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BPSD発生機序の仮説の立て方について

BPSDの規則性・特徴をチェック

BPSDの詳細を把握し、それらと本人の状態や日ごろのケアの状況を総合的に分析する中で、BPSDの発生機序を推測します。

まず、BPSDの発生状況に規則性や特徴がないかチェックします。
「いつ発生するか」「どこで発生するか」「誰がいると発生するか」「何があると発生するか」「BPSDの発生間隔はどうか」などをチェックします。

例1:脱水による発生<PACEPのP:身体面の原因>

脱水は、BPSDの発生原因の上位に挙げられるものの一つです。
BPSDの発生が、決まった時間帯に起こる(例えば夕食前)、水分を十分に摂取したとき(例えば点滴後)は軽減する、少し「ぼーっ」とした感じを伴っている、発刊しやすいとき(運動後や夏季など)にひどくなる場合は、脱水の関与が考えられます。

当社が運営している小規模多機能型居宅介護でも、脱水が原因で帰宅願望が出ていた方が飲水量増加に伴って帰宅願望が見られなくなった経験があります。

例2:便秘による発生<P:身体面の原因編>

便秘もBPSDの発生原因の上位に挙げられます。
BPSDの発生や症状変化が何日間かおいて出現する場合や、排便後はBPSDが出現しない場合などは便秘が原因の場合があります。

当社が運営しているデイサービスでも、便秘がひどくなると帰宅願望が出現し、排便があると帰宅願望が軽減・改善する方がいました。

例3:面白くない・退屈による発生<A:活動面の原因>

提供されているサービスメニューが本人にとって面白くない場合、退屈な時間を過ごしている場合にもBPSDが発生します。
ある決まった活動や本人が活動に興味を示していない場合に出現し、本人の好きな活動時には決まって消失する場合は、「面白くない・退屈」が発生原因のことがあります。

私たちも面白くなければ他の場所に遊びに行ったり、家に帰りたくなくなります。デイ利用者の中で帰宅願望を示す人も、その人が好きで楽しいと感じる活動を提供すると「帰りたい」と言わなくなる例はよく見られます。

例4:声の大きさ・内容による発生<C:コミュニケーション面の原因例>

ある特定の人が話し出すと出現したり、自分に不都合な内容になると出現したり、長い話や難しい話だったりすると出現する場合は、コミュニケーションが原因となっていることがあります。

当社のグループホームでは、大きな声でしゃべる方が入居してこられた際に、それまで帰宅願望が見られなかった方に、帰宅願望が見られるようになったことがあります。

その方がいないときや、静かにしているときは見られず、その方が大きい声でしゃべりだすと、その声がやかましく感じられて帰宅願望が出現するようでした。

例5:リロケーションダメージによる発生<E:環境面の原因名>

BPSDの発生が、自宅からグループホームに移った、引っ越した、大きく模様替えをした、スタッフに大幅な異動があったなどの大きな環境変化と同じ時期に起きた場合は、環境の変化によるリロケーションダメージが考えられます。

ただ、単なるリビングの家具の配置換えなどでは起きないことも多いようです。当社のグループホームでも何回かリビングの配置換えをしましたが、それによって特に混乱やBPSDは発生しませんでした。

しかし、居室の場所の変化は混乱を来すようです(特に夜間の寝起き時など)。入居間もない利用者に帰宅願望が見られ、施設の中での生活や役割等が確立するにつれ、BPSDとしての帰宅願望が消失することもよく経験します。

一般にリロケーションダメージは数ヶ月前後で改善することが多いようです。

例6:愛情不足、寂しさによる発生<P:心理面の原因例>

当社のグループホームで、他の入居者への家族面会が多い場合にBPSD(帰宅願望等)が出る方がいました。
その方が何日か自宅で家族と過ごして戻ってくると、全く同じような状況(他の方への家族面会が多い日)でもBPSD(帰宅願望等)は出現しませんでした。このような場合は愛情不足や寂しさが原因となっている場合も考えられます。

共感を忘れず発生内容を詳細に把握する

発言内容や表情、繰り返される動作、持ち物などからBPSDの発生要因が推測されることもあります。

特に「P(心理面)」が原因の場合は、詳細に把握する必要があります
この場合、①不安、②社会的役割の喪失、③愛情不足などのうち、どのような内容が原因となっているかについて、ワーカーと本人との会話や本人の態度・行動などから推測する必要があります。

その際に忘れてはならないのは「共感」の立場です。
原因を推測して目をむきすぎ、観察者となりがちですが、あくまでも本人と共に感じていく姿勢を忘れないでください。

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