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毎年思い出す桜並木

毎年桜の季節になると思い出す。

あの風景からもう10年がたった。


10年前、はじめての出産で陣痛がはじまった深夜2時。

タクシーで病院に向かう道の桜はまだ固いつぼみだった。


無事に長男が生まれて、はじまった入院生活。

外の景色もみえずカーテンにしきられた空間。

赤ちゃんが泣く前に…と壁に向かって一人でかきこむご飯。

深夜の授乳と細切れ睡眠と孤独。


退院するときにはそれまでの人生で1番くらいに心も体もへろへろだった。

やっと退院できる、家に帰れる。   

久しぶりの外の空気。

夫と赤ちゃんと一緒に乗ったタクシーが出発する。

家に向かうその道は、満開の桜並木になっていて。


いつの間にかひとりでタイムスリップしたみたいな不思議さ。

きれいな桜と病室とのギャップ。

タクシーの中に小さくてまだ頼りない赤ちゃんが一緒に乗っていること。

一瞬、これは現実なのかなって思う。


今でも、この季節になるとあのときタクシーから見えた景色とその感覚がよみがえる。


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