店舗設計は「VMD」から「空間UX」へ

「店舗メディアの作り方」というコミュニティマガジンをはじめてから、以前にも増して店舗というメディア、そして店舗空間での体験について考える機会が大幅に増えました。

私は常に実店舗をWebメディアや雑誌に例えて話す癖があって、例えば

百貨店のビジネスモデルってWebメディアでいうとアフィリエイト収入しかない状態ですよね

といった話をしたりしています。

Webメディアや雑誌にひとつの記事を読むために有料課金があったり、純広告や記事広告があるように、店舗をメディアとして捉えるならば入場料をとったり、広告枠というかたちで賃料をとったり、イベント企画によるマネタイズを考えたりといった視点が必要不可欠のはず。

であれば、そのメディアをより濃く読み、さらに次の行動に写してもらうためにはWebでいう『UX』の概念が必要になるのではないかと最近常に考えています。

ちなみに小売の世界では、もともとVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)という考え方があります。

どうすればお客さまがお店に入りやすくなり、目的のものを見つけやすく、さらに新しい発見ができる売場づくりができるか。

私は座学とちょこっと現場でやったことがあるくらいで深く学んだことはありませんが、お店作りの基礎の基礎なので「VP」「PP」「IP」の違いや店舗レイアウトの基本など、VMDの知識はこれからも必要とされるものだと思います。

一方で、VMDというのは『モノを売る』ことを前提として考えられたセオリーです。

レジに対してどういった棚の配置にすればお客様の滞在時間が増えるのか、エンドとよばれる棚の端はどう有効活用すべきなのか。

そうしたメソッドは『売場』においては有効でしたが、今後売場が体験重視になっていく中では、VMDの知識をベースにしつつ、体験全体をデザインできる人が求められていくのではないかと私は思っています。

例えば、昨日マットレスブランドのCasperの新店舗が店舗メディアのコミュニティでも話題になったのですが、これは入り口でトンネルをくぐることで非日常の世界へ誘われるところから体験が設計されています。

さらに、Pirchというインテリアブランドの店舗では、キッチンやバスルームなどのリフォームを考えている人たちが実際に料理を作ってみたりお湯の出方をチェックしたりといったことに重点がおかれています。

▼この動画はPirchの雰囲気がわかりやすいのでおすすめ!

この2つの事例はそもそも商品が高額でサイズも大きいのでショールームに適しているという特徴はありますが、以前紹介したSONOSの体験型店舗のように、商品特性に関わらず『どんな体験をしてほしいか』を考えなければならない時代が必ずきます。

そうした時代に必要とされる店舗設計のスキルは、『体験とコミュニケーションが生まれる空間設計』へと変化していくでしょう。

つまり、求められる店舗像が『買い物しやすい場所』から『過ごしたい場所』になっていくのです。

この2つは共通する部分もありつつ、まったく異なる部分もたくさんあります。

例えば、買うという機能に特化するならばいかに短い時間で多くの買い物客を捌くかといった導線を意識せざるをえません。

効率的な買い物のためにレジの位置を決め、在庫の置き場所や一度に顧客がたくさんの商品を比較検討できるようにするという点も重要です。

しかし、時間を過ごし体験することを重視するのであれば、限られた空間でサプライズや感動をどう生み、さらに長時間過ごしたくなる快適さとは何かを考えなければなりません。

今後はあちこちにディズニーランドができ、フェスが生まれる時代です。

そんな時代に求められるのは、ブランド価値がもっとも伝わる体験を用意し、その場を楽しんでもらうにはどんな要素が必要なのかを考えられる人なのではないでしょうか。

私は、そうしたこれからの店舗空間の設計を『空間UX』と呼んでいます。

さらに言えば、その場での体験のみならず、前後のユーザー体験まで含めて設計できる人材が今後は求められていくはずです。

今のところ、そうした総合的な顧客体験と空間UXを考えられる人材はどこにいて、例えば誰なんだろうとよく考えているので「この人は!」という人がいればぜひ教えてください。

あと、店舗空間のデザインの基礎やUXを学ぶ上で有益な書籍の推薦もお待ちしています!

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最所あさみ

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