チュニジアからカタールに向かう飛行機で、トイレから戻ると、私の先に男の子がニコニコしながら座っていた。

（チュニジアに行った時の話はこちら↓）

通路を挟んで隣に座っていた男の子だった。
男の子のお母さんはごめんなさいと言って私の席から男の子を引き剥がそうとするのだけれど、男の子は絶対に離れたくない様子。

全然問題ないですよと私は返し、その男の子の席に座ることにした。

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お母さんはとてもフランクで、いろいろな話をした。（と言っても、私の英語はポンコツなので、なかなか大変だったのだけれど）

お母さんはスイス人で、夫がチュニジア人、夫に会いに行った帰りなのだという。
「何種類の言語喋れるの？」と聞くと、「英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語、アラビア語。フランス語は好きじゃないのだけれど、アラビア語はあんまり喋れないから、夫とはフランス語で喋ってる」とのこと。すごい。

「でも、日本語はアルファベットじゃないんでしょ？」と言うので、ひらがなと漢字とカタカナを使い分けてるよって返したら、「そんな三種類も無理だわ」と驚いていた。私からしたら六種類の言葉を喋る方が難しい。

そんなこんなしているうちに、男の子はどこかに行き、お母さんは慌てて連れ戻しに行ってしまった。

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戻ってきた男の子はやっぱり私の席を気に入っているようだった。
今度は私のケータイをいじり始める。
ケータイカバーを折ろうとしていた時は、流石に危ないので止めたけれど、別にそれ以外は問題なかったのでそのままにしていた。

チュニジアからカタールまでは6時間ほどだった。
「これだけじっとしていなきゃいけない時間が長いのは、小さい子にとっては大変ですね」とお母さんに言うと、「本当にそうなの。この子、3歳なのだけれど、言葉が遅れてて喋れないから、何が欲しくて何が嫌なのかが全然わからないのよ。こうやってすぐにどこかに行ってしまうし」といって肩をすくめる。

正直、英語でどんな言葉をかけたらいいのかわからなかった。
思うことはなくはないのだけれど、大変ですね、も、大変ですよね、と分かったように言うも違う気がして。

少し反応に迷っていると、「面倒をかけてしまって申し訳ないけれど、助かるわ」と言ってくれたので、笑顔で「このくらい全く問題ないですよ」と返した。

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そんなこんなで時間は過ぎていたのだけれど。

男の子は、前のおじさんのところに行き、おじさんの使っているヘッドホンを取り、遊び始めた。
お母さんは止めているが、聞いていない。
ちょっと冷やっとしたのだが、おじさんはむしろ笑顔で男の子と遊び始めた。
おじさんは、「すみません」というお母さんに笑顔で「いいですよ」と返していた。

私はとてもびっくりした。
少し偏見も混ざっているかもしれないが、おじさんは怒るんじゃないかと思ったから。
（実際、男の子が走っているときにぶつかった先の日本人男性は、少し離れた私の席からも聞こえるレベルの舌打ちをしていた。この反応がいけないのかまでは判断できないけれど）

よくよく周りを見てみると、もちろん舌打ちしている人もいたけれど、男の子の相手をしてあげたり、元気だなぁとのんびり話している人の方が多かった。
そしてお母さんも大変そうではあったけれど、必要以上に謝るそぶりも、肩身狭そうにしている感じもなかった。

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人はそれぞれ違うし、何を抱えてるかまではわからない。
「子供がぎゃーぎゃー騒いでて眠れなかったわ。親も静かにさせたらいいのに」というのも、ちょっとわかる。たしかに私も眠れはしなかった。

電車の中でも、子供が泣くとあからさまに舌打ちしたり、どうして静かに乗れないのかなぁとか、電車なんか乗せるなよと聞こえるように言っている人を見たことがある。
たしかに、静かではない。それはそう。

けれど、困っているお母さんに、こうしたら？とか、一緒に子供をあやしたり、優しい目で見ている人もいる。
それぞれに事情はあるんだなぁとどっしり構えて、余裕を持って生きていけたらいいなと思った。
私は子育てをしたことがないけれど、今後することはあり得るし、自分が子供だったことは絶対にあるのだから。

少しでも肩身の狭い思いをしなくていいように、ビニール袋を持っておいたり（赤ちゃんはビニール袋の音が好きらしい）、泣いていても笑顔で「泣くのが仕事だもんね」とお母さんにわかる形で大らかにいたいと思った。

まとまっていないけれど、今日はこの辺で。

P.S.スキをすると、私が勝手に占うことがあります。
良ければ試してみてください！