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0827「マッスルタッグマッチ」

小学4年生のとき、交通事故に遭った。私が通っていた世田谷区立松丘小学校の近くの、いま、世田谷区中央図書館になっているところはもともと空き地で金網に囲まれた、夏は盆踊りをやるようなスペースだったのだが、そこの前でタクシーに左足を轢かれた。丸山タクシーという個人タクシーの方だった。サンダルを履いていたので、踏まれて轢かれた足がお好み焼きみたくぐちゃぐちゃになってしまったが、幸い表面だけで、骨には影響がなかった。今も実はちょっと痕がある。

私はそのとき、同級生の島倉くんから、わりと新発売のファミコンのカセットを借りて、それを家に帰って遊びたくて、島倉くんの家から走って帰って、恐らく微妙に信号無視をして轢かれてしまったのだったと思う。

丸山タクシーの運転手さんはそれまで無事故無違反だったので、ひどく悪いことをした。12月14日、周囲の人が今日は「討ち入りの日だ」と言っていたので、その日が忠臣蔵の討ち入りの日であることを覚えた。

そのファミコンのカセットの名前は「キン肉マン マッスルタッグマッチ」だ。

Wikipediaで調べたら、このファミコンソフトは1985年11月8日に発売されているので、発売から1ヶ月ちょいのタイミングで島倉くんからそれを借りたことになる。私はもともとそんなに強引なタイプではないが、島倉くんは、結構気が弱かった気がするので、私が無理を言って借りたのかも知れない。だとしたら申し訳ないことをした。

内容はキン肉マンをモチーフにした2等身のキャラクターが活躍するプロレスゲームだ。YouTubeで映像を見つけた。

もちろん、事故に遭う前か後なのか、このゲームはやったことがある。遊んだ記憶はあるが、自分はあの日、事故に遭って整形外科で治療をして家に帰った後、「キン肉マン マッスルタッグマッチ」で遊んだのだろうか。ゲームはちゃんと島倉くんに返したのだろうか。

どのみち間違いないのは、そんなに面白いソフトでもなかったということだ。

一人息子が車に轢かれた、という一報を聞いて、母も父も心臓がつぶれるような思いだっただろう。申し訳ないとしか言いようがない。

昨日、妻が友人の家でたくさんのファミコンソフトを見せてもらったらしく、その中に「キン肉マン マッスルタッグマッチ」があった。「オホーツクに消ゆ」もあった。「たけしの挑戦状」もあったらしい。


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