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シンスプリントを改善するには何をすればいいのか

今回はATらしくスポーツ障害について書いていきます!

シンスプリントの選手多いでしょうか?

僕の場合は接骨院やアスリハ施設、整形外科、スポーツ現場などで多くの学生アスリートを見てきましたがシンスプリントマジでめちゃくちゃ多いです。

バスケ、バレー、陸上、サッカー様々な競技で発症することが多いと思います。

シンスプリントがなぜ起きるのか、何が原因なのか、何をすればいいのかを紹介していきます。

シンスプリントとMTSS(脛骨過労性骨膜炎)

日本整形外科スポーツ医学会ではシンスプリントについて、

陸上競技の中・長距離選手やサッカー、バスケットボールなど走ることの多い競技で中学・高校生の選手に多く見られ、疲労がたまった時に発症しやすく、下腿の内側に痛みの起こる障害

と定義されています。

また、シンスプリントと同義語で扱われることが多いものにMTSSと呼ばれるものがあります。

最近はこちらの表記が多いと思いますがMTSSとは脛骨過労性骨膜炎と呼ばれます。

MTSSとは、

①    運動によって誘発される脛骨後内側縁の痛みがある
②    痛みの範囲が5㎝以上である
③    押すと不快感があり、骨折や虚血性疾患を除外したもの

このように定義されています。

シンスプリントは【痛み】についてでMTSSは【症状】を表しているとも言えます。

この辺りややこしいので今回は同義語としてシンスプリントとして話を進めていきます。

シンスプリントの好発部位は脛骨中央から遠位1/3の内側後方に多くランニングやジャンプ動作などで痛みを訴えることが多いです。


発症メカニズムと疼痛検査

発症メカニズムとしては、ランニングやジャンプなどの繰り返しにより脛骨内側の筋(長趾屈筋、ヒラメ筋、後脛骨筋)が牽引され下腿内側に伸長ストレスが増大することにより生じます。

次に、【何が】痛みを引き起こしているのか特定しなければいけません。

こちらの文献では男女でシンスプリントが発症する脛骨内側縁にヒラメ筋・長趾屈筋が付着するのかについて調べています。

結果は長趾屈筋は男女ともに付着していましたがヒラメ筋は男性より女性で高い割合で付着していることが分かりました。

この結果から長趾屈筋で発症する可能性があるのではないかということが示唆されました。

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こちらの文献ではシンスプリント既往者では長趾屈筋、後脛骨筋の弾性率が高いことが示されました。※弾性率は筋肉の硬さだと思ってください。

先ほどの文献の通り長趾屈筋はシンスプリント好発部位に付着する一方、後脛骨筋は好発部位に付着しないことが報告されています。

その為、後脛骨筋の硬さにより筋膜を介してシンスプリント発症に関与している可能性が考えられます。

こういった理由からヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋がシンスプリントを発症すると考えられているのです。


では、ここからさらに疼痛を引き起こす組織を調べていきます。


・圧痛確認

脛骨内側、脛骨後内側縁、脛骨上の圧痛を細かく確認していきます。

圧痛を確認する際は下腿を内旋位、外旋位にして確認します。

外旋位
内旋位

多くの場合は下腿外旋位で牽引され痛みを起こしているので内旋位に誘導して痛みが減少することが多いです。


圧痛部位を確認したら筋の収縮時痛と伸長時痛を確認していきます。


・伸長時痛

ヒラメ筋の作用は膝屈曲位での足関節の底屈です。

その為、膝関節屈曲、足関節背屈で伸長肢位を作ることができます。

後脛骨筋の作用は足関節底屈、内返しです。

足関節背屈+外返しで伸長肢位。

長趾屈筋は足関節底屈、2~5趾屈曲なので、

足関節背屈+足趾伸展で伸長。

収縮時痛は各筋の作用に抵抗をかけます。

ヒラメ筋は底屈、後脛骨筋は内返し、長趾屈筋は足趾屈曲です。

どの動作で痛みが誘発されるのか確認していきます。


ここまでは患部に対してのアプローチですがシンスプリントを改善するためには身体全体を診なければいけません。

シンスプリントを発症するアライメント

先ほどの検査結果から後脛骨筋が疼痛を誘発しているとしましょう。

内返し抵抗チューブや底屈をひたすらやればシンスプリントは改善するでしょうか?

これだけでは改善する可能性が低いと思います。仮に改善したとしても再発する可能性が高いと思います。

シンスプリントを改善するには患部だけでなく体全体を評価する必要があります。


現場でよく経験するのは、

距骨下関節回内→下腿内旋(空間的に)→大腿内旋→股関節内転・内旋→外転・外旋筋の出力低下

又はこれの逆。

シンスプリントの選手は総じて股関節外転、外旋筋の低下が見られます。

シンスプリントを有するラクロス選手では股関節外転筋力の低下が示された↓↓

https://www.reha.kobegakuin.ac.jp/~rehgakai/journal/files/no11-2/ronbun07.pdf

同じくらい距骨下関節の過回内が見られます。

その為、上行性(足関節からの影響)が影響しているのか下行性(胸郭や骨盤など上から)の影響なのか見極めることは難しいですが、

これらを改善するためのアプローチはだいたい同じだと考えてもらって大丈夫だと思います。


ざっくりまとめると、

距骨下関節回内して下腿内側(ヒラメ筋、後脛骨筋、長趾屈筋、下腿筋膜)が牽引されて股関節外転筋の弱化で股関節内旋位になり、相対的に(大腿に対して)脛骨近位外旋、遠位内旋で競技動作が続き結果として下腿内側にストレスが蓄積しシンスプリント発症。

※あくまで一例です

シンスプリントを改善するには

個人的にシンスプリントを改善するうえで大事なことは、

・股関節外転・外旋筋力の改善
・下腿内旋可動域の改善
・片足スクワットを動作エラーなく行えること

・股関節外転・外旋筋の改善

殿筋群の強化をしてあげましょう。

まずはOKCから。

・下腿内旋可動域の改善

先ほどの圧痛所見を見て滑走性の改善をします。

下腿内側、外側の筋間など丁寧にリリースしていきます。

動きが出てきたら座位で膝を把持して下腿を内旋させます。

・片足スクワットを動作エラーなく行えること

これがすごく大事です!

フォーム良い例


股関節内転・内旋、膝外反、足部外転が起こらないように片足でスクワットを行っていきます。

悪いフォーム

後方重心にならないように前方に重心を乗せてやっていきましょう。

今回紹介したのはあくまで現場レベルで多いパターンです。

シンスプリントは難渋することも多い症状なので一人一人評価をしてその選手に合ったエクササイズや徒手療法などを提供していきたいですね!


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