【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 17

天井の木目の数は21個で、壁の木目が56個、そして、床の木目が………………

間人大王は、何処にどんな木目が、どれほどあるのかを全部覚えてしまった。

それだけでは飽き足らず、その木目に名前まで付けてしまった。

―― あれは、お母様の目に似ているから宝皇

あれは、お父様に似ているから田村皇子

あれは大海人皇子で、

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かたじけないm(_ _)m
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奈良時代の仁多郡役所

奈良時代に編纂された出雲風土記によると、当時の仁多郡(現在の奥出雲町)の長官である大領は蝮部臣が務めていたと記載されています。当時の仁多郡の郡役所は、現在の郡(こおり)地区にあったと考えられています。今は特に町の中心というわけでもなく、かつてここに郡の中心があったとは、一見して想像しにくいのですが、この周囲には、郡役所と関連すると考えられている様々な遺跡や地名が存在しています。

まず、「郡(こお

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古代豪族尾張氏、登場の背景

濃尾地方は、古墳文化の成立に深く関与し、またヤマト政権ないし畿内勢力の東方経略の前進基地というべき位置を占める。これまで筆者は名古屋市内の古墳の発掘調査を担当し、また美濃・尾張各地で古墳時代に関する数多くの調査研究にたずさわってきた。なかでも、守山区上志段味に展開する志段味古墳群の調査と整備事業は、筆者が着手の先鞭をつけたプロジェクトで、近年の濃尾地方にはない大きな成果と展開を得た。
 上志段味の

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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 16

中臣鎌子の屋敷に着いた時には、安麻呂は肩で息をしていた。

これを見た馬来田は、

「普段、運動しないからこうなるのだ。歌ばっかり詠んでないで、たまには武人らしく、素振りの百や二百をやって見ろ! 少しは体力がつくぞ」

 と、甥の体力不足を諫めた。

安麻呂は、これに反論したいのだが、息が上がってなかなか話すことができない。

それを見て馬来田は、「情けない」と言いながら、

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ありがとうございますm(_ _)m
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 15

大伴安麻呂は、彼の叔父である大伴馬来田連(おおとものまくたのむらじ)が乗る馬を引いていた。

 流石に2月にもなると陽気も良く、散歩にはもってこいであった。

「こう天気が良いと、気分が良いですね、叔父上」

「うむ、屋敷に籠もりっきりだと、体も鈍るからな」

 大伴家は、宮中では閑職に追いやられていた。

 群臣会議の中に一応席はあるのだが、末席のため、この一族に発言権はない。

 そのため最近

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ありがとうございますm(_ _)m
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 14

大殿を出る時に、鎌子は金を呼び止めた。

「金、ありがとう、もう少しで衝突するところだった」

 鎌子は、金に礼を言った。

「いえ、とんでもない。内臣殿の力になれて何よりです」

 金は微笑んだ。

「如何もいかんな。どうしても中大兄と意見が衝突してしまう」

「お二人とも頑固ですからね。国を思う気持ちは同じなのですが」

「国を思う気持ちか……、そうだな」

「まあ、あまり宮内が揉めるのは如何

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あなたのスキで、ご飯3杯食べられます!
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 13

唐からの表函には、飛鳥の群臣が危惧したような、戦の文字は含まれてはいなかった。

むしろ、関係を修復する趣旨の書状であった。

ただし、今回の使者は劉仁願の私的なもので、正式な唐からの使者は翌年に派遣されるとのことであった。

倭国としては、唐のこの申し出は願ったり叶ったりであった。

飛鳥の群臣は、すぐさまこの話に飛びついた、と言ったらことは簡単なのだが、やはりこ

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お後が宜しいようで!
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アンティークコインの集め方 第17回 〜ニュースタイルアテナ〜

アテナイが発行したアテナとフクロウを刻む4ドラクマ銀貨は、アンティークコイン収集家の中で最も人気の高いコインのひとつである。ギリシア関連のあらゆる書籍、学校の教科書でも紹介される古代ギリシアを代表するコインだ。だが、一般的に紹介されるアテナイのコインは前5世紀の繁栄期に発行されたタイプで、本当は少しずつデザインを変容させながら前1世紀まで発行されている。今回紹介するコインは、アテナイがローマに造幣

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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 12

これより先の4月、対馬の沖に唐の船団が出現した。

知らせを聞いた飛鳥の群臣は、すわ戦かと慌てふためき、西国各国に沿岸防備を固める趣旨の命令を出すとともに、采女通信(うねめのみちのぶ)と僧侶智辧(ちべん)らを対馬に送って、その対応に当たらせた。

彼らは、百済鎮将劉仁願(りゅうじんがん)の使者 ―― 朝散大夫郭務悰(ちょうさんたいふかくむそう)を代表とする一団で、表函と献物を進上す

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あなたのスキとネコがいれば1日幸せですm(_ _)m
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空を行くもの

荒涼とした土地。乾燥して寒く、足元は石ころだらけ。彼方の山々には万年雪。あまりにも長い距離を進んで来たため、みな疲れて無口だ。

「あの山は、世界の果てだそうですが」誰かがぼつりと言った。

「そうか。その向こうには、何があると思う?」馬上の男が嬉しげに問う。

「……何もないと思います」男はぶっきらぼうに答えた。「何も」

「そうではあるまい。あの彼方にも鳥獣は棲み、人が暮らしている。そのように

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