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神戸の新ご当地グルメを作る!「神戸チーズトーストプロジェクト」アナザーストーリー【木戸×徳岡×宮本】


神戸牛のように敷居の高いものではなく、もっと手軽に味わえる神戸グルメを作りたい!そんな思いからquod(クオド)と地元民とで発足した「神戸チーズトーストプロジェクト」全国のご当地トーストのリサーチに始まり、怒涛の試作を経て、最終候補に残った「黒豆チーズトースト」「いかなごチーズトースト」「酒粕チーズトースト」の3種で総選挙が行われました。接戦の末、栄えある1位に輝いたのは「酒粕チーズトースト」。プロジェクトの中心メンバーである木戸・徳岡・宮本が、今だから話せるアナザーストーリーをたっぷりお届けします。
 


木戸 彩:神戸出身・神戸在住。今回のプロジェクトの発起人。企画立案から協力メンバーのアサインまで、全体の旗振り役を担当。
 



徳岡 達也:広島出身・神戸在住。地元メディアのライター出身。店舗との調整役やビジュアルツールのクリエイティブを担当。
 


宮本 倫瑠:愛媛出身・東京在住。東京からの助っ人として参加。徳岡とともに調整役や進行管理を担当。
 

神戸の誇りを組み合わせたご当地グルメ
チーズの味が活きなければ意味がない
みんながワクワクできることが大事

 

神戸の誇りを組み合わせたご当地グルメ


−そもそも、なぜ「チーズトースト」だったのでしょう?
 
木戸:神戸は老舗のパン屋さんが多くて、パンの消費量が全国1位になることもあるくらいの“パンの街”。なのに不思議と、名古屋の「小倉トースト」や姫路の「アーモンドトースト」のようなご当地トーストがないんですよ。そして神戸には「QBBベビーチーズ」でおなじみの六甲バター本社があるので、チーズに馴染みのある神戸人も多いです。この神戸の誇りである二つをドッキングさせて、今までにないご当地グルメが作れたらめっちゃええやん!って思いついたのが最初です。
 
徳岡:神戸は日本で初めてコーヒーを販売した地とも言われていて、昔からカフェ文化が根づいている地域ですよね。チーズトーストはそんな“カフェの街”のイメージとも親和性があると思いました。
 
宮本:私もこの前神戸でカフェ巡りをしたんですけど、お店ごとにこだわりや特色があって、昔からカフェ文化が大事にされてきたんだなってことが伝わってきました。そんなシーンにも合うようなグルメになったらいいなと思って。
 
−聞けば聞くほど、チーズトーストがピタッとハマりますね。
 
木戸:我ながら、うまいこと思いつきました(笑)。そこでQBBさんや、私の友人でもあり、神戸のグルメやお出かけ情報をSNSで発信している ウラリエさん、地元の知り合いなどを巻き込んでプロジェクトとして進めていくことになったんですけど、そもそもご当地トーストってどうやって“ご当地”になったのかがよくわからなかったんですよね。せっかくやるからには根づいてほしいし、地元の方にも観光客の方にも「あれ食べに行こうよ」って言われるようなチーズトーストが作りたい。だからこそルーツがハテナのまま進めることはできないと思って、まずは全国のご当地トーストの洗い出しから始めました。
 
宮本:地元の大学生にも協力してもらって、全国のご当地トーストが何をきっかけに誕生して、どういう広がり方をして、地域でどんな見られ方をしているかなどをまとめて、ディスカッションしながらチーズとの組み合わせを考えていきました。
 
 

ディスカッション風景


−結果、法則みたいなものは見つかりましたか? 
 
木戸:法則が導き出せたかでいうと、答えはノーですね。このディスカッションでわかったことは、ご当地トーストって自然発生的なものが多くて、何か法則があるというよりも、ただ純粋に美味しいからみんなに愛されてきたということ。それをルーツとするなら、すごくシンプルですよね。でも企画する側としては、神戸にまつわる食材をマストで使わなきゃとか、映えを意識しなきゃとか、どうしても仕掛け人目線になってしまうんですよ。だから迷った時にはこのディスカッションを振り返るようにしていました。
 

チーズの味が活きなければ意味がない


 
−試作は15種類もあったそうですね。
 
宮本:最終候補の3種の他に、プリン、ぼっかけ、たこ焼き、明石焼き、紅生姜、海苔の佃煮、味噌だれ、ゴーフル、神戸餃子、はちみつレモン、マシュマロ、塩昆布もありました。平等に味が評価されたか不安になるくらい、めちゃくちゃお腹いっぱいになって。
 
木戸:最初に食べたトーストが一番美味しく感じるんじゃないかとか(笑)。というのは冗談で、ちゃんと厳正に選びました。美味しさはもちろんですが、チーズの味が活かせているかが 重要な選考基準になりましたね。例えば「たこ焼きチーズトースト」はモロたこ焼き味で、美味しいんですけど、チーズと合わせる意味はあんまりないなと。しかもたこ焼きのイメージって神戸っていうより大阪やん…とか、改めて初歩的なことに気づいたりもしました。
 

チーズの味を活かせずに落選した「たこ焼きチーズトースト」


 宮本:神戸グルメのぼっかけを使った「ぼっかけチーズトースト」は、チーズの上にぼっかけか、ぼっかけの上にチーズかで論争が巻き起こりました。
 

牛すじとコンニャクを甘辛く煮たぼっかけをトーストに。上か下か論争の末、ベスト4まで健闘


木戸:大人たちが本気でやっているのが面白かったよね(笑)。そんな感じで一つずつ丁寧に試作していきました。スイーツ系のトーストだと「マシュマロチーズトースト」は地元の大学生たちが絶賛していたんですけど、甘すぎてずっとは食べていられないよねってことで落選しました。
 
−長く愛されるには飽きずに食べられることも重要ですよね。
 
宮本:それでいくと「プリンチーズトースト」も。私、プリンが大好きなんですよ。好きな食べ物1位と言ってもいいくらい。だからこそ厳しい目になってしまったのかもしれないんですけど、チーズとプリンの美味しさがそれぞれ100あるとしたら、合わせることで200を目指したいじゃないですか。でも160くらいにしかならなかったんですよね。チーズが活きないし、もう一度食べたくなる味にはあと一歩届かない。これはチーズにもプリンにも失礼かもしれんと思って、めちゃくちゃ悩みましたけど、最終的には選びませんでした。
 
 

木戸・宮本がかなり後ろ髪を引かれたという「プリンチーズトースト」

木戸:見た目も可愛いし、神戸って“洋菓子の街“のイメージもあるし…とか、仕掛け人的な下心を抱きかけたんですけど、みちるちゃん(宮本)の意見を聞いて、そうだよねと。純粋に美味しくて長く愛されるものっていうルーツを見失わないようにしようと思いました。
 

試作風景


−その他の選考基準は? 
 
木戸:さっきお話しした、チーズの風味が活きているかということと、キャッチーさ、神戸らしさ、意外性。あとは家庭で再現できそうなシンプルさもポイントになりました。朝の忙しい時なんかに「はい、神戸チーズトースト!」って出せるようなご当地グルメになればいいなって。ただ、全てに該当する必要はないです。黒豆も神戸っぽい食材というわけではないし、美味しいことが一番ですね。
 

試作風景

徳岡:あと僕は伸び代も重視しました。「いかなごチーズトースト」はいかなごのくぎ煮という神戸の郷土料理をのせたものですが、炊き方一つで味が変わります。「酒粕チーズトースト」も酒粕ペーストに何か混ぜれば違う味になるし、そうやってアレンジが効けば、もっとご当地グルメとして進化できるんじゃないかなと思いました。
 

試作風景

木戸:それに酒粕って、アルコール濃度でも味わいが変わるんですよ。
 
宮本:そうなんです!びっくりするくらい違いましたよね。
 
木戸:元祖のレシピは私たちが決めたんですけど、神戸チーズトーストの定義はあくまで“チーズと酒粕を使う”だけなので、今後お店が独自にアレンジしてくれたらもっと楽しくなると思います。アルコールをあんまり飛ばさずに大人なチーズトーストにして、居酒屋さんで提供しても面白いですよね。
 

みんながワクワクできることが大事


 
−総選挙で印象に残っていることは何ですか?
 
徳岡:今回、英國屋さん・元町サントスさん・DORSIAさんの3店舗にご協力いただいてチーズトーストを販売したのですが、提供方法についてはさまざまな議論がありました。公正に選んでもらうなら3種全部味わえた方がいいだろうけど、トーストを3枚食べるとなると大変です。プレーンのチーズトーストをプラスして食べ比べる4分割案なども出たのですが、そうすると提供側のオペレーションがかなり複雑になってしまう。結果、折衷案のハーフ&ハーフに決まったのですが、お店の協力がなければ実現できなかったと思いますね。
 

3種をバランスよく味わって投票できるハーフ&ハーフを採用。

 木戸:「酒粕チーズトースト」にはホイップクリームがついていて、最初トーストの上にのせて出すつもりが、「溶けやすいからやめた方がいい」とお店から意見をいただいて、これも別皿で提供することになりました。徳岡さんがコミュニケーターとして調整役の中心を担ってくれたんですけど、現場でないとわからない部分が多々あったので、すごく助かりました。
 
宮本:私があたふたしていたら、徳岡さんが「じゃ、僕行ってくるんで」って速攻お店に走ってくれるんですよ。あの背中はかっこよかったですね。
 
徳岡:いやいや、お店のみなさんが本当にいい方だったので、逆に僕が助けられました。
 
−今回はクリエイティブも全て徳岡さんが担当されたんですよね?
 
木戸:徳岡さんはもう、quod神戸チームのクリエイティブディレクターなので。
 
徳岡:(笑)。ポスターやメニュー表、トーストに添えるカードなどを作りました。デザインは昨今の純喫茶ブームを考慮して、若い世代にも受け入れられるレトロ感を意識しています。トーストも写真ではなくイラストにして、ほっこり美味しそうに見えるバランスを重視しました。
 
 

トースト提供時に添えられたインデックスカード

宮本:神戸の人は感度が高いから、デザインもごまかしが利かないですよね。これは余談ですけど、私の友だちに集合体が苦手な子がいて、タピオカを見るだけでも「おっ・・・」ってなっちゃうんですよね。黒豆も、並べ方によっては結構危ないじゃないですか(笑)。そこもバランスよく描かれているから、クリエイティブって大事だなと思いました。あと今回ご協力いただいたみなさんのノリがよくて、神戸の人ってフッ軽で素敵だなと思いましたね。
 
木戸:それはたぶん、私がそういう人にばっかり声をかけたっていうのもあるわ(笑)。でも、みんなにワクワクしてほしいというquodメンバーの思いが、総選挙に参加してくれた全ての人に自然と伝染したのかもしれないですね。だったら嬉しいな。そうそう、総選挙を終えて、quodで勝手にグッズも作り始めたんですよ。
 
徳岡:「酒粕チーズトースト」のイラストを使ったステッカーやアクリルキーホルダー、イメージ写真をプリントしたロンTなどを作ろうかなと思っています。今、ステッカーで何パターンかデザインを考えていて、これがサンプルなんですけど、どれがいいと思います?
 

ステッカーのデザイン案


−型抜きのタイプが可愛いです!
 
徳岡:了解です。1票加えておきます。
 
−(笑)。今後の展開も楽しみですね。その他はどんなことを考えていますか?
 
木戸:協力3店舗での販売を皮切りに、イベントに参加して全国的に認知を高めたり、材料と販促ツールをセットにした「神戸チーズトースト スターターキット」を提供して、神戸の他の喫茶店にも拡大していきたいと考えています。また、トーストに使う酒粕は日本酒の種類によっても味わいが変わるので、ゆくゆくはお土産品としても展開していきたいですし、夢は膨らみます!
 
*****
 
“神戸といえば”なご当地グルメになる日も近いかも?ぜひ一度「神戸チーズトースト」を現地で味わってみてくださいね。レシピも公開しているので、まずはご家庭で試してみるのもおすすめですよ。
 
 
<お知らせ>
現在、神戸の下記喫茶店で「神戸チーズトースト」販売中です!今回の総選挙で開発した「元祖神戸チーズトースト」に加え、喫茶店オリジナルの神戸チーズトーストが食べられる喫茶店も…!
喫茶店ならではの味を食べ比べするのも楽しいですよ♪
皆様も神戸チーズトーストを食べに神戸に来てくださいね!
 
喫茶館 英國屋三宮センター街3丁目店
●神戸市中央区三宮町3-9-7
★11/7(月)より元祖・オリジナルともに販売開始
元祖チーズトーストを販売中。英國屋オリジナルのチーズトーストについては今後販売予定。
▼公式Instagram:https://www.instagram.com/eikokuya_center/

元町サントス 
●神戸市中央区元町通2-3-12
★12/1(木)より元祖チーズトーストを販売開始
元祖チーズトーストを販売中。元町サントスオリジナルのチーズトーストについては、乞うご期待!
▼公式Instagram:https://www.instagram.com/motomati_sant0s/

DORSIA 
●神戸市中央区旭通3-1-29
DORSIAオリジナルの、旬の果物を使ったチーズトーストを販売中。
▼公式Instagram:https://www.instagram.com/dorsia_kobe/


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ご当地グルメ

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