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杉下右京が訪問先でコートを脱がない理由。(#10)

10/14(水)からテレビ朝日系ドラマ『相棒 Season19』がスタートする。
今年に関しては新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から撮影が遅れが懸念されたが、無事に例年通りの放送となったようだ。

新型コロナウイルス報道が出始めて半年以上経つが、状況の深刻さ云々よりもこの状況に何となく慣れ始めているような気がする。

当初、日本に住むほとんどの人が初めてのことで右往左往していたかもしれない。

そんな日本と比べて今年初旬、香港は迅速な判断を下していた印象があった。
それは2003年の“SARS”の経験があったからかもしれない。
林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官は一早く会見を開いた。
でもそんな迅速さとは別の点で気になることがあった。
彼女のマフラーだ。
会見上、終始マフラーを巻いたままだった。


日本だと訪問先の玄関に入る前、当然のように就活生や営業などがマフラーやコートの類を脱ぐ姿が見受けられる。
帽子も同様、デッドボールを当てたピッチャーが帽子を取り、詫びの気持ちを表現する。
アメリカMLBではピッチャーが帽子を取ったら「故意死球」を疑われるそうだ。
これら脱着には“礼”の境界に違いがあるのかもしれない。
そして日本人においてはそれが“靴を脱ぐ”習慣と関与しているような気がする。
“室内の外行きの格好=室内を土足で踏み入れる”ことに近い無礼さとなり、慣習化したのかもしれない。
そこで思い出したのが『相棒』シリーズだ。
水谷豊さんが演じる杉下右京は聞き込みでお家に上がってもコートを脱がない。
それどころか呼び出された官房長等の上職者の部屋でもそのままだ。
英国帰りでドレスコードに聡い右京が何故そうしなかったのか疑問に感じた視聴者も多いかもしれない。
ちなみに現在の相棒、反町隆さん演じる冠城亘も同様のスタンスのようだ。
彼も右京同様に元キャリア官僚としての聡明さがあり、右京に近い位置にいる設定だ。


そもそも身嗜みとはある種の暗号(暗黙の意思表示)である。

この『相棒』のケースでは、

コートを脱がない=すぐ外出する(長居しない)

というのが一番納得がいく。

そして同様に、林鄭長官がマフラーをしたままということは

この場に多くの時間を取らない(つまり、会見より実務を優先する)

と受け取るのが一番しっくりくる。

――
ニュースは日々世界中で発信される。何者かの陰謀や企てによって事実を歪曲されたりしているかもしれない。
しかし首脳の身嗜み自体は世界基準、その国の”礼”を簡潔に教えてくれる、非常に良い教材である。

杉下右京はいう。

「細かいことが気になる、僕の悪い癖―」

でも細部こそ、一番雄弁である。

彼は口で語るほど悪く思っていないので、癖を直したりはしない。
そこからシャーロック・ホームズのように事件を見過ごすことなく解決していく。

身近にある教材を確認し、細部から違いを見出していく。
これらが本当の意味で“察すること”なのかもしれない。

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各国首脳のファッション

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