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3月10日 あの頃。

「あの頃。」めちゃくちゃ良かった。
一癖も二癖もある仲間たちと、大好きなモノを追いかける青春が、ここまで美しく、ここまで感動するとは。
この映画では、モー娘。や松浦亜弥をはじめとする「ハロプロ」が取り上げられていたけど、誰にでも「夢中で追いかけている、もしくは追いかけていた何か」があるのではないだろうか。それがなんであれ、自分が大好きだと思える何かがあるのは本当に素晴らしいことだ。
そこに、その思いを共に分かち合える仲間がいるのはもっと素晴らしいこと。男臭く、でもどこか可愛らしい青春劇が描かれていた。

ここまで映画に共感できたのも久しぶりだ。まあ、自分がアイドルオタクであるというもの大きいが、それ以上にリアリティがあったから。
ハロプロに出会った当初はすごい熱量だったものの、月日が経つにつれその熱量も薄れていき、ハロプロから少しずつ離れていってしまう劔氏の描写がある。ここにすごくリアリティがあって、人の熱量が薄れることについて、特筆すべききっかけはないのである。
例えば、アイドルを取り巻く環境でなにか事件的なことが起きた結果、アンチに転じてしまったりすることはあるだろう。これには「事件的な何か」がきっかけとなっている。きっかけなしでアンチが生まれることは多分ない。多分。
嫌いになっているわけではない。当時ほど好きではないだけ。そうなったことに特に理由はない。誰しもにそう言った対象があると思う。
その、情熱が薄れていく様が妙にリアルで共感してしまった。

そして、映画に登場する人物がみな、「今を楽しく生きている」ということ。ハロプロと、それを共に愛する仲間と出会った劔氏は毎日楽しそうに生きていた。上京し、ライブハウスで勤務している時も楽しそうに働いていた。バンドを新しく始めた時も楽しそうに演奏していた。常に、「今が楽しい」を更新し続けているのである。劔氏を取り上げたが、ほかの登場人物もみなそうである。仲間と再会した時も、推しが卒業した時も、仲間を病で失った時でさえも。
この、「今が楽しい」を更新していく様子を、僕はアイドルに重ねてしまった。
アイドルは、「あの頃の方が良かった」とか過去を賞賛されることも多いものだ。そういうことを言う人は多分、まだ「あの頃」に生きているのだろう。しかし、僕たちは「今」を生きているのである。「あの頃」にはないものが「今」のアイドルにはあるし、それは常に最高を更新し続けているから。そのために頑張っている姿を見て、僕はパワーを貰っている。

今、僕は乃木坂46を追いかけている。きっかけは仲間の勧め。彼らとは何度もライブに足を運んだし、メンバーの卒業コンサートでは共に涙を流した。緊張して何を話せばいいかわからなかったはじめての握手会、緊張を解いてくれたのはその仲間だった。先日の配信ライブも一緒に観た。何時間も語り合った。

僕が出会った頃すでに5、6年ほどのキャリアを積んでいた乃木坂だけど、そこから今に至るまでその成長の様子を見るのがとても楽しかったし、パワーを貰えた。もちろん、卒業したメンバーや、過去のライブのことを思うこともある。でも、それは「思い出」だ。思い出話は悪くない、楽しいし、ずっとしてられる。でも、共に今を生きて、成長していく様を見ることができるのももっと楽しい。僕は仲間と見るこれからの乃木坂46が楽しみだ。


映画を通して、自分には「夢中になれるモノ」があること、そして「それについて語り合える仲間」がいることを誇ろうと思った。僕は今、いつか人生を振り返った時に輝いてるであろう「あの頃。」を生きている。

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