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映画自評:「ボンゴマン ジミー・クリフ」を観た。彼の存在に涙する。

予告編からの期待値が高かったので、実際観てみると期待値を下回ってしまった。ボクはライブシーンをバンバン観たかったのだ。
とは言え、映画自体にはそこそこ満足できたので映画全体に対して悪口は言わない。

ライブシーンが少なかったわけではない。フルコーラスが少なかったのだ。或いは、一曲を色んな場所で歌っているのを繋げて編集したりしているのだ。

一曲丸ごとは流れ無くとも思わず涙する曲がいくつかあった。

「Vietnam」は、ベトナムの反戦曲だが、途中替え歌的に時の戦争を入れて反戦を呼びかける。何万人の人が呼応する。その人たちの心にきっと残ることとなっただろう。その後も戦争は無くなってないが、反戦運動は権力者に反しなくならない。
現代にはないアーティストの力だ。
現代でも反戦運動するアーティストはいるがパワーが違う。

反戦運動自体は人間の歴史以上に活動しなければならないものなのだろう。

「ノー・ウーマン・ノー・クライ」も感動的だ。南アでのライブで彼が歌った際は、観客に感動のグルーヴが生まれたようにみえた。実際、膝まづく人やステージにハグしに来るが絶えなかった。
カバーの中でも最高ではないだろうか。

「The harder they come」は好きな曲の一つだが、こうやって「ボンゴマン」の中で聴くと曲調が限りなくレゲエから離れた曲だったのだなと改めて気づく。ポップロックに近い。ただ、歌詞の内容が激しい反戦曲だったのだなとこれも改めて気づく。
ジミー・クリフは時代と共に生きていたのだな、と。
愛や恋や、夢見たことばかりを歌い現実を見ない人たちとは違うのだな、と。それはそれで大事にしたが。

映画を通して分かったことは彼はラスタマンだったということ。
社会、愛、平等、平和を尊重し、政治経済は二の次。自然を愛し、芸術を愛す。お金、名誉より、ラスタであることが第一であった。
また、この映画を通してジャマイカの歴史も知ることが出来て良かった。
これは意外だった。つまり、ジミー・クリフの映画を観に行ったつもりが、当時のジャマイカやラスタの生活も知ることになったことだ。
彼も知ってほしかったのだろう。

地元でのライブでは、会場コンディションが悪い中彼は汗を流し目をつぶり乍ら無心に歌っていた。
鑑賞後、今回の映画を通しより深い愛を感じたボクがいた。
言葉以上に伝わるものが必ずあると伝えてくれたようだ。

シネリーブル梅田


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