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前鋸筋を効かせるには何が必要か

こんにちは!

先日ピラティスを受けてきました。

ピラティスにも種類が色々ありますが、今回はリフォーマーを体験してきました。

すごく勉強になったのと如何に自分の体が使えていないのかに気づかされました。あとはとにかくきつかったです笑

様々なトレーニングを行いましたが、自分の中でも感覚が難しかったのが「前鋸筋」を使うということです。

皆さんご存じの通り前鋸筋はプッシュする動作で使いますが僕はこれをやろうとすると僧帽筋上部が働いてしまい上手く前鋸筋に入りませんでした。

普段臨床で、前鋸筋!前鋸筋が大事!これが使えてないと姿勢が悪くなりますよ!

というのがブーメランで自分に跳ね返ってきたようです、、w

ということで今回は前鋸筋について深堀していきたいと思います。


前鋸筋の解剖学


プロメテウス解剖学 引用

起始:第1~9肋骨
停止:肩甲骨 ①上部 ②中部 ③下部
機能:前鋸筋全体:肩甲骨を前外方に引く、上肢帯が固定されていれば肋骨の挙上
神経:長胸神経(C5~C7)

前鋸筋は肋骨から肩甲骨の内側縁まで幅広く付着する筋肉です。

腕立て伏せなどを行うときに最後に地面を押し切る時やリーチする動作などで主に働きます。

他にも大事な役割として「肩甲骨に対して胸郭を安定させる」があります。

逆を言えば前鋸筋の機能不全は肩甲骨の不安定性に繋がることがあります。

長胸神経麻痺などで肩甲骨が突出してくる翼状肩甲などは有名ですね。

ではここからもう少し前鋸筋について深掘っていきます。

前鋸筋は3つの線維に分けられる


最初の解剖学でも書いてありますが、前鋸筋はその走行から線維が3つに分けられます。

上部は第1、2肋骨から肩甲骨上角に付着
中部は第2、3肋骨から肩甲骨内側縁に付着
下部は第4肋骨以下から肩甲骨下角に付着

そして、それぞれ

上部は肩甲骨下方回旋、前傾
中部は肩甲骨外転
下部は肩甲骨上方回旋


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赤:上部 オレンジ:中部 緑:下部

作用沢山あって覚えるのが大変ですが、特に

「下部は肩甲骨上方回旋」

が非常に重要な役割をしています。ざっくり肩甲骨の安定と外転、上方回旋してるんだなーってところは覚えておきましょう。

前鋸筋と関与のある筋肉

・前鋸筋と僧帽筋
・前鋸筋と外腹斜筋
・前鋸筋と菱形筋


前鋸筋と僧帽筋

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僧帽筋上部および下部線維と前鋸筋下部線維はフォースカップルを形成し協力して肩甲骨を上方に回旋する 

原著第2版 筋骨格系のキネシオロジー


僧帽筋と前鋸筋は一緒に動くってことですね。

さらに肩外転の際の僧帽筋上・下部、前鋸筋下部の筋電図活動を見てみると、

僧帽筋上部線維は肩外転の開始時に筋活動の有意な上昇を示しました。

僧帽筋下部線維は外転後期に筋活動が高まります。

そして前鋸筋下部線維は肩外転の全可動域にわたって筋活動が増加します。

原著第2版 筋骨格系のキネシオロジー


つまり、僧帽筋、前鋸筋のどちらかに機能不全が生じていれば肩甲骨の上方回旋が減少することが考えられます。

例えば前鋸筋が効かなくなると前鋸筋は肩外転時の全可動域にわたって貢献しているのでその分をどこかで補わなければなりません。

それが僧帽筋上部であれば肩甲骨は挙上位になり肩甲骨と上腕骨の間でインピンジメントを起こすことも考えられます。

前鋸筋と外腹斜筋

これは結構有名だと思います。

前鋸筋は1~9肋骨(又は8)から肩甲骨の内側縁、外腹斜筋は第5~7肋骨から恥骨結合、鼠径靱帯に付着。

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前鋸筋の筋活動が増すにつれて外腹斜筋の筋活動も増加した。(略)胸郭を下方に引き下げる外腹斜筋が固定筋として作用したため外腹斜筋の活動が見られた。

前鋸筋が働くときは外腹斜筋も働くし、外腹斜筋が働くときは前鋸筋も働きます↓↓


筋連結していて斜めに走行しているので体幹の屈曲や安定させるためにも前鋸筋と外腹斜筋の連結は重要です。

また、

前鋸筋と外腹斜筋の筋連結部位は、上半身重心位置を前額面上でコントロールすることに適した空間的位置関係になる。上半身重心位置を矢状面でコントロールすることに適した空間的位置関係となる。

柿崎:胸郭運動システムの再建法


つまり、上半身が前後、左右に傾かないように前鋸筋と外腹斜筋が安定させているということです。

だからどちらかの筋で機能不全が起これば「安定」の役割が失われます。

前鋸筋と菱形筋

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前鋸筋と菱形筋は肩甲骨内側縁で線維性結合組織で連結されています。

前鋸筋の役割は肩甲骨外転、上方回旋ですが、菱形筋は肩甲骨内転、下方回旋で拮抗筋になります。

ただ、両筋とも肩甲骨の安定には貢献しています。

どちらかの筋が筋力低下・機能不全を起こしていれば肩甲骨は不安定となります。

一旦ここまでをまとめてみます。

・前鋸筋は3つの線維で構成
・僧帽筋と前鋸筋下部線維は共同して肩甲骨の上方回旋をする
・前鋸筋と外腹斜筋は体幹を安定
・前鋸筋と菱形筋は筋連結していて拮抗筋であるが肩甲骨の安定に貢献している

では,臨床で多い前鋸筋が機能不全になるとどのようなことが起きるのか、

そしてそれを改善するための方法を書いていきたいと思います。

前鋸筋が機能不全になると起きること


臨床で圧倒的に多いのが胸郭の後方偏移です。

前鋸筋が機能低下を起こすと小胸筋や大胸筋など前胸部の筋肉は短縮します。(もちろんすべてではないですが、、)

胸郭が後方に変位するので外腹斜筋も効かなくなり体幹が安定できず骨盤を前方へ変位させてバランスを取ろうとします。

この姿勢が続けば頚椎のアライメントが崩れたり、肩の挙上の際に僧帽筋を過剰に使ったり良いことはあまりありません。

前鋸筋を使えるようにするために

前鋸筋を使う運動を3つご紹介します。

コツは肩甲骨が挙上しすぎないように肩甲骨外転を意識して行うことです。

まずは四つ這いになり手で地面を押して肩甲骨を最大外転させます。
僧帽筋上部に入りやすいので注意してやっていきます。

こちらもは肩を90度屈曲して前方突出させながら挙上させていきます。

早くやらずにゆっくりとやっていきましょう。

慣れてきたら肘にチューブを巻くのも〇

座位で片腕を上げて肩甲骨から動かしていきます。

重りを持つとさらに収縮感を感じます。


まとめ

・前鋸筋は様々な筋肉と筋連結がある
・肩甲骨の安定化や体幹の安定に貢献
・機能低下すると胸郭の後方偏移が起こりやすい

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