。

人が大切にしたいものを、大切にする。
たとえ理解できなくても、
大切に感じるこころを
ないがしろにしない私でありたい。

この、こころにチクッと刺されたような記憶を
どこかで懐かしむ時、
せつなさを感じた分だけ
こころにスペースが生まれる。

こころの隙間は、うめるものではなく
風が吹き抜けるスペースがある方が
ベターかもしれませんね。

【調理のコツ】

・旨味が溶け込んだ、
 懐深い味を見つめてみよう。

サポートいただきまして、本当にありがとうございます。 どなたかご縁のある方のこころの奥に、私の言葉が届くとうれしいな~。と思って 書いています。とっても励みになります。こころから感謝をこめて。                              板橋真由美