ほんとうのことが言えないかき氷
シリーズ・現代川柳と短文NEO/027
かき氷のシロップはじつはどれも同じ味、という話は聞き飽きた。異なるのは着色料と香料であり、つまりわれわれは色と匂いで「べつの味」と錯覚させられているのである、という解説込みで聞き飽きた。ああ、おれはもうこの脳が浮かんでいる水槽の中のことはたいてい知り尽くしてしまった。むろんそれがいちばんの錯覚だ。ということも聞き飽きてしまった。
【本日の現代川柳】
ほんとうのことが言えないかき氷
/今田健太郎
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