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読書日記『ニムロッド』

ニムロッドって何?
 
これは、私がこの本に抱いた第一印象である。

私が初めて出会った“ニムロッド”は主人公に謎の情報を送り付けてくる送信人だ。
唐突に「駄目な飛行機コレクション」を面白い解説と共に送ってくるよく分からない人。
人? もしかしたら人ではないのでは? 企業の名前や雑誌の題名である可能性だってある。

ニムロッドっていったい何者?

私はこの本の中で思ったより多めのニムロッドに出会った。
ニムロッドはただの名詞になってしまい、指し示すものは1つではなくなった。

とはいえ、それぞれのニムロッドという言葉は、何とか同じくくりで言い表せるのではないかという程の距離感にあると感じる。
私が何となく言い表すと、秋の季節のように終わりを見据える軟らかく硬い存在になるのではないかと思う。

これまで、ニムロッドについて感想を述べたが、これは題名『ニムロッド』に私が強い興味を持ったからにすぎない。

あらすじは以下の通りである。

それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。 あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。
新時代の仮想通貨小説!
仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。
中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。
小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。……
やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。「すべては取り換え可能であった」という答えを残して。 ……
講談社BOOK倶楽部より(https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000319220

 小説の中にも描かれている「やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。」には考えさせられるところがある。
正直、今、私は世界に溶けることを求められていると感じる。その中で、どうやったら個の部分を溶かさずに生きて行けるのかと私は悩んでいる。自分自身が楽しく生きるために。
このnoteは世界に溶けながらも個を維持する機能なのだろうなぁと、『千と千尋の神隠し』の千のように名前を忘れずにいたいなぁとぼやぁっと思う。

『ニムロッド』を読み終えいろいろ思うことはあったが、やはり私の興味は“ニムロッド”に残った。

この本の主人公は知らない物事をすぐにWikipediaで調べる癖がある。
だから、私もこの“ニムロッド”を検索エンジンにかけた。一番上にはこの本を購入するためのAmazon、2番目はこの本の文庫を購入するためのAmazon、3番目はこの本を紹介する講談社のサイト。

4番目にWikipediaを見つけることができた。

『ニムロッド』
上田岳弘 著

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