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【感想】ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーは名前に偽りがない

コンピュータゲームの歴史は紐解けば奥深く、何十年も昔に遡る。
しかし、日本のゲームの歴史に限って言えば、間違いなく「マリオ」が、そして「任天堂」が常に付いて回るのだ。
ファミコン生誕40周年。
この40年、日本のゲームには間違いなく、常に「マリオ」が存在していた。

去年からもずっと話題になっていた映画版マリオが遂に4月28日から上映ってことで早速見に行ってきました。
映画版マリオと聞いて「魔界帝国の女神」とか言い出すやつはいますぐ見に行くべきだと思いますし、「クッパの声優が和田アキ子」とか言い出すやつも今すぐ新しいマリオ映画を見に行くべきです。
なんでピーチ姫救出大作戦の話題なんか出てくんだよ! マリオの映像化に対して変なトラウマ抱えてるやつ多すぎるだろ!
僕とかは桃太郎をマリオでやってるみたいなショートアニメビデオとか好きだったんで全然嫌悪感無いんですけどね。みなさんどう?

昨今、この手の有名原作ゲームありきの作品だとソニックがちょっとした話題になりましたね。ビジュアルでちょっとした避難を浴びましたがその後修正され、実際出された作品は非常に面白かった。
そんな如何にもアメリカンチックな出来栄えのマリオ映画、僕も凄く楽しみにしていたのでネタバレを踏む前に急いでいったわけです。
そんな感じでTwitterに今の状況でネタバレを流すのは流石に流石なので、noteで好き勝手言いたいことを言ってやろうという話です。
まぁ作品の根幹にかかわるようなネタバレなんて無いような作品なんですけど、僕はこう…「マジで!?」ってポイントの数々に対して色々言いたいし、あれを何の情報も得ずに見る時のドキドキにこそ楽しみがあると思うんで…是非この記事も映画を見終わってから見て頂きたいと思う所存です。

それじゃ早速感想にShow me a move!







(ネタバレ王国の城門)






1.映画としての感想

如何にもアメリカンな作りがちょっと王道過ぎて感動するね!

今作のマリオとルイージは、僕らが住んでるみたいな世界に普通に暮らしている雇われ配管工だったのが、両親や同僚の反対を押し切り二人だけの配管工「マリオブラザーズ」として活動する、という設定。序盤、いかにもジョックな態度のスパイク(元会社の上司)にイビられたり、家族の中でも一部の人間は会社をやめて独立したマリオとルイージに辛辣だったりと、何というかバック・トゥ・ザ・フューチャーの序盤でも似たようなの見たな…ってなりました。アメリカ映画、ジョックとギーグの差を描きがち。
ちょっとした事件が起こる最中、地下に据え付けられた土管にルイージとマリオが吸い込まれ、離れ離れに。
そしてマリオが辿り着いた先がキノコだらけの国、キノコ王国だった!

まさかマリオを元ネタにした作品でこんな堂々と異世界召喚モノをやるとは思わなかった。僕は異世界転生と異世界召喚の違いにうるさいタイプのオタクです。
やたらいい声をした(まさか智一は予想外だった)キノピオに連れられてキノコ王国のプリンセスに会いに行くマリオ、道中で大量の土管や宙に浮くブロックにツッコミが入るのは予想外過ぎて笑ってしまった。
キノコ王国は冒頭でスーパースターを手に入れたクッパ軍団に襲われる可能性を危惧し、ピーチ姫自らジャングル王国のコング達に協力を依頼しに行く途中でマリオに出会い、互いに手を取る流れです。

話の構成は非常にシンプルで、マリオとピーチが出会ってルイージを助ける&キノコ王国を救うためにクッパを倒すというシナリオなのですが、道中の冒険感やマリオの世界への再現度が素晴らしい!
「なんでブロックが宙に浮いてるんだよ」とか「この土管入ったら勝手に動くのどういう仕組みなんだよ」とかゲームやってると言いたくなるようなツッコミどころに遠慮なくツッコミを入れ、しかし回答は無し! この潔さ、あらゆる作品が見習っていい姿勢だと思うね。
ハテナブロックが普通に出てくるだけでちょっと面白くなっちゃうの映像のマジックだなあと思う。

道中、ジャングル王国のクランキーコング国王(マジで無情報で見に行ったので出てきた時びっくりしちゃった)に頼み、軍を貸してもらう流れの中、国王が認めるために国王の息子であるドンキーコングとの決闘シーン。
なんやかんやあってドンキーを打倒し、共にクッパに挑むためにカートを走らせる一同に襲いかかるクッパ軍団! 圧巻の一言です。

ラスボスであるクッパも非常にカッコいい。この令和の時代に、ちゃんと強くて格好良くてワルいクッパ様が見られるなんて思わないよ。それでいてちゃんと茶目っ気と愛らしさもある。このバランスを保ったままちゃんと最後まで悪役やってるからクッパはすげえよ。
最後のクッパを倒す手段に関しても、「まぁそれしかねえよな」感が凄いです。あのアイテム使えるシリーズでクッパが倒せなかったことはないからね。原作再現が完璧すぎるよお。

最後は囚われていたルイージも解放され、「マリオブラザーズ」としてクッパに向かっていきます。あのアイテムによって無敵と成った二人の猛攻によるクッパ撃退シーンのカタルシス、そしてお決まりのようなハッピーエンドとともに幕を閉じ…なかった!!!!
スタッフロール後の卵を見て「そういや一瞬しか出てなかったなお前!」ってなりましたね。次回作、楽しみになっちゃう…

全体を通して王道も王道、如何にも解りやすいアニメ洋画って感じです。
そういう意味ではある意味よくある映画であり、マリオを本当に全く知らない人にもそういう方向で楽しめると思いますね。
うだつの上がらない序盤のマリオは、ルイージを救うために必死になって動き間違いなくヒーローとなり、ピーチも原作同様の強さでマリオと共に活躍していきます。いや忘れてたけど原作ピーチも相当強いんだよな、それこそUSAの時点でプレイアブルだし。
格好良く、間違いなく「マリオ」の映画だった本作!
非常に高評価でした……



2.溢れ出るマリオ愛

が!!!
この映画の感想はそれだけじゃ留まらねえ! 寧ろこっからが本番!
映画全体を通して「マリオ検定」、いや「任天堂検定」とも言うべき小ネタの仕込み方の数々が凄まじい!
この映画、寧ろマリオを長年プレイしてる人にとってはこっちの方が楽しみで見に来てる人多いかもしれません。とにかく細やかな部分までネタが仕込まれている!
僕はもう、最初のシーンでクッパが王国に攻めてくる時、SMB3の戦艦のBGMが流れただけで泣きそうになっていました。まさかそこで持ってくるとは思わねえよ!

僕が本当に声が出そうになって最高に我慢したポイント「ルイージの携帯電話の着信音がゲームキューブの起動音」に始まり、えらい長い橋を歩いているマリオたちに飛びかかってくる大量のプクプク、カートを選ぶ時に選択するマシン・タイヤ・マストの3種類のリール、壁にぶつかって何度も反射するミドリこうら、ゴールポールに飛びついてゆっくり降りる時に流れるSEなど、もう長年マリオシリーズをプレイしていればプレイしているほど出るわ出るわの小ネタの数々! まさか令和のこの時代にボムキングが新しい3Dモデルで見れるなんて思わねえだろ!!
マリオがプレイしているのがパルテナの鏡だったり、「これまだ使える?」「息を吹きかければ良いんですよ」なんていうファミコンソフトの起動方法に対するアンサー、ディディーコングの横にいる女の子めっちゃ見たことある~とマリオを抜きにしたポイントでもやりたい放題。いっそもう林原めぐみに声を当ててもらうべきだったのではと錯覚するね。
僕はレインボーロードを走ってる時にトゲノコがトゲゾー甲羅になるシーンがめっちゃ好きです。まさかDD仕様のトゲゾー甲羅になるとは思わねえよ最強じゃねえかあの頃。というかこの映画見てると「そういやトゲゾーとかも結局は全員カメなんだな」と思い出させてくれる。
キノピオ兵による「姫は別の城に居ますよ」も天才すぎる。ここまできたら次回作はマリオに「OH!DAISY!」って言ってほしい。

一部は映画に際してゲームの仕様と変更されていると思しきものがあり、それの代表が「たぬきマリオ」かなと思います。まぁしっぽマリオ、変化としてはちょっと地味だしな…直前にネコマリオがあったのもあり、その辺の見た目の派手な変化は求められてたんだろうなと思いました。
その癖ファイアマリオが一回もなかったなあと思う。ファイアピーチもファイアドンキーまであったのに。色が変わるとマリオだってのが分かりづらいってのがあるんだろうか。

あと僕はクランキーコングが「うちの息子と戦え」って言った瞬間、「まさか出てくるのか、Jr.!」ってずっと思ってたんですけど普通にドンキーコングが出てきました。ですよね。
ドンキーJr.なんて一体何年出てないんだ。と思って調べたらマリパ8に出てるらしいです。でも立ち位置として地味だよなあ…

【知らない人向け】
ドンキーコングは「初代ドンキーコング」である「クランキーコング」がいて、
この人がファミコンとかアーケードに出てくる「ドンキーコング」なんですけど、
今活躍してる方のDKネクタイをしたドンキーコングは「二代目ドンキーコング」であり、
「クランキーコングの孫」という設定があります。
んで、クランキーコングの息子には「ドンキーコングJr」ってやつがいるんですよね。
コイツについてはSFCマリオカートで出てくるんですけどマジでそれ以外のカメオ出演が少なすぎて
地味です。気になったら調べてみてね。へんなタンクトップ着てるよ。

あと、音楽が凄く良い。あらゆる場所でマリオのアレンジBGMが聞けるしそのポイントもベスト。下水道で地下BGMが流れるのは勿論なんですけど、僕的にはレインボーロードでSFC版のアレンジが流れたのが最高に燃えるポイントでしたね。数あるレインボーロードのBGMでSFC版の「特別感」を出すの、製作者はよくわかっている。
僕的にはたぬきマリオに成った瞬間、一瞬だけマリオ3のアスレチックステージのBGMが流れたのを聞き逃しませんでした。貴様このゲームやり込んでいるな!

「マリオが好きじゃないと楽しめない」という風説が流れてきたとは聞いていますが、確かにその意見にはちょっと同意するかもしれない。この映画、マリオが好きであればあるだけ、その想いに応えてくれる作品です。今まで遊んだマリオの歴史の全てがこの映画に詰まってるといっても過言じゃない。どんなに細かい要素も見逃さず見てほしい作品です。
マジで今からアマプラ入った後に答え合わせが楽しみ~、円盤買っちゃうかもしれない。



3.「スーパーマリオブラザーズ」である意味

これ、別に「これマリオでやる必要なくね?」みたいな話ではなく。
なんでタイトルが「スーパーマリオブラザーズ」なんだろう、ってちょっとだけ思ったんですよね。
特にルイージが囚われのヒロイン役なので、「ブラザーズ」感は非常に薄く感じる。どっちかって言うと「スーパーマリオ」でいいんじゃないかなって感じするんでしょね。

でも、その疑問は「スタッフロール後」に氷解した気がします。
だって、ヨッシーは「スーパーマリオブラザーズ」に出てないもの。

これ、後でちゃんと調べたんですけど、WiiUとかで出てる「NewスーパーマリオブラザーズU」とかにもやっぱり出てないんですよね、ヨッシー。
じゃああのスタッフロールは何だったのって話よ。

これは来年出るぜ…「ザ・スーパーマリオワールド・ムービー」がよ…!

マリオの最強形態といえば、といった「マントマリオ」がまさかCMでちら見せしただけで最後まで出ないとは思わず、最後に使うのはそっちのアイテムなんだ~となった本作!
たしかに冷静になって考えてみれば、今作はヨッシーがちら見せでしか出てこず、あの有名な(?)「コクッパ7人衆」も出ていない! まだまだクッパ周りを掘り下げる要素はある!
マリオがマントで空を飛ぶのは…次回やる!!!!(

いや如何にもな引きで次回作が出ないパターンあると思うけどかなり興行収入はいい感じらしいのでもう続編が今からも楽しみですね!
こうなったら「ザ・スーパーマリオワールド・ムービー」を終わった後は「ザ・スーパーマリオランド・ムービー」が出るぜ…ヨッシーと一緒に復活したクッパを倒した後は、サラサランドで乗っ取られたマリオ城をワリオから奪還したり、新ヒロインのデイジーがタタンガに攫われるシーンからだな…! 走るモアイが出てくるイーストン王国にて信念を賭けたヒョイホイとの熱い戦い、そしてマリンポップ号を使って海深く潜り伝説のパワームーンを手に入れるんだ…!
宇宙怪人タタンガがラスボスの「ザ・スーパーマリオランド・ムービー」、いつでもお待ちしています。ねえわ。



おわりに

最近、映画のクオリティが高い。めっちゃいいことだと思う。
でもちょっと不満なのが、3Dアニメがどうしてもピクサー寄りに傾いてることかもしれないなあ。これ、いつぞやユア・ストーリーの時にも話したかも知れませんね。
ピクサーの如何にもなバタ臭い3D顔があんまり好きじゃなくて、今回の映画が始まった時もちょっと違和感感じてました。マリルイは良いんだけどピーチが慣れるまで時間かかるかもなあと。でも最近の3D映画ってこっちのが主流だし、僕が苦手なだけなのかもしれん。

ただキャラデザは動いてるとあんまり気にならんもので。
溢れるマリオ愛は映画の面白さを10倍にも100倍にもしてくれました。
子供の頃マリオをやった人にも。
今子供でマリオをやってる人にも。
大人になった今でも、マリオをやってる人にも。

マリオシリーズは、コンピュータゲームの歴史と言っても過言ではない作品だと思います。大人も子供も、一回は必ず触ったことがあるだろう、コンピュータゲームの歴史を象った人物にほかなりません。
そんな彼の勇姿が見れ、ユーザー達の思い出たちとともに笑いと涙を提供してくれる「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」、非常にいい映画でした。是非映画館に見に行きましょう。

マリオファンは勿論なんですけど、個人的にはドンキーコングのファンにはより一層見に行ってもらいたいですね!
ディディーとディクシー登場の興奮は勿論なんですけど、モンキーラップの登場には涙腺緩みまくりですよ。カメが噛むほど味が出る。みたいな映画です。誤字だったけどこのままでも良い気がしてきた。
何度も見に行って良い。僕は原稿があるんで流石にこれで最後ですけども(


来月はもうちょっと映画見に行きたいですね!
聖闘士星矢の実写、めっちゃ楽しみにしてる。期待大です。

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