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スタートアップ人事が2020年読んで面白かった本10冊まとめ_人事関連以外

あけましておめでとうございます。AIベンチャー人事です。2020年に読んでよかった本をまとめていきます。昨日は人事関連の本をまとめましたが、今日は人事関係ない本を中心にまとめていきたいと思います。

前置きが長くなるのが悪い癖ですが、この「読んだ本から好きな本を10冊まとめながら一年を振り返る」という行為をかれこれ7年くらい続けております。年末年始のたまらなく楽しい時間です。

書いてて気がつきましたが、単純に、「好きなものを並べる」という行為自体が好きなんだと思います。中学生の頃は誰に頼まれるでもなく、特定のアーティストのアルバムをかたっぱしから全部聞いて、その中からベストの曲を選んで曲順も考え、CDに焼いて配っていたのを思い出します。

今でもyoutubeで「現役プロ野球の選手が選ぶ夢のドラフト」とかを見るとワクワクしちゃいます。とにかく選抜して並べるという行為が本能的にしてしまう習性があるんだと思います。これが偏愛ってやつだと思います。

7年もやってると、自分が興味を持つ本がどのように変遷していってるのかの記録がまとまってきます。数年経ってから見返すと、これもまた楽しい。アルバムを見返すような感覚になるんですよね。

年末年始ってこういう誰からも頼まれてない、誰のためでもない無駄な時間を過ごせるのが至高ですよね。

緊急事態宣言もでそうなことですし、ステイホームしながら、自分の”偏愛”の対象を(映画でも、漫画でも、ワインでも、レストランでもなんでもいいですけど)10個を選んで記録するということをしてみてはいかがでしょうか。お勧めします。誰かの偏愛、ぜひ聞いてみたいです。

初めに断っておきますが、めっちゃ長いです。15000字くらい書いてしまったので、目次から気になったところだけ読んでください。

#1 なんで僕に聞くんだろう。

ガンになった写真家である著者に寄せられた人生相談に淡々と答えていく一冊。恋の相談、家族の相談、病気の相談、相談内容は様々。中にはかなり重ための人生相談もある。著者は結構バシバシ切ってくんですけど、ほんと秀逸なんです。最後は絶対に温かく締めるのも最高。

毎回「仮に自分がこの相談されたら、どう答えよう」と思いながら読むんですが、まぁ難しい。DVだったり、家族を殺されてしまった被害者の方だったり、内容的にヘビーなものもあり、自分の人生経験では簡単に答えられない悩みも多い。

人それぞれに悩みがあり、その悩みをどの角度から考えるかによって幸せの感じ方は変わる。問題に対しての光の当て方が素晴らしすぎて、いつか自分もこんな人間になりたいなぁと思わされる一冊でした。

”言葉で背中を押すことができるなら、僕は背中を押す人でありたい”
という「終わりに」のパートで語られている部分が、作者のスタンスを示していて、非常にしっくりきたので、載せておきます。

悩む人は悩みに具体的な答えがほしいのではなく、不安を理解し自分の答えを肯定してほしいのだ。

だから悩み相談でいちばん大切なことは、相手の答えを探ることだ。 
答えは悩む言葉のなかに隠れている。悩み相談は相手を分析する作業だ。
男性がやりがちな「問題解決」だけでも、女性がやりがちな「共感」だけでも足りないのだ。この二つがうまくミックスされたものが悩み相談に必要だとおもってる。
相手の答えを見つけて、背中を押してあげるだけでいいのだ。
「あなたはどうしたいの?」このひとことからはじめればいい。”

なんか最後はリクルートで聞いたことあるような締めかたになってしまってますが、非常に納得しました。

数年前のマイベスト10に楠木健の「好きなようにしてください」が入っていたことを思い出しましたが、こういう問答系好きなんでしょうね。

#2 ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか 

「女性は男性に比べて数字に弱い」「白人は黒人に比べて身体能力が低い」といったステレオタイプの影響について社会心理学的に書かれた本。

ステレオタイプが、「差別」と「偏見」と混同されやすい。ステレオタイプは、あるカテゴリーの人にどういった「イメージ」があるかという認識面(認知という)に焦点をあてた概念で、社会心理学のなかでも「社会的認知」と呼ばれる研究領域で扱われる。これに対して偏見は、ネガティブな他者へのイメージに対する拒否的、嫌悪的、敵意的感情であり、この感情に基づいた行動が差別である。簡単に言えば、ステレオタイプは認知、偏見は感情、差別は行動ということになる。

採用人事として、バックグラウンドをベースに統計的に判断することってどうしてもあるんですが、この「認知」の歪みにどう対処するか?というのは非常に興味深いテーマでした。

すごい卑近な話をすると、B型は自己中なのか問題、みなさんどう思いますか?

「生物学的に血液型と性格に相関性は認められない」という主張をする人がたまにいますが、社会心理学的には、「B型は自己中」と34年間言い続けられて”スティグマ”を背負わされ続けたB型は、「自分は自己中心的なんじゃないか」と勘違いし、自己中に振る舞ってしまうことがないとは言い切れない、という話です。

ちなみに僕はすごく自己中心的な人間だと思いますが、それは血液型は関係ないと思います。日本社会が作り出したスティグマのせいです、この場を借りてお詫びします。

話はそれますが、本書はステレオタイプを認識した上で、どう乗り越えていくか、などにも話が及びます。

多様性のある組織や国家において、誤解や軋轢を産んでしまう態度や発言って、「意図や悪意を持ってする」か「悪意がないけど知識や想像力がない」のどちらかしか存在せず、ほとんどの人が後者なんじゃないかと思います。

そこを知識を補うことによってそういう誤解をなくせるんじゃないかと思いますし、全身全霊でアプローチしてるこの著者たちの姿勢は本当に素晴らしいなぁと尊敬します。

#3 新たなAI大国 その中心に「人」はいるのか? 

倫理×AIというテーマでは様々な観点から網羅的に語られており、各国のAI事情と活用事例をキャッチアップしたくて手に取りました。

国家のAIの国家戦略、開発の方向性を形作るものは下記の3つであると言われています。

- 1.その国の、保有しているDataの質
- 2.その国の、人口統計的、政治、経済のニーズ
- 3.その国の、文化的規範と価値観

現在、世界のAI業界をリードしているのは、アメリカと中国ですが、今後もその2つの国がリードしていく構造は間違いなさそう。EU、ロシアは今後も一歩遅れていくことが予想されます。

特に中国はテクノロジーに対しての国民の寛容度が高く(自動運転に対しての一般の許容度が、アメリカ52%に対して、中国90%)、データもの量も多いため、今後リードしていく可能性が高いとされています。

一方で国を超えたクロスボーダーな開発も進展も進んでいくでしょう。クロスボーダーな開発とは例えば、アメリカの一流人材×中国人の政府支援の恩恵を受けて、膨大なデータ提供が提供される自動運転の領域などがいい例。

日本に閉じた状態でのAIの進展のスピードはかなり遅れていると言わざるを得ず、日本に閉じた開発をしていると取り残される危険性が高いです。

ではそんな中で、日本のポジショニングはどうか?

他国と比較した際に、宗教的、文化的背景からユニークなポジションに位置しているということが興味深かったです。日本は古来からあらゆるものに神が宿るという考え方が浸透していたり、現代のポップカルチャー(アトムやドラえもんなど)の影響で、「人間以外の生命が意思を持つこと」に対して文化的に寛容と分析されています。そのため、”ヒューマノイド”の領域が発達しやすく、AIBOのような非人間的なサービスが受け入れやすい土壌があり、AIやロボットの存在を恐れない風土があるのでその分野で注目を受けているとのことでした。

イスラエルや、先進国以外のAIの活用事例になどについても紹介されています。

ナイジェリアのスタートアップ、Touchabl は、写真をアップロードすれば、ネットから似たような画像を見つけてきて、どこで手に入るかを教えてくれるサービスです。メルカリの画像診断に近いものですかね。

インドネシアのCekMataは、ユーザーがスマホでアップロードした写真を通して白内障のような病気の診断ができるサービスを提供。

インドのSigtupleは、病理学検査をデジタル化して分析し、デング熱(インド行ったとき本当に怖かった)の診断、治療法を早めることができる。

バルバドスでは、心理学に基づく質問で性格特性から糖尿病の患者の思考回路や解決策を提示する、などなど。

印象としてはどの国も似たようなアプローチを取っているかなと。どれくらい医療データを集めることができるか、エビデンスをつくることができるのか、によってサービスの浸透度が変わってきそうですね。

このように世界のAI事情を概観すると改めてAIが自分たちの生活を変えていくのは不可逆だなぁと。

「仕事を選ぶ」「ライフスタイルを選ぶ」などに働き方が自由に選択できる世の中になっていくなかで、その恩恵を受けるのは、「若者」と「教養のある人」で、それによって社会の格差は今後も広がっていくのが予想されます。自分はなにを知っていて、なにを知らないのか、どちらに行きたいのか?を考え、行動することの重要性が増す時代になると感じました。

世界のAIマーケットの未来がどのように進んでいくかを予測するために、幅広い情報収集をしたい人。AI事例が様々な形で紹介されており、AIを使ったサービスの着想を得たい人におすすめの一冊です。

直接的には関係ないですが、業界理解系のノンフィクションでは今年は、「ネット興亡記 敗れざる者たち」が圧倒的に面白かったですねー。web業界やスタートアップに興味のある方にはお勧めします。

#4 NOを言える人になる 他人のルールに縛られず、自分のルールで生きる方法 

僕の中の「NOルールズ」はこっちが先でした。心療内科の医者によって書かれた「生きづらい苦しみ」にどう対処していくか、という本。

著者は幸せな状態をこう定義します。

「幸せな状態」とは、「自分が 紡いだ自分の物語に、自ら疑念や欺瞞を抱くことなく、心から納得し、その物語に全力でコミットできていること」

その上で、人間関係を作っていく上で心がけるべきこととして下記を上げています。

「自分と他人の間の境界線をきちんと意識し、守る」こと だ。 世界は、「自分が責任をもって守るべき領域」「他人が責任をもって守るべき領域」の二つに、大きく分けることができる

他人からのラインオーバーも、自分のラインオーバーにも敏感になってみることが重要だと主張します。5年くらい前に話題になった「嫌われる勇気」も合わせて読むと、大体の人間関係の悩み解決するんじゃないでしょうか。

セルフコンパッションや、自己肯定感を保つための考え方、職場での人間観関係、自分の時間やエネルギーの配分の仕方、本当に信頼できる人との関係性の作り方、など概念だけではなく実践できることも数多く書かれており、読みながら100回くらい「わかるーーー!」と連呼しました。

周りを気にしすぎて人間関係に疲れてしまう人、「自分の子をたくましい子どもにどう育てるか?」など教育に興味のある人にはぜひ読んでいただきたい一冊でした。僕はどちらにもあてはまらないですが、そんな僕ですら劇刺さりしたので、きっと刺さると思います。

「自分で考えて、自分で決めろ」というメッセージ繋がりでいうと、「2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義」もよかったですね。言葉に知恵と力と愛にあふれており、勇気がもらえます。こういう教育者って本当に素敵ですよね。

#5 フルライフ 今日の仕事と10年先の目標と100年の人生をつなぐ時間戦略 


なぜか、リンクがうまく貼れない。

2020年はWell Beingというワードがかなり注目を浴びた一年だったのではないでしょうか。飛行機の中でワークシフトに度肝を抜かれたのが確か2013年くらい、ライフシフトに度肝を抜かれたのが、5年くらい前、未来は確実に近づいてきてますね。これからの幸せについて、書かれており非常に考えせられる一冊です。リンク貼れないからなんかちゃんと書く気失せてしまいました。笑

キャリア系で行くと、スタンフォード式 人生デザイン講座 これも非常に印象に残った一冊です。

キャリア×デザインシンキングの話で、自分のキャリアをプロダクトデザインに例えながら、プロトタイプを作りながら、進んでいこう、という本です。考える上での思考実験がたくさん載っています。

人生はプロセスだと理解する(認識)
  
人生は波瀾万丈。一歩進んで二歩下がるのくり返しだ。まちがいは犯すし、せっかくつくったプロトタイプはムダになる。プロセスの大事な点は、最初に思いついたアイデアや次善の解決策を「断ち切る」勇気をもつことだ。
そして、その混沌のなかからすばらしいデザインが生まれることもある。テフロンや瞬間接着剤はそうして生まれた。デザイナーがどこかで失敗していなければ、こうした商品はいまごろこの世に存在しないだろう。
デザイナーの考え方を身につけるということは、デザインがプロセスだと「認識」すること。ライフデザインは旅だ。目的地のことなんて忘れて、旅のプロセスに集中し、「次」だけに目を向けよう。

個人的には、「自分の人生を3通り思い浮かべて3パターンの冒険プランを練る」というワークショップが非常に面白かったので紹介しておきます。

人生1.現状の延長線上
人生2.人生1が突然ダメになってしまった場合のプラン
人生3.お金や世間体を無視するとした場合の仕事や人生

この3パターンの人生を

1.図やグラフを使って5年間の時系列表を作る
2.その人生の本質を表すような短いタイトルをつける
3.その人生について思い浮かぶ疑問をふたつか三つ書き出す
4.ダッシュボードにゲージを書き込み、「資源」、「興奮度」、「自信」、「一貫性」の観点で評価する

自分はこれを通じて、「本当に何がしたいのか?」により深く向き合えた気がします。一年の始まりにはいい一冊だと思います。

▼こんな感じ

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#6 VCの教科書―VCとうまく付き合いたい起業家たちへ

この本もとんでもない情報量ですね。ファイナンス系って流し読みしてるだけでは頭に入ってこないので、苦手意識があるのですが、苦手意識のある領域を苦手のままにするのは自分の可能性を狭めてしまうので、無理して読みました。

VCと起業家の関係性、情報の非対称性を埋めるべくして書かれた本です。相手のインサイトを知るというのは、交渉での基本ですし、ベンチャーの経営に関わる人は必読ではないでしょうか。

 VC 企業の成功を測るうえで、打率はふさわしい指標ではない、ということだ。それどころかデータによれば、高い打率をたたき出す企業は、低い打率の企業よりも業績を挙げていないことが多い──いったいどうしてだろう?  VC 企業の成功にとって最も重要なのは、「本塁打率」だからだ。野球の本塁打率とは、選手が打席に立った回数をホームランの数で割った割合のことだ。これに関しては、 10・61 という通算記録を打ち立てたマーク・マグワイアが、歴代トップの座にある。大雑把に言うと、マグワイアは 10 回打席に立つごとにホームランを 1 本打ったということだ。
VC の世界でわたしたちが本当に気にかけるのは、本塁打率なのだ。つまり、投資の 10 倍以上のリターンを VC が得る頻度のことだ。わたしたちはこれをホームランと見なしている。

VCが何を見ているか?というのも非常に参考になります。

VC がチームについて探るべき大きな 3 つ目の領域は、創業者のリーダーシップ能力である。 VC がとくに見定めようとするのは、その創業者が企業のミッションについて、優秀なエンジニアや幹部、販売やマーケティングなどの人材を引きつけられるような、説得力のあるストーリーを生み出す能力があるかどうか
マークとベンはこうした創業者のリーダーシップ力を「病的に強い自負心」と表現していた。彼らの理論は(こんな言葉を選択しているけれども)、つまりこういうことだ。創業者になる(すなわち失敗する危険が高い仕事をする)と決断するためには、自分には成功する力があると強い自信を持つ必要があるので、病的に強い自負心を抱くくらいに自己中心的になる

この話を読むと、VCの領域って、事業云々よりもヒトの要素が強いはずなので、自分の得意領域(人事・人の見極め)と関連性が強いはず。その一方でVC×HRで突き抜けてる人って自分の周りではあまり聞かない(単純に界隈に明るくないので、無知なだけだとも思います。この人!という方がいたらぜひ教えてください)。

その原因は、人事側からファイナンス側に越境していく人があまりいないからなのではないかと思っており、ホワイトスペースなのかなぁなんて思いながら勉強してます。

興味のままに本を読んでいくと、組織とか、心理学とか、キャリアとか、生き方とか、スポーツとか、フィジカルとか、どうしても何ていうかフワッとした感じの人になってしまうなという危機感があり、こういった本を定期的に読むようにしています。

数字に弱くて子供の頃から兄に馬鹿にされてたことを今思い出しました。物理とか数学とか化学についてもっと語れるマンになりたかったけど、人間は配られたカードで勝負するしかないってスヌーピーも言ってましたもんね。辛い。

#7 ジダン監督のリーダー論~チャンピオンズリーグ3連覇の軌跡~ 

サッカー系の書籍も大体目を通すのですが、今年は圧倒的にこれですね。

サッカー史上、選手と監督の両方でここまで圧倒的な成果を出したのはおそらくヨハン・クライフとジダンだけだ。選手時代のジダンについては日本でも十二分に語り尽くされているが、ジダン「監督」のリーダー論は本書が初

スター軍団でも結果が出ないって往々にしてあると思うのですが、ジダンのようにスター軍団で結果出してるポイントはなんだろう?と思って手に取りました。

CLで3連覇、これってやっぱりすごいことです。一回勝つリーダーはたくさんいても、「勝ち続ける」ことって簡単じゃない。寡黙だけど実直で圧倒的な結果で周りを黙らせるジダン、かっこいいです。

しかも、レアル・マドリードってのがすごいですよね。クライフはバルセロナの哲学を一緒に作っていった印象ですが、ジダンはレアル・マドリードという、哲学が出来上がっている中で結果を出した、プロ経営者って感じだと思います。

サッカー監督のリーダーシップのスタイルにもいろいろスタイルがあります。戦略を前面に押し出すグラディオラ、クライフなどやモチベーションを高め闘争心を持たせるのがうまいシネオネ、エネイブル型のアンチェロッティ、鉄の軍曹モウリーニョ。

ジダンは多民族国家フランスのキャプテンだったこともあり、個性を生かすのが抜群にうまい。

サッカーだけじゃなくて、リーダーシップや経営学、心理学について記述も多く、サッカー興味ない人でも一定楽しめるのではないでしょうか。
「なぜ、最高の才能を備える個人がそろう集団は、チームとして機能しないのか?」この辺りは人事としては非常に興味があるテーマですが、非常に示唆に飛んでいます。その理由に対する幾多の専門家の見解は次のようにまとめられています。 

①無駄な会議ばかりに時間が費やされ、実行のための時間が少なすぎる。
②決断を下すことが困難である(これを「グループ・シンク」と言い、歴史的にも事例は枚挙にいとまがない)。
③共感の欠如、つまり勝てば自分の功績であり、周囲の尽力や協力に思いを致すことがない。
④期待通りの結果を手にできなさそうになると、軋轢を避けて妥協した答えを求めるようになり(これが有害である)、そのうえで少しはマシな結果を得ようとする。

スタートアップの初期ってとにかくタレント集団であることが多いと思うのですが、その集めたタレントをどう機能させるか?は非常に重要なテーマだと思います。

カギになるのは「個々の才能の間にある距離感」だという。スーパースターの地位がほかのメンバーと比べて高すぎる場合、チームとしての成果は往々にして低くなるのだという。ゆえに、最高の成果を出すチームとは、さまざまな才能が集結し(スターである必要は全然ない)、才能の格差が小さい一団である。バランスがうまく取れているチームでは、議論も民主的で有意義なものとなりやすい。
勝つチームに備わっているのは指導者の力であり、同じく主将の尽力であり、チーム全体のバランスなのだ。

さらに興味深かった面白かったのが、ミレニアム世代を率いるための7つの要素。この辺りはまるっとスタートアップの経営にもいかせるのではないでしょうか。ビジネス界に比べてピークが早く来るスポーツ界は一歩早くミレニアル世代が主役になることが多く、その辺りの研究としても面白かったです。

①リーダーシップを発揮するうえで明確な目標を打ち立てる
②客観性のある診断をしたうえで科学的にチームの発展のために必要な強みを把握する
③マネジメント能力開発プログラムを活用する
④メンタリングとコーチングのプログラムを導入する
⑤今後のプロ生活について話し合うことができる文化や雰囲気を作り上げる
⑥中長期続けられる関係を作り上げたうえで、チームへの定着率が高まるような投資をする
⑦多様な世代に対応できるよう、代替案となる雇用形態の道も開いておく

自分のチームに、クリロナとかベンゼマとか、ベイルとかいたらどうしようと思いますよね。絶対言うこと聞いてくれないし、絶対ヤカラだし。

「王者の思考」や、監督の成功にとって必要不可欠な「主将の研究」などこんな研究してたんかい!という研究出会うことができ、非常に満足度が高い一冊でした。ちなみに主将の要素、COOとかに求められる要素に非常に近いなぁと思いましたので載せておきます。

①試合中の並はずれた粘り強さと集中力
②ルールの限界に挑む攻撃的なプレー
③裏方の報われない仕事に進んで取り組む姿勢
④控えめで実践的かつ民主的なコミュニケーション方法
⑤言葉ではなく熱意を見せて他者を動かす
⑥確固たる信念と孤立する勇気
⑦完璧な感情のコントロール

サッカーの具体的なシーンは読み飛ばしてもいいと思うのですが(自分はめちゃ面白かった。やっぱCLってドラマと夢があって本当に好き。)個性豊かな人材を率いるリーダーに取っては何らかの学びがあると思います。

#8 UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」

昔話をすると、高校時代はサッカー部でしたが、最後の大会ではレギュラーから外れ、受験も就活も第一志望に落ち、社会人になってからは、過程は評価されるけど、突き抜けた結果は出せない、そんな「なんか残念」人材だった自分は、以降自己啓発本マニアとなり、目標達成系の本は腐るほど読んできました。この一冊と「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」で、自分の中ではほ、ぼほぼ結論は出た感覚です。

こういったメソドロジーを覚えてからは、linkedinで2年連続1位を宣言して実際にとる、といった、わかりやすい「結果を出す」ことに苦手意識がなくなりましたが、こういう本のおかげだと思います。

この本で紹介される7つのメソドロジーを駆使すれば、大抵のことは達成できるのではないでしょうか。

-目標を小さく刻む
-ルーチン化する
-夢中になる
-コミュニティを作る
-重要性を認識する
-簡単にする
-ニューロハックする

エピソードの一つとして紹介されているあの有名なロックバンドのリンキンパークがどうメジャーになっていったのか?の事例とか、本当に興味深かったですね。

仕事はもちろん、高校の部活とか、受験勉強とか、就活とか、過去の自分にこのメソドロジーを持ってコンサルティングしてあげたいなと思います。結果は劇的に変わるんじゃないかなと思います。

余談ですが、2020年はDeep Learning G検定を取得し、今年は基本情報検定を取得しようと勉強しているのですが、そこでも、「目標を細かく刻む」「進捗を可視化する」「コミュニティを作る」という技を使っており、なんだかんだいける気がしております。いい加減ダラダラ書いていないで勉強しなくては...

#9 GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス 

読むの疲れてきましたよね。僕も書くの疲れてきました。ただ、すみません。今回の記事は読み手の情報処理能力とか、文字数とか一切気にしないで自分が書きたいことを、ただ書きます。

誰にも読まれない、誰も望んでいない駄文をモリモリとものすごい勢いで垂れ流す。これこそがblogやnoteの真骨頂だと思っている自分はマーケターの道は5年前に諦めました。ご容赦ください。

話を戻すと、2020年はコロナでリモートワークが進み、より一層自己コントロールに意識がむいた年だったのではないでしょうか。

個人的には食事・運動・睡眠の基本だけに気をつけるだけでQOL全然変わるんだなということを実感した一年でした。

書店に並んでいるライフハック系の権化とも言えるのがこの本です。数年前に「脳を鍛えるには運動しかない! 」という頭悪い運動部みたいな笑える邦訳タイトルをつけられてしまった圧倒的な名著の作者が書いた本です。

とにかくもうなんていうか、圧倒的に面白いんで、軽く引用していきます。そうなの!?と思うことがたくさん書かれてます。

人間にとって長らく重要な食料となってきた哺乳類は、どれもきわめて足が速い。進化は彼らの脚力も育てたのだ。しかし、それら──多くはシカやレイヨウといった有蹄動物──はいずれも短距離走者であり、俊足だが持久力はない。キャリアーは考えた。長距離を走る能力が人間とほかの近縁種を分けたのは、人間がその能力を生かして食料を得たからではないだろうか。おそらく人間は獲物を執拗に追いつづけ、ついに疲れて倒れ込んだところを仕留めたからだろう、

え、そうなの!? 長距離走ってしとめてたの?笑

おおむね、遊動狩猟生活、二足歩行、雑食性の三つが、わたしたちの種を定義づける行動様式であり、それらは数百万年に及ぶヒト科の歴史が築き上げた。
すべてのヒト科は、タンパク質と脂肪が豊かな肉を食べることによって、突出した存在となった。ネアンデルタール人は直立歩行し、体型もホモ・サピエンスと比べて遜色なく、脳も大きかった。
では、当時のホモ・サピエンスに比べて何が彼らに欠けていたかと言うと、それは魚を食べる習慣だった。もっとはっきり言えば、どこにでもあったこの栄養源の利用法を知らなかったのだ。
いっぽう、彼らの競合相手であるホモ・サピエンスは、魚の取り方を知っていた。人類が魚を取った最古の痕跡がアフリカで見つかっているが、それはホモ・サピエンスのものだけだ。約四万年前にわたしたちの祖先がヨーロッパとアジアに現れると、海や河川での漁はたちまち広く普及し、両大陸で重要な役割を果たすようになった。
持久狩猟などする必要はない。川岸に座って 銛 で突きさえすれば、上質なタンパク質を大量に得ることができたのだ。最も遠距離を回遊する魚の一つであるサーモンは、その短い一生の間にさまざまな海洋や河川を何千、何万キロと移動する。

というわけで生き残るために、魚を食べましょう。

これまた余談ですが、リモートワークが始まって以来おそらく200回以上はしんぱち食堂の「さば文化ぼし定食」を食べております。日本の人事で一番さばを食べてる自信があります。

初対面の人に「おい、さば!」と呼ばれても何も言えませんし、Twitterで@さば人事とか名乗っちゃるレベルです。タイトルで10冊とか言ってるくせになんだかんだ20冊くらい紹介してるし。話を戻します。

人間を人間たらしめているものの一つに共感力がある。
象徴(言語も含まれる)、芸術、音楽、宗教儀式──それらが語るのは、進化史上、例をみない重要な変化が人間の脳で起きたということだ。
共感 の回路の主要な部分だ(共感は 同情 の一段階として定義される)。わたしたちは他者の感情をただ理解するだけでなく、自分のこととして感じることができるのだ。
他者の視点を意識することは、まさに人間の宝とも呼ぶべき洗練された格調高い嘘を可能にする。その嘘とは、そう、ストーリーテリングだ。それは、抽象的な考え方や概念的な解釈を可能にした。また、未来という概念をもたらし、それが立案や計略への扉を開いた。また、他人の視点を意識することは、その視線を意識することでもあり、その結果、装飾品が登場した。芸術もそのようにして生まれた。芸術は装飾品の延長であると同時に、この世界を象徴的に語るものだ。


音楽も、文学も、全て人間に必要なことだったんですね。続いて、人間の子育てについて

人間の子どもは、ほかの種よりはるかに長い間、総じて「無力」だ。一四歳か一五歳くらいまで自力で生きていくのは難しい。
人間の子どもはあまりにも無力なので、その保護と世話──注意深く保護するだけでなく、教育し、食べさせる──の一切を親だけでこなすのは不可能だ。たとえば狩猟採集民は、テントで赤ん坊に授乳している母親の分もエネルギーを調達しなければならない。逆に言えば、母親一人で赤ん坊を育てることはできず、社会との結びつきが欠かせない。
だからこそ、わたしたちは協力しなければならず、協力し合えるように共感力や言語といったツールが発展した。

共感力を高める飲み会は、生きるために必須だったということですね...

というわけで現代人を苦しめる病気やうつ病の原因とものをリストアップし、そういったものにどう対処するか、ということが書かれてます。書かれていることはかなり極端なので、自分のできることを少しずつできる範囲で実践すればいいと思うが、この一年で自分の体は変化し、QOLは爆上がりしました。

精糖を自分から積極的に食べることは無くなったし(付き合いで食べることは全然ある)、運動した結果体重は一年で10キロ以上やせ、少しだけ、野生の体を取り戻した気がします。

この辺りは、最高の体調にも書かれてますね。最高の体調は2018年のランキング6位に選んでましたね。中田敦彦のyoutube大学で久しぶりに復習しました。ってかyoutube大学面白すぎ。

こういったライフハック系もほぼ中毒的に目を通すのですが、今年は下の3冊で読んだことを実践したことで、自分のライフがハックされた気がします。 シリコンバレー式超ライフハック人生を変えるモーニングメソッド 
人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか? 

#10 ハーバードの人生を変える授業2 

3連続で「人生変える」がタイトルに入ってることに自分でも「どんだけ人生変えたいの」とひいてますが最後の一冊を紹介したいと思います。これ、マジでよかったです。(語彙)一泊二日で登山に行ったときに麓の本屋で買ったんですが、ドッグイヤーが多すぎて、1年間ずっとこれ読んでた気がします。

「ただ生きる or 選択して生きる」に始まり、「感情のままに行動する or 感情を積極的に受け入れる」、「困難な状況に音を上げる or 夢に向かって進む」「あとで喜ぶ or 今喜ぶ」などなど心理学に基づいて、望ましいと思われる行動が選択式で書かれています。

「XXしなさい」と言われると、途端にやる気がなくなりますが、この二つから選んでください、と言われると、自分で選んだ感じがして、無性にやりたくなるんでうすよね。これも行動経済学。

毎朝一日一節みたいな感じで読んでました。主張→名言→学術根拠→応援が、2-4ページくらいにまとまっているので数分で読めます。

今年一番自分に刺さったのは、「感情を選ぶことはできないけど、行動は選ぶことはできる」ということでした。

怒りや悲しみ、怠惰や嫉妬などいろいろな感情と向き合った一年でしたが(きっと皆さんもそうだと思います)、感情が湧いてくること自体をコントロールしようとすると、疲れてしまうので、自分の感情は一旦受け入れて、その後どう行動するか?にフォーカスするようになりました。

ここまで読んでくれてる方ってはっきり言ってだたの変態だと思いますし、たった700円で何も考えずに買ってもらえるといいなと思うくらいよかったです。なんならDMくれたら、自分がプレゼントします。(マジで)

派生してですが、一日一ページ系だと、
アランの幸福論 もお勧めです。この本に何度も救われた一年でした。一番好きな1ページをまるっと引用します。

"すべての道は正しい道である"

誰も選択などせず、ただみんな立ち止まらず歩きつづけている。しかも、すべての道が正しい道である。人生の極意はまず、自分の通ってきた道や、今の仕事内容のことについて自分一人でああでもないこうでもないというのではなく、しっかりやり遂げることある。
 人は自分がすでに選択したこと、しなかったことに、運命のしるしを見つけたがる。しかし、そうした選択に人は縛りつけられていない。なぜなら、本質的に悪い運命などなく、自分がそうしたいと思えばどんな運命もよい運命だからである。


長々と書いてきました、昨日書いたやつと合わせると引用を含んでるとはいえ2.5万字近く書いてるんですね。学部の卒論か。まだこんな文字書く体力残ってたんだなと自分の変態性に気がつけた、いいお正月でした。

最後に2020年一番好きだった装丁を載せておきます。

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2021年もよろしくお願いします。


※追伸

一気に紹介しようとすると、カロリー消費半端ないので、小出しにしていった方がいいかなと思い始めております。こちらのアカウントで発信して行こうかなと思いますのでもしよろしければフォローお願いします。スタートアップ・AI・人事・書籍・所属している会社の告知系のつぶやきになるのではないかと思います。




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