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光るかばんと意思持つ機械   第3話

瑞希✖️タカシ

「いやぁ、旦那の不倫ねぇ」
我々人類にとって非常に使い古された話になるが、浮気が発覚したらしい。女性の友人が突然お茶しようと言ってきた。まぁ、お茶と言いつつこいつは、昼間からお酒出す店で最初の一杯目からグラスワインを堂々と注文する奴なのだが。我々は単に友人関係でしかなかったが、一応相手が結婚してしまったのだから少し距離をとろうとはしていた。しかし実際何も悪いことはしていないものだから、連絡貰えば2人きりでいまだにちょくちょく会ってはいた。
そして、この話である。

「で、相手は誰よ」
「いや まだ相手はよくわかんない でも浮気は事実 だって携帯見たから分かるもん」
「… いや 旦那の携帯見たの」
「うん」
「なんで」
「なんでって いいでしょ 私の旦那のなんだから」
あちゃー こいつブラックボックスを開けてしまったのに、少しも悪びれない。
「それで、何てメールにあったんだ?」
「なんか若い女にかばんプレゼントしてのお礼の返事だったり、あいついつもお金ないって言ってるくせに一体何やらかしちゃってくれてるんだろうね」
「いや、それでも勝手に携帯は見ちゃいかんだろう」

「なんで」

…あら地雷踏んだかしら 語気が少し強めか? 逆に聞き返されている俺がいる。
「なんでって言われてもさぁ」
俺が言い淀んでると
「いや だって私達結婚してるのよ。婚姻届もちゃんと出して受理されてるの。結婚って法律なの。それを携帯見る見ないって。法律を破ってるのはあっち。じゃあ何?だったら結婚相手の携帯見たらダメって法律でもあるの」
凄い剣幕で言われた。
自分の事じゃないから言い返さなかった。いや、言い返せなかった。女って突然怒り出すから怖い。
「瑞希ちゃん、分かったから 分かった。俺が悪かった。旦那の携帯見たらダメという法律なんてないよな。確かにない。」
「でしょう? タカシ君 なんかあっちが悪いのに 私が悪いってことにしてない?」
むくれてる。でもちょっと可愛い。 なんでだろ。
「してない してない まぁまぁ呑んで呑んで 瑞希は一切悪くない」
ああ、なるほど怒って文句言いながらも、こうして自然に両手で枝豆を掴んで可愛く食べる所作を拓也は気に入ったんだろうな。
ただ、俺は所作よりもワインのつまみに枝豆はどうかと思ってしまう。

「じゃあさ、瑞希 そんなに気になるんだったら一度占って貰ったら?旦那との相性。
俺の会社で開発した占いが今、めちゃめちゃ流行ってるんだぜ 知ってる?高性能A.I.搭載のVR  そうバーチャルリアリティ。」



拓也✖️タカシ

「なぁ、タカシ 瑞希の奴なんかこの所また怪しいんだけど」
「え?怪しいって。」
「なんか男とばかり会いに行ってる節があるんだが」
「え、そうなのか?おまえもしかして不倫でもされてるって。そんな訳ないだろう あの娘に限って」
「いや、だってな この前もなんか俺に怒りながら化粧して、そんで呑みに行くって出て行ったぞ。」
「いやいやいや、そんなことないって あの娘は裏切るような奴じゃないって。
あ!おまえの方こそ女でもできたんじゃないのか?ちょっと携帯見せてみろよ」
「お おい やめろよ タカシなんでおまえに携帯見せなきゃならないんだよ、携帯に入ってるのは仕事のメールばかりだよ。」

光るかばんが大手のテーマパークとのコラボ企画をしていて、サンプルを小さいお子さん達に配った。今、そのアンケートをとった返事が入ってきてる。「かばんプレゼントしてくれてありがとう」って子どもさん達からの返事だ。今の時代は音声でもメールが打てる。、こんな小さな子供でもメールが打てる世の中になるとは凄い時代なったものだ。俺がパソコンで文章打てるようになったのは大学の卒論の頃だぞ。世の中のデジタル化の早波にいずれついていけなくなるのではと思うことがある。でもこうして、小さなお子さんからの喜びが直接伝わるのは嬉しい事だった。

「そういやよ、今度おまえの嫁さん連れてテレシアース研究所に行く約束したよ。旦那様との
相性占い。」
「え、大丈夫か?だってあのA.I.俺にとんでもない未来見せてくれたぞ。」
「え、おまえの占い一体どんな未来だったんだ?まぁ心配するな、大丈夫だよ。なんたってあのA.I.はミヒャエル・ハルトマン教授がシステム構築したんだぜ。今、A.I.の技術であの人の右に出るものなんか今、世界にひとりも居ないぜ。」

俺は、瑞希の浮気を疑ってこの新しく発売される高性能のA.I.搭載の仮想空間に入ったはずだった。タカシが勤める会社の研究機関が占いAIを開発したというので使わせて貰ったのだ。いくら占いとはいえ発売前から既に当たると評判となっていて、特に恋愛運に関してはそこらの浮気調査より確実の筈だった。しかし、このA.I.は何故か俺に近未来の日本の事を知らしめてくれた。このA.I. の予言は本当に現実のものになるのだろうか?
2023年も終わりが近づいているという現在
弊社の光るかばんはまだヒットしていない。

そして、俺は仮想空間の中で義手をしていた。

人間の初恋は得恋する可能性は僅かしかない。
初恋の実る確率は0.94% 100人に1人の割合以下だ。
それも容姿が良い人間が大多数を占めている。
しかし叶ってから自分からその恋を壊す確率は87%。
つまり、初恋は成就する可能性は限りなく少ない。



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