見出し画像

おしらせをしますわたしが賛美歌です

シリーズ・現代川柳と短文NEO 009

 バイト先のコンビニで流れていたあの歌も、幼いころ祖母が枕元で歌ってくれたあの歌も、もとを正せば賛美歌だった。その祖母の墓を掃除しているときどこからか聞こえてきたあの歌も、墓のまわりをうろついていた発情期の野良猫の鳴き声も、真冬の墓参りの帰り道でひとり踏んだ霜柱の音も、いま思うとすべては賛美歌だった。中南米には祖母じたいがすでに賛美歌だったという説すらある。

【本日の現代川柳】
おしらせをしますわたしが賛美歌です
/今田健太郎

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?