松本凜

物書きして投稿していきます。 エッセイ/小説

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最近の記事

ちょっといい話 誕生日プレゼント

息子から、ちょっとわかりにくい誕生日プレゼントでした  子どもも大きくなるとお母さんに誕生日プレゼントなぞしなくなります。  これは昨年息子からもらった誕生日プレゼントの、ほんのちょっぴりいい話です。    その日私は誕生日でした。  でも息子二人は大学生。プレゼントをくれるどころか、誕生日すら覚えていないかもしれません。  夜になってそれでもケーキだけは夫が買ってきて、それぞれで食べなさいとなりました。  その後私がゲームをしていると、息子が来てコミックを2冊テーブルにぽ

    • 男の人が転んでいました

      心がささくれ立っていると思うとき読んでください ほっこりする話  弁当配達の仕事をしています。  昨年夏のこと。  配達がすべて終わり事務所に戻ろうとした時、前方右手で男の人が転んでいるのが目に入りました。  自転車に乗ってひっくり返ったようです。なかなか起き上がれないでいます。  私は車をとめて男の人を起こしにいきました。  外に出るとむっとした暑さです。  男の人を起こしてすぐ車に戻るつもりでした。しかし男の人はひっくり返ったきり、どう持ち上げようとしても起き上がれませ

      • 今の人は「目医者」って言わないの?

        世代の違いを感じる今日この頃なのです  ユーチューブでゲーム実況を見ていたら配信者が、「この前後輩が『目医者』って言ったんです。目医者って自分は言わないからびっくりしました」と言いました。 「目医者って、普通に言いますよ」とチャット欄に書き込んだら、ほかの若い人らは皆、口をそろえて「目医者って言いませんね」と言うではありませんか。中には、「おばあちゃんが言ってた」と言う人も。  今の若い人は目医者とは言わないらしいのです。「眼科」と言うらしいです。びっくりしました。  調べ

        • 息子のやる気スイッチは3度押されました

          やる気スイッチを押したいお母さん、お父さんへ  先日息子が大学を卒業し、就職のために上京しました。  中学、高校時代は成績が思うように伸びず、赤点を取ったり担任に叱られたりしていました。その息子がまがりなりにも大学を卒業し、就職できたのです。  家を出ていくのはさみしいですが、社会人として一歩を踏み出したことは喜ばなければいけないことなのでしょう。  さてこのエッセイは、成績も悪くなかなか勉強をがんばれない息子にも、やる気スイッチが入った瞬間があった話です。大学卒業までに3

        ちょっといい話 誕生日プレゼント

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        • 2本

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          流産した子への思い、男女でこんなに違うなんて

          流産した子の母子手帳をめぐって  娘の家に行った時のことです。  娘の夫が子どもの母子手帳を探していました。 「あ、これ?」  手に持った母子手帳は、娘が1年前に流産した3人目の子の物でした。 「3人目の子の?」  夫さんはとてもやさしい人なのですが、その時はさんざん探してイライラしていたのでしょうか、 「捨てちゃえば」  そう軽く言いました。 「捨てられなくて」  言い方に感情はこもっていませんでしたが心の中では、忘れられない、捨てられるわけがない、そう思っているはずです

          流産した子への思い、男女でこんなに違うなんて

          今日の大反省 障害を持った人にタメ口で話しかけたこと

          バスの中の出来事です。自分が恥ずかしい。  バス停でバスを待っていると後方で男の人が行ったり来たりしているのが見えました。  3歩進んでは3歩戻る、また3歩進んでは戻る。それを何度も繰り返していました。障害を持った人のようです。  さてバスが来て乗り込むと、さっきの人が私の前に立ちました。ヘルプマークをつけています。私はその人に言いました。「座る?」と。  するとその人はしっかりした口調で言ったのです。「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」  私はその言葉を聞いた途端、

          今日の大反省 障害を持った人にタメ口で話しかけたこと

          一緒にいた人がてんかん発作で倒れました

          心がささくれだっている時読んでください ほっこりする話  私は障害者の移動ヘルパーという仕事をしています。  ある寒い日の出来事です。  同行していた人がてんかん発作で倒れてしまいました。意識は全くありません。1分ほどのけいれんの後、深い眠りに入りました。  私は障害者施設の事務所に連絡して、すぐ来てくれるよう頼みました。歩いてすぐのところなので、10分ほどで到着するはずです。歩道に座り込んで寝ているその人についていたのですが、そこに自転車に乗った高校生が来ました。 「大丈

          一緒にいた人がてんかん発作で倒れました

          映画館の列が2方向に延びています。どうなる?

          心がささくれ立っていると思うとき読んでください ほっこりする話  映画はすごい人でした。  8時50分、まだ映画館が開く前から人が並んでいます。  ドアからずっと列ができて、ぐるっと100mほど。しかしその先は雨に濡れるので人はいません。あとは、列の中ほどのところから出る小さい横断歩道の向こうに大勢の人がいます。  これは、列が動き出したら横断歩道の向こうの人とこちらの列の後ろの人が合流して大変なことになるなと思ったのです。  さて9時、映画館が開きました。列が動き出します

          映画館の列が2方向に延びています。どうなる?

          障害を持った人の機転を見た!    バス停にて

          心がささくれだっている時に読んでください ほっこりする話  市バスに乗った時、その若い男性は優先席に座っていました。  かばんにヘルプマークをつけています。健常者の男性に見えましたが、よく見るとやはり少し変わった動作をしています。自閉的傾向がある方のようです。  その人は次のバス停で降りたのですが、すぐに乗車口に戻ってきて、また乗りたそうに手を挙げています。運転手さんは一瞬彼を見ましたが、無視して出発しようとしました。  そのほんのゼロコンマ数秒のことです。きっと運転手さん

          障害を持った人の機転を見た!    バス停にて

          猫(後編)

          拾った猫が腎不全で亡くなるまでのエッセイです。  平成が飛ぶように過ぎ、令和になった。猫は十二歳(人間でいうところの六十四歳くらい)になった。私は年をとり、カナヘビを捕るのが学校一上手だった息子は大学生になった。  猫は十歳を過ぎるとあまり遊ばなくなり、ひとところに寝ていることが多くなった。年とったなあと思っていた。時々吐くことがあったが、それも年のせいだと思っていた。  しかしそれにしても、よく吐くようになった。吐く以外は全く普通だったので、よく吐くなあと思っていたくらい

          猫(後編)

          猫(前編)

          拾った猫が腎不全で亡くなるまでのエッセイです。  今から十五年前。  私はぴちぴちの四十八歳、息子が小学校二年生だった。私は息子とその友だちを連れて、瀬戸の海上(かいしょ)の森へ遊びに行った。その休憩所に猫がいたのだった。  息子たちは猫としばし遊んでいて、さあ、帰るよと歩き出したら猫がついてくる。  うちは犬がいるので飼えないよ、置いておいでと言って置いてくるのだが、全力で走って追いかけてくる。  小さい小さい猫だった。二度置いてきた。その都度全力で走ってついてくる。この

          猫(前編)