見出し画像

「定本 柳田國男集 第三巻」読んだ。

 あの高名な民俗学者、柳田國男さんの全集。
 ついに、第三巻を読み終えた。
 まずは、簡単に目次を書き連ねよう。

水曜手帖
北國紀行
五十年前の伊豆日記
瑞西日記
 ジュネーブの思い出
菅江真澄

 タイトルは簡潔なのだが、中身は決して一般向けじゃない。昔の日本人特有の文章なのかもしれないが、入り組んでいて結論が見えない。いわゆる、大学で教える「論文の書き方」じゃない。
 だけど、頑張って読めば、全く歯が立たないわけではなかった。

 この本も、旅行の話が多い。昨今の「パッケージ化された旅行」に対する小言みたいなものも散見される。「もっと、ゆっくり、味わいながら、無名の景色を眺めましょうよ」みたいな。
 柳田國男は本当に旅行が好きだったようだ。
 仕事で、スイスのジュネーブに暮らしたこともあったみたいだが、そこでも暇を見つけては、色々なところに行っている。机にかじりついているだけの学者じゃなかった。
 
 印象に残ったのは、「菅江真澄(白井秀雄)」を高く評価している文章だ。
 菅江真澄は江戸時代後期の旅行家、博物学者で、今の愛知県に生まれたが、30歳前後から亡くなるまで、東北地方、北海道を旅したひとだ。
 菅江真澄が残した記録は膨大で、東北地方の習俗が絵と文章で著されている。「なまはげ」とか、現代にまで残る習俗が江戸時代に記録されているのを発見した人は、かなり興奮したのではないだろうか。

 柳田國男は、菅江真澄を偉大な先輩として尊敬していた。定住するのではなく、あの江戸時代に藩をまたがって移動していた菅江真澄に、自分を重ね合わせていたのかもしれない。

 俺も就職してから、近所の祠や道祖神を写真に撮って回った事がある。一日中歩き回った。
 その時の自分も、なんとなく二人の先輩の姿に重なった。スケールは違いすぎるけど。

この記事が参加している募集

学問への愛を語ろう

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?