南大門

阿吽の息遣いと迫力 / Breathing and Power of A-Un

今回のならあそびのテーマは、東大寺南大門の金剛力士像です。

奈良に来たことのある人であれば、東大寺は間違いなく訪れると思うので、この像の前を通ったこともあると思います。

トップ画を撮りに南大門に行ったとき、傍にいた観光客らしきカップル(日本人)が、「これが風神雷神?」「そうじゃない?」と言っていて、待て待てと思いましたが、まあ神様という点では同じですね。(雑

多くの人が、金剛力士像は阿形像と吽形像の二体一対の像だということは知っていると思います。
ただ、その定義や彫像としての造形について詳しく知る機会は少ないと思います。
みんな早く大仏さんが見たいから、割となおざりになっているのかもしれません。

日本屈指の巨大彫像がもつ、迫力や制作者のこだわりを少しでもお伝えできればと思います。


(FBから直リンクで見ていただいている方は、下の図が拡大できないので見にくいと思います。お手数ですが、画像を保存するか、サファリなどのブラウザで開いていただくと拡大できます。)

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This text is Japanese only, but there is an English document summarized on this subject.
If you can not read Japanese, please see the following English document.
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1.全体図

■日本語 ver. (size: A4)

191019_阿吽の息遣いと迫力_FIN_OUTLINE_アートボード 1

■English ver. (size: A4)

191019_阿吽の息遣いと迫力_FIN_OUTLINE_アートボード 1 のコピー


2.何がすごいのか?

やっぱり何といっても彫像としてのカッコよさが半端ないです。
美しい彫像は多くありますが、大きさも相まって、これほど迫力のある像はなかなかないと思います。
そんな金剛力士像の見どころをご紹介します!

見どころ①;遠近法を踏まえたプロポーション

南大門の金剛力士像はかなりの胴長短足です。
どれくらいかというと、下のサイトの写真がわかりやすいです。

胴が長いからか、相対的にだいぶ足が短いことがわかります。
これを下から見上げると、こう見えます。

画像3
参照元;http://naratour.blog.jp/archives/1069240687.html

画像4

参照元;http://naratour.blog.jp/archives/1069240687.html

正面からの見え方に比べて短足感がなくなり、違和感のないプロポーションに見えます。

像の高さは8.4m。三階建てのビルと同じくらいです。
ビルを見上げると、上の階ほどビルが細く短く見えます。
これを人に当てはめると、胴が細くなり、顔は小顔で、足はやたらと長く見えてしまいます。

これを応用したのが、女性モデルをやや下からのアングルで撮影する手法ですね。
モデルであればメリットしかないこの見え方ですが、金剛力士像は大仏様を守る守護神なので、ひょろ長で弱そうなのは困ります。

そこで、下から見上げた時に最も力強く、迫力があるように見えるプロポーションを考案し、造形されました。
今回のならあそびのイラストも、下から見上げた状態を描いています。

見どころ②;筋肉とディテールへのこだわり

筋骨隆々とはこのことを言うのだろう、というほどにムキムキです。
特に大胸筋と外腹斜筋がすごいですね。ドラゴンボール並みです。

ただ、実は腹筋はあまり割れておらず、なんならちょっとメタボに見えます。
また、外腹斜筋がどんなに発達しても、こんなに前面には来ないはずです。
みぞおちが急所なのは、ココが筋肉の境目で鍛えにくい場所だからです。
でも、金剛力士像は二体とも見事にみぞおちに筋肉があり、しっかりガードされています。急所なし。

もしかしたら、実際のムキムキを忠実に造るのではなく、理想の最強の身体を模索し、それを表現したのかもしれません。(あくまで私見です。)

また、足の甲の血管を見事に表現した木彫りの技術や、木目を活かした指紋の表現など、細部まで作り込まれています。

3.さいごに

いかがだったでしょうか。

全体図の中には、数字にまつわるお話や運慶・快慶についてのお話も載せているので、是非じっくり見てみてください。

この記事を読んで、へえーと思われた方!
次に奈良を訪れる際は、是非東大寺だけでなく南大門で立ち止まり、じっくりと像を眺めてみてください。


おわり。

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