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アルビノの小学生とレティッサオンハンド、新しい授業の受け方をめざして

お久しぶりです、しばらくnoteを書けていませんでしたが、
お伝えしたいことは山ほどあり、頑張ってまた記事を書いていきます。
これからも温かな目で読んでいただけると嬉しいです。

6月13日に国連が定めた国際アルビニズム啓発デーがありました。
みなさん「アルビニズム(先天性眼皮膚白皮症)」についてご存じでしょうか。(日本では「アルビノ」という呼び方が一般的になっています)

アルビノとは、からだの色素が生まれつき不足している、国の難病にも指定されている先天性の遺伝子疾患です。17,000人にひとりの確率で発症し、国内には5000人ほどの方がいるといわれています。
色素(メラニン)は色素細胞(メラノサイト)の中にあり、その色素細胞は毛髪・体毛・皮膚・眼にたくさんあるため、髪の色や肌の色、目の色(虹彩)に特徴が出ます。そのため、アルビノと聞くと金色の髪色や白い肌の色などを思い浮かべる人も多くいらっしゃると思います。
※実際にはアルビノの当事者の中でも個人差は大きくあり、髪の毛の色も白色~灰色~金色~茶色と多様性があります。

その外見的な特徴に目が行きがちなため、知らない方もまだまだ多いのですが、アルビノには「見えづらさ(ロービジョン)」があります。

これは眼底網膜の色素欠乏が原因のようで、見えづらさも0.8程度の軽度視力低下の方もいれば、0.05 程度のかなり見えづらい方もいるなど見た目同様に多様です。
また、瞳(虹彩)の色素欠乏が原因で、光を取り込みやすく非常にまぶしくて見えづらさを生じてしまう「羞明(しゅうめい)」があることもあまり知られていません。

アルビノの方は個人差はありますが「見えづらさを感じている」のです。

今日は、そんな「見えづらさを感じている」アルビノの小学二年生のお話です。

彼女は窓からの光がまぶしいこともあり、
弱視学級では遮光カーテンが引かれて教室で授業を受けています。

彼女は、現在ある公立小学校に通っています。
基本的には見えづらさを感じないクラスのお友達と一緒に授業を受けていますが、国語と算数の授業だけは拡大読書器や単眼鏡といった視覚支援機器を使いながら、担任の先生と1対1の個別授業を受けています。
このように通常の学級での学習や生活に概ね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、特性に応じ授業を受けることができる特別支援教育の形態を「特別支援学級」と呼びます。
(弱視(ロービジョン)の生徒がいる特別支援学級は、弱視学級とも呼ばれます)

実は今、彼女と担任の先生にご協力いただき、RETISSA ONHAND(レティッサオンハンド)を特別支援学級で使ってもらっているのです。

アルビノには眼底網膜や虹彩の色素欠乏に由来する羞明や見えづらさはありますが、網膜自体の異常がないため、網膜に直接映像を投影するレティッサとアルビノは相性がよく、いつものぼんやりと明るくまぶしい見え方は違った見え方で見ることが出来る可能性が高いことが分かってきました。
※個人差はあります

今までにもレティッサオンハンドを使って動物園の動物を見に行く企画などを通し、レティッサオンハンドがアルビノのお子様に通常の「見えづらい見え方」とは違う見え方を提供できることを近くで見てきたので、もし授業でレティッサオンハンドが使えたら、

拡大読書機や単眼鏡とはまた違った視覚支援機器として、
レティッサがあれば勉強がしやすくなるのか、
授業の受け方にどんな変化があるのか、
担任の先生は教えやすくなるのか、
レティッサは授業、学習の可能性を広げることができるのか、
過度な期待は禁物ですが期待してしまいます。

担任の先生の話をよく聞いて授業を受けています。

利点1:黒板の見やすさの向上!

まずレティッサオンハンドを使った時に大きな利点を感じたのは、黒板の見やすさです。
通常黒板の文字を彼女が読むときは、かなり黒板に接近するか、単眼鏡を使用します。単眼鏡は片目で使用するいわゆる望遠鏡です。倍率も2.8~10倍くらいまであり、文字を拡大し読むことに長けていますが、視野が狭いこと、わずかな手振れで見るものが大きく動いてしまうことなどから、使いこなす練習が必要といった難しさも実際にはあります。
広い黒板のぼんやりとしか見えづらい黒板の文字列から、読みたい場所に当たりをつけ単眼鏡で拡大することは、テクニックも必要なのです。
また、拡大した文字を読むため、読める文字数に制限が出てしまい、文章全体を把握しづらく読み取りに時間がかかることもあったりします。

しかしレティッサオンハンドで黒板の文字を読む彼女に聞いてみると、
「黒板の文字が読みやすい」と言ってくれるのです!
これはレティッサオンハンドがピントが合った状態の映像を網膜に直接投影することから、ある程度広い画角でも文字を認識することができ、
・黒板の文字を探しやすい
・数文字をブロック単位で読むことができ読む速度が向上する
という利点が生まれ、「黒板の文字が読みやすい」と感じるのだと考えられます。

レティッサオンハンドのズーム機能や明るさ調整機能も慣れたもので、
自分でコントロールしながら黒板の文字を読みます

利点2:姿勢を崩さずに読める、文字が書ける!

読みたいものに目を近づけたり、書きたいときに自分が書いている文字を視認するために顔を近づけて書く必要がある見えづらさのある子にとって、読みたいものや自分が書いている文字から一定の距離を保つことは難しさがあります。
彼女にとっても読みやすい姿勢や書きやすい姿勢とは、対象物の近く数センチまで顔を寄せ、近づける姿勢なのです。
一般的に言われる「ちゃんとした姿勢」、背筋を伸ばした姿勢で、本を読むこと、文字を書くことが難しかったりもします。
これから成長し体も大きくなる中で、読みたいもの、書きたいものに接近し猫背にせざるを得ない姿勢だと、体への負担が大きくなります。
(ロービジョンの人によってはこの猫背で読みたいもの書きたいものに接近する姿勢が恥ずかしくコンプレックスに感じる、人前であまり読みたくない書きたくないという人もいます)

しかし、レティッサオンハンドは読みたいもの、書きたいものの前に自由に置くことが出来、対象物からある程度距離を保った姿勢で読んだり書いたりが可能になり、猫背の不自然な姿勢を取らなくて済むため、体への負担が軽減できるのです。

見ながら書かないとうまく書けないので普段はどうしても猫背になってしまいますが、
背筋を伸ばした姿勢で字や絵を描けるのは子供にとってとても大切ですね

利点3:教え方の幅が広がる!

今まで弱視学級では拡大読書器、ルーペ、拡大教科書、単眼鏡といった拡大することで視認性を上げる視覚支援機器を中心に授業を行っていました。
しかし、レティッサオンハンドはピントが合った状態の映像を網膜に投影し、ある程度広い画角で視認することが出来るといういままでの視覚支援機器とも異なるアプローチでもあるため、今までの視覚支援機器に加えレティッサオンハンドが選択肢に加わることで、教え方の幅が広がり授業に工夫をすることが出来ます。

実際に彼女の担任の先生(まだレティッサオンハンドを学校に導入しているわけではないので、学校名も先生のお名前も出せませんが)は、
見えづらさを感じる彼女と同じ目線に立ち、寄り添い、少しでも彼女を理解しながら、彼女の将来の役に立てたらと授業も工夫しており、そのお姿に心から胸を打たれました。

担任の先生とも息がぴったり!
同じ目線でお話をしてくれる本当に素晴らしい先生です。

今までこのレティッサオンハンドがどのような場所で活躍し、どのような可能性を広げることが出来るか模索する中で、見えづらさのある子供達や、教えている先生が感じている課題をしっかり掘り下げることができていませんでしたが、アルビノの小学二年生と担任の先生の取り組みを間近で拝見し、見えづらさのある子供たちの授業、学習をする場面で活躍でき、可能性を広げてくれる機器であると確信が持てました。

まだまだ幾つもの課題があります。

レティッサを新しい視覚支援機器として、特別支援学級(弱視学級)に導入していくにはどうしたらいいのか。
障害者手帳を持つことができない(でも見えづらさを感じて授業や学習に課題を感じている)子供達が、購入のハードルを下げる日常生活用具給付金を申請することができない問題をどうしたらいいのか。(日常生活用具給付金は障害者手帳を持っていないと申請することができず、小児慢性特定疾病児童が受けることができる日常生活用具給付には拡大読書機等はありません)

アルビノの彼女や、特別支援学級(弱視学級)で見えづらさにチャレンジしながら授業を受ける子供たちのために、こういった課題をなんとかクリアし、授業を受けやすい、学習しやすい環境作りにレティッサが少しでも貢献できればと考えています。

世界中のアルビノの皆様にこの新しい価値が届けば嬉しいですし、アルビニズムの正しい理解と啓発に、QDレーザも少しでもお役に立てればと思っています。