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イ・チャンドン監督「ペパーミント・キャンディー」はボクの物語だ!、と思わせられた

京都出町座でイ・チャンドン監督特集が行われている。気になる作品がありながらも、ずっとすれ違いで映画館で見られないまま今まで来た。中でも「ペパーミント・キャンディー」は観たかった映画の一つだ。観たい思いはありながらも観られないでずっといる、というすれ違い環境もこの「ペパーミント・キャンディー」に通ずるものがあるような気がして鑑賞後も感慨に浸ったものだ。
以下ネタバレも含む。


映画の構成は特段複雑な物はない。現在から過去に遡っていくだけの話。

気の優しい男、素直に気持ちを表すことが出来ない男が、激しく動く時代の波に抗うことなく、同調圧力に逆らうことができずに時代の波に飲まれ、気が付いた時にはもう後戻りが出来なくなってしまっている。
それぞれの時点で後悔はしているが、その時点で大きくターンを切ることなく時代の波に流されたことで戻れなくなってしまいそのまま行くところまで行ってしまう。
彼の意志が弱いと言えばそれまでだが、彼の誤った虚栄心が彼の判断を異なる方向へと誘ってしまったのだ。

これは、この映画の主人公だけの話ではない。我々の話だ。ボクの話だ
あの時こうすれば良かった。
あの時の判断はこうすべきだった。
なぜあの時にこうしなかったのだろう。
過去を振り返れば、様々な行動に対する後悔が沸き上がる。

逆に考えれば、彼は純粋すぎて悩んでいた。
そう、人は時代に呑まれれば自分が悪いことなど時代のせいにして開き直るものだ。そうやって生きていくものだ。途中までは彼はできていた。
だが、彼にはやり通すことはできなかった。
そんな彼が選んだ最期は、始まりの場所での自死だったのだろう。

人に未来の予知能力が基本ないものとする。しかし、実際には何かしら運命的な「予感」を感じながら生きていることがあるものだ。純粋な人ほどわかる(だぶんw)。

彼が運命が始まったとする地において、なぜかしら涙が出た理由は、そこが最期の地になると彼の運命が感じていたのではないだろうか。


韓国映画は、アカデミーを作ってから質が上がったと聞く。
世界でも賞を取り出した。
是枝裕和監督などもむしろ習いに行っている聞く。良いことだ。
ってか、日本にも仕組みを作らないのは何故だ。
しましょう!

ミニシアターは相変わらず不安定だったり、良いところは良かったり、だ。
中でも出町座は良いモノを上映しているし、映画以外のつながりもいい。商店街や本とか。出町柳にはあと音楽文化も根付けば最強ではないか。
誰かCDショップでもしないだろうか。出町座と映画コラボができるぞ。

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