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近況と雑感

京都市内、インバウンド混雑がなかなか酷いことになってきている実感。2018年頃を思い出す。

観光公害、とはうまく言ったものだけど、私たちが払った税金を使って運行している公共交通機関、特に市バスに大荷物持って乗られるもんだから、混んでる、とか乗れない、とか市民が怒るのもごもっともである。

勿論、市バスと市営地下鉄はババ混みなのとそうで無いのの差がすごく大きくて、とにかく現場の勝手で生まれて放置されたままの無駄が多いと思うから、抜本的な改革が必要だなぁ、というのは私のような一般市民でもわかる。実際不便やし。

観光客多すぎ!市民は我慢してる!というのは本音でもあるけど、元々の受け皿が雑なことが大きいから、そろそろ更新していかないといけない時期なんだろうと思う。

京都は観光で食ってる街だから、と言う人が多くいるけど、外資や東京資本のホテルが儲かっても京都市の潤いは小さい。交通機関や社寺の拝観料も、市民と観光客は同一料金やし。勿論、幾つかの公共施設なんかを利用する時の市民割引、府民割引があるけど、それはどこの自治体でもそれなりのものがあるはず。

京都市ではその昔「古都税」という名目で宗教法人、つまりお寺さんから税金をとるという制度を作ろうとして仏教会の猛反発にあい、断念した辛い歴史がある。宗教法人は基本的に非課税である。

それはそれはややこしい話でもあり、だがとてもシンプルな話でもある。「坊主丸儲け」は単なる慣用句のような言い方ではあるが、事実そういったこともあるからこそ出た話だ。観光で儲けているお寺さんから税金とることは、あっちこっちから税金取られまくってる私たちにとってはわからない話ではない。

京都市が抱える145万人の人口のうち、15万人も学生さんが居るという実態。大学には通っているものの、住民票を移していない学生さんも一定数居るから、人がいる割に税金が集まらない街でもあるのだ。

敬老乗車証という、高齢者福祉サービスを名乗るフリーパスが支給されていたわけだから地下鉄が混んでいても赤字なのは当然のことだ。

その賛否はともかく、宿泊税を上げるとか、外国人や東京のお金持ちデベロッパーによる不動産(特に良いマンション)買い占め対策のための別荘税とか、とにかく税金を取るための制度の制定も課題だ。

京都人への印象操作的な悪評をよく目や耳にする。イケズとかケチとか本音を言わないとか、他所から風評被害を受けがちだ。勿論少なからずそんな面も否定はできないけど、私から言わせてもらえばちゃんちゃらおかしい。

町衆文化や自然、歴史と伝統を尊ぶ京都人が、これだけ「他所さん」の学生や観光客を受け入れ、まあええがなええがな、と楽させてるのって、究極に優しくね?と思う次第。

心の底では、来てもらえるだけで嬉しいし、なんだか誇らしい気持ちになっている。そんな「ユルい」優しさは、京都で暮らす人々の基本的な性格に深く根付いていることに、多くの人々は気付いていない。

京都の人たちは他所の人達に優しすぎて損をしているとも言える。

まぁ、他所の人らのことはええやんほっとき、分かったはらへんから、と受け流し愚痴を言い、それだけがクローズアップされて悪評に繋がっている。それが搾取されて損してたとしても。

京都は観光の街、と見られることが多いけど、経済的に言うと電子機器産業の街である。それは、明治維新以降に整備された琵琶湖疏水と、それを利用した日本初の水力発電所開設に依るところが大きい。まだ東京にガス灯と汽車しか無かった時代のことだ。日本近代化のために京都が頑張ったことは、もっと評価されるべきだ。

任天堂を筆頭に、京セラ、ニデック(日本電産)、村田機械、島津製作所、オムロン、ロームなど、半導体や電子機器を扱う世界規模の大手企業は今なお京都経済の中核である。

これらの企業が京都に強く拘っていることからも、対東京への意識はとりわけ強いような気がする。勿論、京都には対大阪への意識も無いわけではないが、関西の中では京都と大阪の役割分担は明確で、首都圏で言う横浜や千葉、さいたまと東京の一方的で絶対的な主従関係とは一線を画している。

ここ30年ほどの日本の凋落が東京一極集中を際立てていることは事実である。東京は素晴らしい街だが、文化を作ることが出来ない。何故なら自然や文化資産が遠く、人と金を吸い取り使い込むことでしか経済を回せない街だからだ。ローマやパリとは違う。

近年はストロー現象の課題が顕著である。東京を中心とした物事の考え方は、あらゆる社会的な課題を地方に押し付けながらマッチポンプを延々とやることで成り立っている。昭和時代から平成初期にかけて培われ、東京を成長させてきた様々な文化や考え方を一網打尽に淘汰し、そこから生まれた膿を地方に押し付けている。

東京が地方を引っ張っていた時代はとうの昔に終わってしまった。ふるさと納税制度で潤うならば楽なものだろうが、人と金、自然があってこそ、文化が生まれ育ち、持続する。

だからこそ京都に拘る企業や考え方があることは、京都市民としてはとても有難いことだ。

京都には市の交響楽団があり、小学生がホンマモンの良い音楽を授業の一環として聴くことができる。

沢山の社寺仏閣があり観光客で賑わうが、禅寺の神秘的な庭で感じることのできるイロイロが、どれほど人生にとって、仕事や生業にとってプラスになることかということで言うと、距離とコストが半端なく近く、カジュアルなものである。

わざわざ遠くまで旅行に行かなくても、少し歩けば自然があり、立派な美術館や博物館はよくあるハコモノではない。ちゃんと文化と歴史に紐付いた価値あるモノを、私たちのような一般市民に提供してくれている。

デカい公共施設だけではない。拾得や磔磔のようなライブハウスは土地に根付いた音楽文化を支え、喫茶店やバーも東京や大阪のそれよりも価値重視だ、と言えるものが数多く存在する。

だから、そろそろ他所さんからお金しっかり貰うために、せめて市内交通使いやすくしてあげて、丸儲けのお寺さんが税金払おか、てなるくらい更に潤ってもらうようにならへんもんかと、ぼんやり考えを巡らしている。

俺?

俺は京都市住みやすいけど、有れば良いなと思うのは地下鉄環状線と、バンドでレコーディングやリハーサルができる大きいスタジオかなぁ。あとはXに具体的な交通施策への提案を書いてます。

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