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子どもたち一人ひとりが大切に育てられる世の中を目指して、施設と里親のこれから【NPO法人チャイボラさんに聞いてみた③】

NPO法人チャイボラ代表の大山さんにお話を伺うシリーズ第3弾ですが、いよいよ終盤です。今回は、里親と施設それぞれの役割についてや、里親に興味のある方への大山さんからのメッセージをお伝えしたいと思います。

(前回の記事はこちら↓)


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インタビュー時の写真(RAC千葉撮影)

Q.本サイト「さとなび」に訪れる人たちへ、何か伝えたいことはありますか?

大山さん:一番お伝えしたいことは、“虐待をしてしまう親=悪魔ではない”ということですね。施設で働いていて色んな親を見てきましたが、子どものことを本当に憎んで施設にいれる親は本当に少ないです。メディアでは虐待をした親が容疑者として取り上げられてしまっていますが、実際は施設に連絡したり会いに来たりする親は多いです。そして親が子どもを思う以上に、子どもが親を愛する力は強いと感じます。ひどい虐待を受けてきても、親のことを悪く言わない子もいます。
施設の職員は、そのような親と子の想いを信じて、いつかまた一緒に暮らせるようになるように必死に働いています。

ー誰もが自分だけで完璧な子育てなんてできない

私は、誰もが完璧に子育てなんてできないと思っています。虐待はあくまでも結果であり、世間での虐待のニュースだけを見ているとどうして虐待にまで至ってしまったかの背景が全然伝わっていないですよね。施設は、その虐待に至った背景まで踏まえて、“家族の再統合”も目指す場所です。
誰もが完璧に子育てなんてできないのだから、施設以外でも、子育てに疲れて親と子の関係が少し危ない状態になっている親子が近くにいたら、お互いに「どうしたの?何か手伝おうか?」と声を掛け合える社会にしたいと思っています。


Q.同じ社会的養護の目的として存在する、施設と里親についてどのような役割分担だと考えてらっしゃいますか?

大山さん:施設と里親の役割については分断して考えていません。それぞれの強み弱みがあると思います。
 年齢が低いお子さんを希望する里親さんが多いと思いますが、例えば中高生で暴力傾向が強めのお子さんを受け入れられる里親さんは少なくなります。障害の有るお子さんの場合、専門的な知識や対応スキルを要することもあります。そうなった場合、どうしても受け入れられる里親さんは限られてきます。
 一方で施設は専門職が多数所属しチームで養育します。なので特性が強いお子さんでも対応できる範囲は広がります。その代わり里親さんのような子どもとの一対一の関わりはどうしても減ってしまいがちです。
なので、お子さんによって里親が向いている子。施設が向いている子がいると思っています。
 現在の施設は施設内の児童の対応に追われがちで地域の家庭や里親支援まで手が回らないところも多くあります。
しかし徐々に支援の範囲を広げる傾向が強まってまいりました。将来的には、施設が地域の子育ての拠点となって里親もサポートできるような環境を作っていきたいと思っています。


世間では、施設と里親は、どちらかを選ぶといった二項対立の制度としてとらえられがちです。

ー施設と里親らが互いに連携し、子どもにとっての最善の利益を考えたい

大山さん:施設も里親もあくまでも代替養育であり、実親との関係再構築を目指す子もいるということを理解する必要があります。“この子にとっての最善の利益とは?”時には自身の感情を押し殺してもこの問に向き合い子どもと関わることがとても大切だと思っています。


●里親制度とは

さまざまな事情で家族と離れて暮らす子どもを、自分の家庭に迎え入れ、温かい愛情と正しい理解を持って養育する制度です。

2-里親の種類Twitter
里親の種類について(一部を抜粋_RAC)

里親制度は、子どもが欲しい大人のための制度ではなく、子どものための制度です。

子どもに関わる施設職員、里親、そして周りでサポートする大人全員が一人ひとりの子どものことを考えて行動しなければと思いました。


大山さん、素敵な活動のご紹介をいただきありがとうございました。

NPO法人チャイボラ
公式HP / 公式Twitter(@Chaibora_npo)


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