フィンランド留学記 八週目

先週末のいざこざで、家の中はとても居心地が悪かった。人生の大事な岐路にある高校2年生の一年間を留学に賭けたが棒に振ってしまったかもしれないと、とても後悔していて、憂鬱と言うより、もはや鬱の状態に近かった。

一応11月に正式なホストチェンジがあるが、さらに1ヶ月今と同じようにほとんど何も体験せずに過ごすのはもう御免だし、一刻も早くホストチェンジしたかった。

そして、転機は訪れた。

さらなる一時的なホストチェンジが決まった。留学団体によるとホストマザーの怪我の手術の時期が早まってしまったため、保護者が一人もいない中で留学生は過ごしてはいけないという団体のルールに基づいて、ホストチェンジを予定より早めに行うことになった。

(色んな意味で)本当に?

今週末にLP(Local contat Person)の家に荷物を置いて泊まり、来週の月曜日の放課後に荷物を移動をする。さらに、土曜日には周辺地域にいる留学生と会って、アスレチックをするイベントも計画されていた。他の留学生とはまだ一度も直接会っていなかったから、これはとても楽しみだ。

最高だぜ!

この週もインスタント麺が何日か夕食として出たが、それも(願わくば)今週で最後だ!

ちなみに新しいホストファミリーの家族構成はファザー、マザー、大学生の長女と長男、高校卒業した次女、そして中学生の三女の大家族で、よく家族でハイキングなどに出かけるアウトドアな家族らしい。これはもうとても楽しみ。

そして、金曜日に荷物をまとめてLPの家に置かせてもらい、月曜日の放課後に運んでもらう流れだ。
そして別れ際にはマザーに感謝の言葉を伝えた。いくら関係が悪化してしまい、納得のいかないことがあったとしても、今までボランティアでホストしてくれたのには変わりはない。

LPの家では、泊めさせてもらう代わりなのか、ドライアップルのためのリンゴを切るのを手伝わされた。すること自体はお安い御用なのだが、リンゴが多すぎて(大体100個くらい)作業に30−40分かかり、身体的にも精神的にも疲れた。そして、サウナに入り、軽食をとり、音楽などを聞いてゆっくりした後に、寝た。

土曜日はいよいよ他地域にいる留学生との初対面だ。ベルギー、イタリア、メキシコ、香港、から来た留学生達と森の中にあるアスレチックで遊んだ。もちろんアスレチックも楽しかったが、それ以上に他の留学生と交流するのがとても楽しかった。そうだ、僕はこういうのを望んでいたのだ、これこそが「留学」というものなのではないのだろうか。
アスレチックを楽しんだ後、僕たちはハンバーガー店で昼食をとりながらフィンランド留学での経験や現地の高校で思った疑問や驚きを共有したりし、会話を楽しんだ。楽しかった3時間もあっという間に過ぎてしまったが、とても満足できた。

その後はLPの夫が所有している元々農場を営んでいた実家へ行った。その家は戦前からあっただけあり、とても古く内装も剥がれている箇所などがいくつかあった。逆にいうと、ストーブや壁、床などは全て戦前からのものなので、当時の生活感を感じられた。古い割には建物自体はしっかりしており隙間風などはなく家の中は暖かかった。
また、前から少し憧れていた薪割りを手伝わせてもらったり、サウナのストーブ上のタンクで温めた水で体を洗うという伝統的な入り方を教わったりし、とても充実した一日だった。
LPの夫が教会のオルガン弾きということで明日のミサでLPと一緒にフルートを吹くことになった。演奏するのはゴスペルの曲を五つほどで、譜面はこの時配られた。曲自体は簡単だが教会で演奏するとなると話は別のような気がする。一音でも間違ってしまったら、あぁ間違えてしまった、だけでは済まされないだろう。
夜の10時過ぎにLPの夫からマッカラ(太めのソーセージ)をいただいて、薪ストーブで焼いて食べた。フィンランドでマッカラは大人気で、薪ストーブや焚き火をよくするこの国でそれは欠かせない。だけど、10時に食べるものなのか?でも美味しかったからいいや(結局二本食べた)。

日曜日はミサでの演奏があるので早めに起きなければいけなかったが、蝿の羽音でなかなかよく寝られなかった。
もう勘弁してくれ...

教会はレンガ式で結構大きく、教会に訪れるのは今回が初めてということもあり、少し怖かった。怖気づけながらもなんとか無事演奏を終えることができた。また、「教会」は厳かな雰囲気のあるイメージを元々持っていたが、入ってみたら意外と雰囲気が明るかった。

昼はクックパッドでレシピを調べてクリームドリアを振る舞った。味は少し薄かったが、初めてにしては上出来だと我ながら思った。
料理をするの案外楽しいかも。

さあ、明日はいよいよ新しいホストファミリーとご対面、一体どんな家庭なのか...


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