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漫画の卑弥呼が納得の設定でめちゃくちゃ面白かった件

数ヶ月に1度の漫画喫茶通いで、
これ読んだらめっちゃ面白かったので
忘れないうちに書いておきたい。


卑弥呼の存在って、
日本の歴史ロマンが凝縮されてるよね。


この漫画を読んでまず思い出したのは、
塩野七生の短編『サロメの乳母の話』。

元はオスカー・ワイルドの戯曲で、
主人公サロメは聖人ヨハネへの恋に狂って、
自分の父である王に舞の褒美として
ヨハネの首を所望するというおっかない話。

それを塩野七生は全く違う解釈で、
サロメによる高度な外交上の判断だったとした。

痛快で面白いので、今でもたまに読み返す。



卑弥呼の話に戻ろう。

この漫画の何が面白かったって、
卑弥呼を魏志倭人伝通りの
『鬼道を用いて国を治めた女王』ではなく、
『政治的手腕と権謀術数に長けた女王』
として描いた点。

この作品では、あの伝説の女王が、
生死をかけてギラギラとサバイバルしている。

なんだこれ!?と思いながら、
キャラクター含めた設定に説得力があるので、
ぐいぐい読み進められた。

面白かったポイントは3つ。

順番に上げていこう。


①畿内説と九州説


個人的に私は邪馬台国は九州説派なので、
九州説を採ったこの本の設定は
わりとすんなり受け入れられた。
距離と方角の問題も、しっかり説明されてたし。

ちなみに私がなぜ九州説派かと言うと、
理由はこのふたつ。

  • 当時の文明国である中国に地理的により近い。

  • 漢委奴国王の金印が出土していたのが九州で、
    同じようなものが地理的に離れた畿内で
    必要とされたとは考えにくい。

卑弥呼は中国の皇帝から金印をもらって
連合国の宗主としてのお墨付きを得てるけど、
そもそもそういう習慣がある土地じゃなきゃ、
効力なんてないと思うんだよね。

しかも、畿内説に対しても納得のフォローが。

卑弥呼=百襲姫命説があるんだけど、
その説をめちゃくちゃうまく使ってきた。
うわー!そうきたか!と感動したわ。


②卑弥呼のキャラクター設定


いくら卑弥呼がシャーマニズム的な能力に
長けていたとしても、
さすがにあんな戦国時代みたいな状況で、
国を治めて戦争までなくせたとは思えない。
女王としても認められなかった気がする。

どの国どの時代を見ても、
『平時の君主』と「乱世の君主』では、
求められる資質が違うからね。

ここがこの漫画のキモで、
私が『サロメの乳母の話』を思い出したのも
卑弥呼のキャラクター設定。

元々あった『鬼道を用いて』を否定せず、
かつ政治的な手腕を持ったキャラクターとして
描くには、これ以上の設定はないと思った。



③神話の成り立ちについて


神話も歴史も、所詮は「勝者が作るもの」。

後の大和朝廷に
どのように各地の豪族たちが恭順を強いられ、
ひとつの国としてまとめられて
元々あった国が忘れ去られていったか、
そのプロセスが盛り込まれていた。

オタクには一番の興奮ポイントよー。

実際、日本の神社の一部にもその名残がある。

いや、そうなのよー。
大和朝廷、そこらへん支配者としては、強引!笑

ヨーロッパでのキリスト教の布教にも、
同じような方法が使われてるし、
どこの国でもみんな考えることは同じなのね。




ということで、また楽しみが増えてしまった。

この作品まだ完結してないので、
まだまだ続きが読める!

わーい!

というところで今日は寝ます。

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