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空条浩
2020年5月30日 17:18
前回のお話はこちら0:00 AM 深夜、高須は家路についていた。明日提稿するための記事をかき上げたり、資料の整理をしたりしていたら、こんな時間になっていたのだ。家までの道のりは遠く、人気がない。会社の車を使いたいところだが、通勤には使えないことになっている。 歩き慣れた公園の道。草木に囲まれたここは、朝は散歩コースとして市民に利用されている。広い間隔で立つ街灯が、まばらに舗装された道を
2020年5月29日 18:38
前回のお話はこちら2:00 PM 「アメリカンとブレンドですね。かしこまりました」 カフェ店員の女の子は注文を取ると、機械的にお辞儀をして去った。二十代、夜間の学生だろうか。一つにまとめた黒髪が歩くたびに左右に揺れる。仕事柄のせいか、人を観察する癖がついてしまった。 「なーに三十にもなって女の子のケツじろじろ見てるんだよ、高須」 からかうような声に我に返って、高須は
2020年5月28日 18:41
4:00 AM 男は街をさまよっていた。春が来たとはいえ、夜明け前は寒い。薄いジャンパーは気休め程度にしか寒さをしのげず、頼りなかった。遠くにラバーズの本社ビルが見える。街のシンボルたる威厳を持った巨塔の姿に男は目を細め、赤いキャップを目深にかぶった。 赤いキャップはホームレス仲間のヤマさんからもらったものだった。唯一信頼していた彼が、男に与えたもの。これを被っていると、ヤマさんとどこかで
2020年5月2日 20:45
このイラストは、みんなのフォトギャラリーから使わせてもらっています。ありがとうございます。.。o○ .。o○ 。o○ .。o○ 。o○ .。o○ スーパーから帰ってきて、六時。夕方にしては暗すぎて、夜にしては明るい。四ノ原椋(しのはらりょう)はスイッチを入れ、蛍光灯をつける。カチカチと何度か瞬いて、頼りない光が侘しいワンルームを照らした。残った洗い物、冷蔵庫の横に置かれたペットボトルや