「わかりやすい言葉を使います」
タイトル「わかりやすい言葉を使います」は、私の所信表明です。
皆さんは難解な言葉を使ったり、難しい言い回しで、聞き手を困らせていませんか?笑
「私は絶賛困らせています(ドンッ)」
決して褒められたものではありませんが、私には、新しく覚えた言葉をバカの一つ覚えのように反復使用して、自分のものにするきらいがあります。
これぐらいなら可愛いで済まされるのかもしれませんが、ビジネスシーンにおける専門用語にはとりわけ注意が必要です。
猛省するきっかけとなったのは、クライアント先で部門責任者を集めてワークショップを行っていた時のこと。私は当たり前のように”コンピテンシー”という人事用語を使っていました。
ワークショップ終了後に、1人の参加者から「コンピテンシーという言葉がちんぷんかんで、それ以降置いてけぼりになってしまいました」と感想をいただきました。しまったと、背筋が凍りました。
なぜ、この「知る人ぞ知る横文字」を日常便利使いしてしまったか。それは、直近で支援していた別の外資系企業で「コンピテンシー」が社内の標語となっており、逆に「コンピテンシーでしか伝わらない」状況となっていたからです。
要するに、誰かにとってのわかりやすい言葉は誰かにとってのわかりにくい言葉であり、逆も然りというわけです。
1つの言葉でひっかかると、相手の話が聴けなくります。皆さんも似たような経験はありませんか?
例えば、お笑い芸人の漫才をみていても、一言知らない言葉があると、その言葉が頭について周り、笑うタイミングを見失います。置いてけぼりを喰らってしまうわけです。
SDGsの原則の1つは「誰1人取り残さない」ですが、ことコミュニケーションにおいても「目の前の人を置いていかない」配慮が必要です。
タイトル「わかりやすい言葉を使います」を正しく言い換えるのであれば、「”目の前の人にとって”わかりやすい言葉を使う」ことを目指すべきでしょう!
人間らしいことば
コンサルファームの若手をはじめ、学習と成長意欲が高い人ほど、覚えたての専門用語を連発しがちです。ルー大柴さんを思い出しますね。なんとも違和感に溢れた、人間らしからぬコミュニケーションです。
ある書籍によると、コンサルティング会社のデロイトトーマツでも無益な専門用語の使用が大問題になったことがあるそうです。
2003年、当時のマーケティング責任者のブライアン・フジェールは、専門用語の使用を控えるためのツールを構築し、専門用語の多用に歯止めをかけました。具体的には、反感を買いやすい専門用語の辞書を作成して、最も不愉快な最悪用語(ブルワード)を挙げるコンテストを開催しました。ブルワードとして、レバレッジ、タッチベース、インキュレートなどがノミネートされたそうです。
次に、メールや資料の文章をスキャンするプログラムを書いて、「ブル指数」なるものを考案し、ブルワードを使用しているかチェックをかけたそうです。ブルワードが多用されていると、「あなたの文章は手の施しようがないほど、とんでもなくわかりにくいです」と、プログラムから辛辣なフィードバックが送られてきます。
この取り組みは全世界に広がり、社員のコミュニケーションの改善に繋がる結果を生みました。
上記の例からわかるように、専門用語の禁止は会社全体で啓発するほどに、一筋縄ではいきません。1人ひとりで意識するだけでなく、組織やチームとして聞こえの良い専門用語にあぐらをかかぬよう注意し合うことが肝心です。
上司や同僚が気づかぬうちに人間らしからぬ言葉を使っていたら、「あんたの使う言葉はマシーンのようだね」と指摘をしてあげましょう。少し暴力的ですが、一種の優しさでしょう🤓笑
ビジネスの場でお客さんを置いてけぼりにするくらいなら、社内で指摘を受けることは安いものです😇
ある業界に身を長く置いてしまうと、言葉の嗅覚が落ちてしまいます。ぜひとも、わかりやすく人間らしさに溢れた言葉を使っていきましょう!
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