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円が紙クズになる日【日銀の破綻】

日本政府の借金が増え続けているというのはニュースでよく耳にする話だ。国債と地方債の発行残高はついに今年1,200兆円まで増えた。

日本政府の歳入、歳出については以前の記事で取り上げたがすぐさま崩壊するということはないだろうという結論に終わった。

一方で、最近賑やかなのは日銀の話である。
米シリコンバレー銀行(SVB)が破綻したことを受けて持ち上がった話だが、一銀行と中央銀行では話が違うのではないかと思われるがそうでもないらしいのである。

SVBの破綻の原因はアメリカ中央銀行(FRB)がインフレ退治のために政策金利を上げ続けたことにある。利上げによって債券価格が暴落し、経営を心配した預金者が一斉に資金を引き揚げたからだ。
ただし、歴史的に類を見ないほど金利が高くなったわけではない。つまり、SVBはそれだけ攻めた経営をしていたわけだ。

中央銀行は一般の銀行と同じように収入や支出があり、黒字や赤字が発生している。また、保有している資産もある。日銀はアベノミクスによる量的緩和によって大量の国債を発行し続けたため、現在の保有資産は600兆円にも及ぶ。2011年には100兆円程度だったので6倍に膨らんでいる。

さて、ここ1年で世界はインフレ対策のために中央銀行が金利を上げて対策し始めたが日本は0.25%の長期低金利を維持したままだ。

何故か?量的緩和によって膨れ上がった日銀のバランスシートが脆弱になってしまい、対応できない状態に陥っているからだ。例えば金利が2%まで上昇してしまうと日銀は29兆円の評価損になるという(2%というのは決してあり得ない領域ではない。アメリカの金利は現在5%を超えているし、過去の日本もそう設定されていた時代はある)。

対して日銀の収入は1兆円程度であるから、収入に対しての資産が大きすぎることになる。もしも世界から日銀に負債を返済する能力がないと判断されれば信用を失い日本国債は紙クズとなる。

だから日銀は必死になって長期金利の上昇を抑えつけるのである。
日本は2022年10月に前年比3.7%のインフレを記録した。これは量的緩和の成功を意味するものではなく世界情勢の悪化による悪性のインフレが原因である。

本来、中央銀行は政府から独立した機関のはずである。
それが何故、政府に言われるがままに現金を刷り続けたのか?
FRBも過去に取り組んだように日銀もいずれはバランスシートを縮小しなくてはならなくなる時が来る。アベノミクスは成功しなかったどころか多額の負債を残していった。結局のところ、ツケを払うのは偉い人達ではなく私達一般人になるだろう。

終わりに、日銀が中央銀行の独立性について説明した文章を載せておく。

各国の歴史をみると、中央銀行には緩和的な金融政策運営を求める圧力がかかりやすいことが示されています。物価の安定が確保されなければ、経済全体が機能不全に陥ることにも繋がりかねません。

こうした事態を避けるためには、金融政策運営を、政府から独立した中央銀行の中立的・専門的な判断に任せるのが適当であるとの考え方が、グローバルにみても支配的になっています。

日本銀行法において、金融政策の独立性確保が図られているのは、こうした考えによるものです。

日本銀行


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