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BPSDのアセスメントについて

「尊厳を守る」とは、具体的にはどのようなことなのか

BPSDをケアの対象とする際に、その現象はBPSDすなわち認知症に起因するのか、人としての正常な反応なのかをチェックします。

そしてBPSDという判断がなされたら、次にその現象を本当に解決する必要があるのか、必要性があるとすればどのような方向が望ましいのかを、本人の立場に立って再度チェックします。

これは、過去の介護現場で「BPSDを解決するために行われてきた過ち」を繰り返さないためにも重要です。

例えば、昔はオムツを脱いでしまうのを防ぐために鍵付きのつなぎを着せたり、手を縛ったりという身体拘束が一般的なケアとして行われていました。
もうこのような事業所は1つもないと思いますが、昔は当たり前のように行われていたのです。

これは、職員の手がかからないようにという視点ばかりでケアが展開され、本人からの視点が欠如していたためだと考えられます。

このように、ケアの視点を何に置くかによってケアの展開方向は大きく異なってきます。過去の過ちを繰り返さないためにも、本人の立場に立ち、どういう理由でBPSDを改善する必要があるのかを考えることが重要です。

BPSD解消の判断が「私たちの常識に反することだから」「奇異な感じがするから」「対応が面倒だから」などといったケア側の視点・基準で行われることも多いのですが、本人の視点、本人を中心にした基準で考え、BPSDの改善・解消が本当に本人んのためになるのかを考えましょう。

事業所でチェックしてみるといいコトリスト

・対象としている現場がBPSDなのかどうかチェックしましょう
・過去の介護現場で「BPSDを解決するために行われてきた過ち」を本人の立場に立って再度チェックしましょう
・本人の視点、本人を中心にした基準で考え、「BPSDの改善・解消」が本当に本人のためになるかを考えましょう
※自分たちの「思い込み」がないか話し合ってみることが大切です

BPSDの内容を細かく把握する

他の症状に対するアセスメントと同様に、BPSDに対するアセスメントでも、まずそのBPSDを観察し把握することが、BPSD解決への第一歩となります。

BPSDの内容や発生状況などの詳細について把握することが大切です。

基本的な考え方として
BPSDの内容(増加する)ときと、しない(減少)ときは、「いつ」か「どこ」か、「どんな状況」か、「発生頻度や発生の間隔」、ケアに対する反応などを把握します。

発生内容の概要の把握では、主にどのようなBPSDなのかを把握し、BPSDの危険性、対応の緊急性などを検討します。
場合によっては、認知症による症状ではなく、他の疾患による症状の時もあります。

次に発生状況の把握をしますが、発生状況では、いつどこで発生するのか、発生頻度や間隔などに規則性はあるか、どんな時に発生して、どんなときに発生しにくいのかなどを把握します。発生状況の把握によりBPSDの発生要因が推測されることがあります。

次に発生内容の詳細を把握しますが、内容の把握では、発言内容、表情・態度、行動・運動内容、持っているものなどについて客観的、共感的に詳細を把握します。発言内容や表情、繰り返される動作、持ち物などから、BPSDの発生要因が推測されることもあります。

最後にケアに対する反応について把握します。
BPSDに対してこれまでに実施してきたことについて、「どのような発生理由だと仮定したのか」「どのような内容のケアをしたのか」「その結果どのような反応が得られたか」を考察することによって、BPSDの発生要因のヒントが得られます。

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