順調な仕事、不調な仕事
郷に入っても郷に従うな。
*
僕が勤める広告デザイン会社には、
僕と同じ職種の人が1人もいない。
(同職種の人は漏れなく辞めた)
なので会社に依頼が来た時は、
必然的に全仕事を僕が受けることになる。
ウチの会社は大きく分けて、
2チーム存在する。
女性チームと男性チーム。
女性チームは割と和やかで、
言いたいことを言っても、
否定されず受け入れてくれる。
より良い広告が作れている実感がある。
女性チームはデザインも上手いし、
企業から全幅の信頼を獲得している。
「仕事が早いし助かります」
「丁寧でありがたい」
「綺麗に構成してくれる」
ありがたい言葉の数々。
仕事が楽しいと思える瞬間だ。
だけど、男性チームは真逆の反応だ。
同じ人間の評価とは到底思えない。
*
今は新規プロジェクトを4つ同時に進めている。
女性チーム2つ、男性チーム2つ。
女性チームは速やかだ。
僕が大筋のクリエイティブを進め、
それに沿ってデザイナーさんが
キレイに体裁を整えてくれる。
大きな仕事であっても、
2週間もあればカタチになる。
一方の男性チームは初っ端から苦戦する。
僕が大筋のクリエイティブを提示しても、
首を縦には振らず中々決まらない。
何度も何週間も試行錯誤を経て、
社内で大筋を決定し先方へ回す。
そして評価はズタボロだ。
「仕事が遅い」
「考えてますか?」
「ダサい」
結局最初に僕が考えたクリエイティブで、
先方から合意をもらう。
一体何の時間だったのだろうか。
このチーム2つに共通しているが、
僕は最も歳が若くキャリアも浅い。
男女間で差異を出したくないが、
どこか男性チームはプライドを
優先しているように感じられる。
「メガッパに指示されたくない」
「自分の考えが正しい」
「自分の考え以外は悪だ」
そして、僕も従っている。
僕も僕で自分を殺している。
これはこれで僕の責任だ。
*
仕事って結局は人間関係だと思う。
僕がキチンと言えていたら、
お粗末な結果にはなっていない。
言える人には言うくせに、
言えない人には言わない。
スネ夫のような大人が僕だ。
「郷に入っては郷に従え」
これはよくない習わしなのかもしれない。
より良い人間関係を、
より良い仕事をするために、
ワガママな自分をさらけ出す。
人に迷惑を掛けない程度に。
それが今年度の目標。
*
春になり、踏ん切りがついた。
転換期。
今のままじゃダメで、
かと言って変わり過ぎてもダメ。
マイナーチェンジ。
驕らず、怠けず、慢心せず。
謙虚でありながら自我も出す。
ハナタレ小僧の僕にとって、
一見矛盾しているような高嶺の目標。
「目標なんて持たない方が良い」
そういつも思っているはずなのに、
春の陽気が考えを鈍らせているのだろうか。
花粉症の僕は鼻をかみながら、
より良い未来について考える。
メガッパ
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