【日記】物語とは

 ノースロップ・フライの『批評の解剖』の続きを読んでいる。
 かなり詳しく、一つ一つの物語類型について腑分けしており、まず初めに悲劇というものに相当する形態を、過去から現代に至るまで辿っている。
 ギリシャ悲劇が一番わかりやすく、この場合母型というか、基本の型のように扱われる。時代が下って、ヒーローの冒険譚の中に、悲劇の要素が持ち込まれているという。悲劇は大きく恐怖と哀憐の情を引き起こすが、その恐怖や哀憐が分化していって、冒険譚に引き継がれているという。
 さらに時代が下ると、ある典型的なキャラクターの出てくる小説、それらはやはり悲劇の系統に入るのだという。悲劇というものの根本は何かというと、主人公が社会や環境から疎外されるということで、一見悲劇のように見えなくても、この要素があればそれは悲劇から血を分け分化したものだというのだ。大きく分けて自己を過大に見せようとする人、逆に過小に見せようとするもの。前者で言うと、マッドサイエンティストとか、見栄を張る紳士みたいなもの。
 何となくしっくりこない部分もありつつ、飲み込みながら読み進めているという感じ。まだ腑分けしかしていないので、これが批評のあるべき姿にどう展開していくのかは楽しみな所。

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